報道写真家 押原譲は、1970年代末のパリでのカンボジア人留学生との出会いを発端に、
カンボジアを中心としたインドシナ難民の姿を撮影し、これを皮切りにカンボジア、タイ、サラエボ、東チモール、ガザなどの紛争地に赴き取材を続けてきた。
本展では、2004年に訪れたガザ、エルサレムに関するフォトエッセイ「5月のガザ」を中心に構成する。
ある一人のジャーナリストが滞在した3週間が浮かび上がらせた、紛争、戦乱という一側面だけで語ることのできない懸命に生きる市井の人々の日常を提示する。
2024年3月現在も続くイスラエルのガザへの軍事侵攻は、幾度となく摩擦と衝突を繰り返す中東地域の問題を改めて浮き彫りにした。
国際的な連帯の声をうけて、事態収束の手段を探り続ける中、「どうすれば平和をもたらすことができるのか」という素朴な疑問に立ち返り、来館者一人一人が中東問題、パレスチナ、イスラエルと出会い直す契機とする。
中東和平実現へ向けた政治的な枠組みや歴史的な国際社会の取り組みが注目される一方、連続した時間のなかの2004年というある一時期に目を向け、どうやって今の問題を乗り越えることができるのか、人びとの平和な日常空間をひろげていくために何ができるのか、平和創造への可能性を考える。
参照
【緊急開催】2024年度 立命館大学国際平和ミュージアム春季展覧会 押原譲写真展「ガザ」 | 立命館大学国際平和ミュージアム (rwp-museum.jp)