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道草

一人でため息つきたい時もあるでしょ

ベランダにミノムシ

2004-12-31 02:29:10 | 雑感
先日、自宅ベランダのコンクリート壁に「みのむし」が出来ていて、ビックリ仰天した。
裸眼では0.1あるかないかの目が悪い私、最初は「みのむし」とは分からず、蛾のような黒い虫が止まっているのかと思った。
しばらく様子を見ていても、一向に動く気配がなく、恐る恐る近寄ってよくよく見ると、どこからどう見ても間違いなく「みのむし」だった。
壁に引っ付いていたのが確かに「みのむし」だと分かり、しばらく唖然として考え込んだ。
 何でこんなところにミノムシが…?
部屋のベランダには植木など、草花類はいっさい置いていない。東向きなので朝しか日が差さず、そのわずかな日の光も、ベランダを覆っているコンクリートの壁に遮られ、ほとんど日陰状態なものだから、きれいな鉢植えの花など置いてみたいが、うまく育たないと思って諦めている。
 ミノムシを形成するような、枝とか、葉っぱとか、どこにもないのに…。
ミノムシに近寄ってじっくり観察してみると、やはりミノムシ、細かい枝や枯葉を重ね合わせて出来上がっている。小さい頃に見た、野原などの木の枝につり下がっていた奴と同じ形態だ。
けれど、枝や葉っぱを、いったいどこから? とミノムシの親虫の気持ちになって考えた。
そういや、風の強い日など、よく外からゴミやチリと一緒に枯葉が飛んでくる。そう思いつくと、疑問は一気に氷解した。
ミノムシの親って、何虫だったか…。蛾?
よく知らないが、その親虫が、ベランダの溝に落ちている枯葉を細かくちぎり、かき集めてつなぎ合わせ、必死になって、我が子を冬眠から守る温かい(?)ミノを完成させたに違いない。
虫ながらに何とも健気な親の労苦を見せてもらったようで、妙に感心した。
にしてもいつの間に…。あれだけ立派なミノムシを作る為には、相当時間がかかったろうに、親虫がいつミノムシ作りを始めたか、私はまったく気がつかないでいた。
しかし、私はしょせん人間、心底、虫の立場や気持ちになっての行動はできない。
加えて私は、蛾が嫌いだ。
春のある日、さなぎから蝶々が誕生するなら見たい気がするが、ミノムシから蛾が誕生する様子は、いくら生命誕生の瞬間でも見たくはなかった。
労苦を惜しまずミノムシを作った親虫には悪かったが、暮れの大掃除に、ミノムシも一緒に掃除することに決めた。
そしてとうとう今日、ベランダを大掃除する際、壁についていたミノムシも処分、した。
壁にへばりついていたミノムシを剥がす際、枝のない場所にミノムシを引っつける親虫の労苦をまたまた思い知らされた。
ミノムシは、カイコの繭のような、蜘蛛の巣の糸のような、何重にも巻かれた細くて白い糸で、ベランダの壁にしっかり固定されていた。
よくゴミ拾いなどに使う鉄製のハサミを使い、壁からミノムシをつまもうとしたが、ちょっと触ったぐらいではビクともしなかった。
なんとも強力な接着力(どう表現してよいやら分からない)で、親虫の労苦は半端じゃなかった。そう思うと、かなりな罪悪感に襲われたが、蛾が誕生する気味悪さには勝てなかった。
結局、私は必死に壁からミノムシを引き剥がしてゴミ袋の中に捨て、ベランダの大掃除を終えた。

にしても、頑丈なミノムシだった。あんなに立派で親虫の労苦が表現されているミノムシを、嫌いだからの理由だけであっさり捨てた私…。
あのミノムシの環境が、私の住むベランダの壁じゃなかったら、自然に囲まれた草木の生い茂る木の枝であったなら、あのまま冬眠して、春には立派に誕生したことだろうに。ごめんよー。

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