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道草

一人でため息つきたい時もあるでしょ

猫の幸せ

2007-08-13 04:39:56 | 動物
捨てられていた子猫三匹を拾い、面倒を見ているその人が、嘆いている。
子猫の一匹が、下半身の骨折で入院、さらに残りの二匹まで、体調不良で緊急入院しなければならなくなったせいで。
苦しめるなら自分を苦しめろ、何で罪もない子猫を苦しめるんだ、と、この世の幸、不幸を操る、何者とも知れない存在に向かって、その人は怒り、嘆いている。
でも、具合が悪くなれば、即、医者に連れて行ってもらえる、十分な治療を受けさせてもらえるその子猫たち、何て、幸せな猫たちだろう、と私なんぞは思ってしまう。
捨てられた子猫を哀れんで育て、身体を壊せば大急ぎで医者に見せ、理不尽なことをするな、と神様にまで怒りをぶつける、心優しい飼い主に恵まれて、猫に取って、これ以上の幸せはないだろうに、と思う。

私の知り合いの飼い猫は、歳を取って歯がボロボロになり、あげくに口内炎をおこして、うまく餌が食べられなくなった。
「口の中を見たら、でっかい腫れ物が出来ていて、痛いみたい。痛がって顔を振りながら食べるから、アチコチに餌を飛ばして、もう」
猫の飼い主は、困った顔をしてそう言うだけで、医者に連れて行こうとはしなかった。
飼い猫の苦しみを分かっていながら、ずっと放置していた。
理由は、聞かなくても察しがついた。
治療代が高くつく…。
もう歳取ってるし…。
時々、飼い主がそうぼやいているのを聞いていたから。
 でも、あなたの飼い猫でしょう、かわいそうとは思わないんですか!
 私が治療費を払いますから、医者に見せてやって下さい!
 私が医者に連れて行きますから、任せてください!
 歳を取って厄介だと思うなら、私が飼いますから譲ってください!
色々な思いがわき起こり、もうちょっとで口を突いて出そうになったけれど、結局、何も言葉には出せなかった。
日々、食事や排泄の世話をしている飼い主に向かって、ただ、自分の都合のいい時だけ、その猫の遊び相手をしているだけの私が、口を挟んではいけない気がした。
でも、言い出せば良かったのか。
結果、その飼い猫の容態はどんどん悪化して、餌がほとんど食べられなくなり、やせ細って、飼い主一家が寝ている間に死んでしまった。
「もう十年以上生きたし、もう充分やったやろう」
猫の飼い主は、そんなようなことを言った。
目に涙を浮かべながら、タオルで包んだその猫の身体を撫でてやりながら。
 でも、治療して治るなら、猫だって長生きしたかったんじゃないんですか。
 十年も生きたら充分なんて、誰がそんなこと決めたんですか!
 治療を受けさせずに死なせて、心残りはないんですか。
 泣いてやる気持ちがあるなら、何で医者に見せなかった!
 タオルの上から触ってんじゃない、タオルを取ってじかに身体を撫でてやれよ!
色々な事を飼い主に言いたかった。
でも私の飼い猫じゃなかったので何も言えなかった、黙っているしかなかった!
かわいがっていたのに、いざという時助けてやれなかった!
見殺しにした!
ごめん!
ごめん!

捨て猫三匹の飼い主さん、あなたに拾われ、慈しみを受け、元気一杯に育ってきた子猫たちは、あなたが側にいるだけで安らげる、それだけで充分に幸せなんですよ。
あなたなら、子猫たちが成長して年老いて、病気にかかっても、歳だから、と見棄てたりしないでしょう。
他所の猫でも、その猫の不幸を目の当たりにしたら、見て見ぬふりをせず、きっと助け手を出すでしょう。
あなたに拾われた時から、子猫たちの幸運は始まっています。

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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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はじめまして (どらまるこ+にゃぽ)
2007-08-27 14:56:31
はじめまして。
私のブログにも来て頂いたようで、私も立ち寄らせていただきました。
どうして、私のブログがブックマークに登録されているのか不思議でしたが、何か引っかかる部分があったのかもしれませんね。

さて、「猫の幸せ」を読んで、私も色々と考えさせられました。
でも、あの事を(多分というか絶対あの事だと思うんですが)、
幸せと思ってあげられて、本当に良かったと思いました。
そうですよね~、彼女に拾われた子猫たちは、その時から幸運が始まっていましたよね~。

また、伺ってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
では、また。
返信する
ありがとうございました (-oosaka-)
2007-10-08 01:23:43
どらまるこ+にゃぽ様
コメントありがとうございました。
今日(10/7)、久々に自分のブログを開いてみて、コメントを頂いていることを知り、ビックリした次第です。
私のブログは、コメント下さる方も滅多になく、いつも自己満足的に投稿して終わり、の状態ですので、「猫の幸せ」を投稿したあとも、二、三日、様子を見てましたが、また今回もコメントなし、と諦め、ずっとブログを開かないでほったらかしにしていました。
もう一ヶ月以上も前に、コメント下さっていたとは、随分と失礼しました。
閑古鳥が鳴くブログでも、投稿してる以上は、一週間に一度くらいは、コメントの確認をしないといけないですね、すみませんでした。

私は猫と漫画が好きでして、ブログ検索していたところ、まず「くるねこ大和」さんのプログを知り、くるさんのブックマークに載っていた「どらまるこ+にゃぽ」さんのブログを知り、どちらも絵柄や内容が自分の好みにあい、ずっと見ていきたいと思いましたので、ブックマークに登録させて頂きました。

「ねこの幸せ」は、確かに「あの事」について、私の思いを綴った内容です。
ずっと忘れていたことなのに、「あの事」を読んで、幸せにしてやれなかった猫のことがまざまざと蘇り、いたたまれなくなりました。
でも、直接、ご本人にお伝えするには長すぎる、それでも書かずにはいられなかったから、自分のブログに書き残しておこうと思いました。
返信する
-oosaka-さんへ (にゃぽ)
2007-10-12 17:10:18
-oosaka-さん、こんにちは~。
コメントレス、ありがとうございました。
実はコメント書いた後、気になって実は何度も寄らせて頂いてました(笑)。
私は病気のリハビリ中で、仕事量もセーブされているので、会社ではとっても暇なんですよ。でも忙しくなるとまた病気をぶり返してしまうので、今は与えられた仕事を一つずつやって…というより、会社に毎日行くっていうのがメインの仕事です。ちょっとずつ元気になっていますが、以前のようにパワフルに仕事をするには少し時間が必要な私です。
これも何かの縁だと思うので、また寄らせていただきますね。
では、また。
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