shake a mind

こころゆさぶる・ゆさぶられる
あんなことや、こんなもの達・・・

『恋愛中毒』  山本 文緒

2007-05-10 | 色々みたもんっ
とある一人の男性の語りからはじまり、
社内にいる地味なんだけど、なんとなくみんなに恐れられているおばさんの
回想の話から物語は始まる。

離婚歴のあるひとりの女性。
離婚に至ってしまったことを悔い、地味に暮らすことを選びひっそりと生活をしていた中
ふと現れた1本の糸。
この糸の先には幸福があるのか、地獄があるのか、
この糸は頑丈なのか、切れてしまいそうなほど頼りないものなのか。
わからないまま、そっと手を伸ばしてしまった瞬間から
ものすごい勢いで物語が走り出す。

ひっそりと慎ましやかに生きていくと決めたのに、
一度した失敗は繰り返さないと決め、ちゃんとやってきたのに、
気付いたらまた同じことを繰り返していた。

すっかり、読者が彼女に感情移入をしてしまってからは
もう彼女と一緒に落ちていくしかなくなってしまっている。


ーどうか、どうか、私。
これから先の人生、他人を愛しすぎないように。
他人を愛すぐらいなら、自分自身を愛するように。


哀しい祈り。
物語の中で数回出てくるこの祈りが胸に突き刺さる。



ものすごく面白いです。
構成も絶妙で、心理描写もとってもいい。
でも、苦しくて、切なくて・・・。

読み終わったときの脱力感、虚無感、なんともいえない気持ちになります・・・。


山本文緒さん この方の本がもっと読みたくなる1冊でした。

『藤野カヨ リサイタル~復帰内覧会~ 』

2007-03-31 | 色々みたもんっ
大好きな 藤野カヨさんのオペラに行って来ました。

一度オペラを鑑賞に行きたいと思いながらも、
ちょっぴり敷居が高くて、チケットのお値段も張って、どこでいつやっているのかさえも良く分からなかったオペラ。

去年の夏カヨさんの歌声を始めて聞いた時から、
一度しっかり聞かせてもらいたい と思っていたのがようやくかないました!!

当日私はビデオ撮影をお手伝いをさせてもらいながらの鑑賞だったのですが、
もう、すごい!!

ふだんなら後半にプログラムされるという”お客様参加”の歌。
”みんなで歌いましょう♪”っと言うものなのですが、
一番始めに持ってきちゃうんです
「場が温まっていないのに(お客さんたちの心がまだ緩まっていないのに)無茶な・・・」
って思っていたのに お客さん歌う歌う

始まった瞬間から一緒に楽しみたくなる空気が出来あがっているんです。
カヨさんの少しの歌声とトークですでにその空気が出来上がっているんです。
なのでビデオ担当でなかったら絶対私も歌ってる


万葉集の歌をオペラにのせて歌われている部分は、
その背景をお芝居でされ(アドリブ多しw)知識のない私にも存分に楽しめました。
ん~。カヨさんの本来持っている可愛さと、小憎たらしさ(←褒めてます)が生かされ、
持統天皇とリンクしていたのがよかったなぁ。
それを引き出していた相手役の高宏さんもよかったなぁ。。。


当日の曲たちは
耳障りがよく、心地よく、あまりに満たされるので既成の歌だとばかり思っていたらオリジナル

特に大阪弁全開ラストにフランス語(?)の「好きやもん」と
フランス各地でも人気だったという「神様の贈り物」 には、号泣でした。

かと思えば、
唯一のオリジナル曲ではないとおっしゃっていた「椿姫」では 開いた口がふさがらない・・・。
こんなに凄い歌だなんて・・・。
「難しいからちょっと怖い」っておっしゃっていた意味が当日ようやく分かりました
ちょっとどころじゃないやん って。

もう、すっごく良かったです。
今でも思い出したら、涙が溢れます


もちろん歌がものすごくお上手なのは重々承知の上なのですが、
声も空気も実際の表情も豊かで、
観て、聞いているこちら側はなんだかどんどん満たされていくんです。
トークが長いのもご愛嬌。
でも、そのトークの中から気さくで等身大なところ、
なのに誰よりもまっすぐと前を向き、上を目指し進んでいる姿がひしひしと伝わってくるんです。
それに、とっても愛情深い。

だからかな、思い出すだけでこんなに満たされてる気がするのは。


今回ご来場いただけなかった方々、お誘いできなかった友人達。
ごめんね。 めっちゃ良かったよ。
次回はちゃんと告知するからね



後は、ビデオがちゃんと撮れていること、
私の涙で鼻がクシュクシュいっていたのが音声で入っていないことを祈るばかりです




「アルゼンチンババア」

2007-03-21 | 色々みたもんっ
よしもとばななさん原作の映画に試写会でいってきました。

あらすじは・・・
母のなくなった日に突然失踪をしてしまった父親が6ヵ月後見つかった。
見つかった先は、
町の誰もが子供の頃から知っている町のはずれの屋敷に住んでいる
変わり者といわれているアルゼンチンババアの屋敷だった。

ん~。
なんだかぁ。。。
邦画がいまいちだって言われていた時代の映画って感じが正直しちゃいました。
出演していらっしゃる女優さんはみなさんキレイに映っていて・・・
ん~。まどろっこしいので、ストレートに言うと

鈴木京香さん きれいすぎ。
メイクが濃いとかちょっとした設定では変わり者となっているのですが・・・。
いつもより声のトーンを落としていらっしゃるとかわかるのですが、
しわ一本もないキレイな顔したババアじゃ伝わりません。
ここは、ちゃんと年がいってないと伝わり方が変わっちゃう。
もっと、老けメイクをされるとか
それこそ、もう少し年齢の上の夏樹マリさんとか加賀まりこさんとかがされていたら良かったのにって
思ってしまいました。
(夏樹マリさん・加賀まりこさんが好きなのもありますけど

掘北真紀さんもかわいい
かわいいことは充分伝わる。かわいさを観るのにはいい映画って感じで。

なんかね、小説を読んでいないのでなんともいえませんが
脚本にされる時点で大切なところが抜け落ちてしまっているのか、
映画化の難しい小説だったのか・・・。

めっちゃおもしろいシーンもあったんですよ。
アルゼンチンババアから貰ったものでみんなが変わるシーンとか。

アルゼンチンババアの住んでいる建物の屋上と空のシーンもきれいだったし
ラスト近くにある父との海での共同作業のシーンもきれい。

でもね、ぜひ観に行って!!って言えないんだな・・・。
ステキな役者さんがたくさん出ているんだけど・・・。
でも、やっぱり言えないなぁ・・・。


原作を読まれた上で感想を書かれている方のブログも紹介。
この方のブログで紹介されている映画も小説もめっちゃみたくなっちゃいます!
miyukichin’mu*me*mo*



「トランス」

2007-03-20 | 色々みたもんっ
演団劇箱・・・お手やわらかに さんのアトリエ公演を観てきました。


鴻上尚史さんの名作といわれあちらこちらで上演されているのにも関わらず
初観劇。

お話は、
本当の自分を探し続ける現代人・・・

ん~。とってもいい本なのでどうぞ一度読んでみてください。

すごかった。
演技力が要求される作品だとはきいていたけど、本当にそう。
3人芝居しかも、ガッツリ三人。
セリフの量も半端じゃない。
すごいなぁ。

気力と体力と演技力と集中力

どれか一つでも途切れたらおしまい。
そんな作品でした。

すごいなぁ~。
ほんとすごい。。。。


時間の感覚の違い

2007-03-18 | 色々みたもんっ
仲良しさんのflaneursさんの公演を観にいってきました。

3つの団体さんが30分ずつの持ち時間でそれぞれの作品をされる公演。

flaneursさんのダンスは
日常から拾ってきた普通のものをキラキラの宝物に変えてしまう不思議な魔法。

動きの一つ一つは突拍子のあるモノだったり、目を惹く大技だったりしないけど、

気が付くと吸い込まれるように魅入ってしまう。

二人とも穏やかで、自己主張が強いわけではないナチュラリストって感じ。

それを一変する程激しいものを間に挟み、そしてまた淡々と彼女達の世界へ戻っていく。

とっても不思議な時間でした。




30分長いようで短い時間。
でも、短いと思っていると長くて・・・。

自分から発信している時と、自分が受信している時の時間の感覚の違い。
その差を埋めるものはなんだろう。

構成力? 魅力? 気力?(笑)

なんだろう・・・

『Mr.VeryGoodMan 」

2007-03-16 | 色々みたもんっ
最近エンタメ系と言われるジャンルの作品を
見る事から離れていたのですが、
久々の“ド”エンタメ でした!!


IQ5000さんの「 Mr.VeryGoodMan 」


あらすじは後日掲載(予定)

めっちゃおもしろい!!
めっちゃくだらない!!

くだらないけどおもしろい!!
「くだらない」って思いながらほろりと来ている自分がいたり、
「くだらない」って思いながら大爆笑している自分がいたり。

前半は少し入り込みにくく、おていかれてしまったような
気持ちになったりしたけど
中頃から、後半にかけてググッと引き寄せられます!!

ん~ 
やっぱりめっちゃおもしろかった!!
ですね(o^o^o)

今日行かれる予定の方へ
恥ずかしがらずに大きな声で参加するとより楽しめます(^O^)

合い言葉は“ごっそりっ!!”



インディペンデントシアター ジャングル2nd

通ってしまうかも

2007-03-10 | 色々みたもんっ
今週末は久々お芝居はしご週末。

1本目は”これでもか!!”ってほど知り合いのたくさん出ているお芝居
もちろん客席でもたくさんお友達に会えました。
半年間お稽古しての公演。
私は未だ半年もお稽古をして公演日を迎えたことがないのでなんとも不思議。
みんな、楽しそうで、元気そうでよかった。
うん。一安心


2本目はびっくりしました!!
久しぶりに出会ったっためっちゃステキな女優さん。(一方的にだけど
ベッピンさんだけど”超べっぴん”ってわけでもなく、
お芝居上手だけど”超上手”ってわけでもないと思う(たぶん)
でもものすごく魅力的な人!!
空間を支配しているというか、確実に客席も舞台上も劇場さえも彼女に惹き付けられている感じがした。
でも、他の役者さん達も負けてなんかいなくって・・・
なんていったらいいのか・・・。
行って観れてほんと良かった。

お話自体はなんていったらいいのかな・・・
混沌としていて、複雑でいて、時間軸も夢か現実かも分からなくなる感じ。
小さなシーンがいくつもあって、
それのどれもに大なり小なりの衝撃があって・・・。
でも、時折見せる彼女の狂気に満ちた表情で流れる涙でぐっと引き締まり
全て納得させられてしまう。
ん~上手く言えない

それから、”間”の使い方が絶妙にうまい劇団さんでした。
とってもリアルで、「これって台本ある?」って思ってしまうほど。
客席で見ていて、気持ちのいい不安に襲われたり。
(ん~↑これも伝わりにくい表現

これから通ってしまいそうな劇団さん

2007.03.10 ウイングフィールド 月曜劇団「えんぎでもない」  






TOPの写真は 
1本目と2本目まで時間がたくさんあったので
付き合ってもらって行った、お茶屋さん。
ふらりと入り、
こないだ食べたぜんざいと比較なんて言いながら頼んだ
抹茶善哉
思っていた感じと全然違ったものが!!

めっちゃおいしい!!ヤバイ。ここのお店通ってしまいそう・・・。

『ドリーム・ガールズ』

2007-02-26 | 色々みたもんっ
1962年デトロイト。 
歌で成功しようと毎夜オーディションに出場していた3人女性達の
エフィー(ジェニファー・ハドソン)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)、ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)
トップスターへの道とその後 のお話。
(詳しいストーリーはどうぞ他の方のところで

80年代にヒットしたブロードウェイミュージカルの映画化。
人種差別やショービジネスの表と裏、理想と現実、実力と素質・・・
見たいような、できれば見ないでいたいような(現実では)ことたくさんもりこまれていました。

階段を登ると同時に得るもの、失うもの。
見えていたはずのものが、気づけば見えなくなってしまっていたり
手にしていたはずのものが、こぼれ落ちてしまっていたり・・・。
なんともほろ苦い感じがしました。

始まってすぐのジェニファー・ハドソンの歌ですでに全身が鳥肌がたち、
油断をすれば、映画館の中なのにリズムをとってしまいそうな程の迫力。

ステップアップするたびに磨かれていく彼女達。
衣装もステージもランクUPしていき(カツラもw)
ついにはトップスターへ。

でも・・・本当は・・・

エディー・マーフィーがこんなにステキな方だったのかと驚き
ビヨンセの身のこなし美しさ、”Listen ”の良さ
ジェニファー・ハドソンの表情

どれもよかった。

ぜひ、音の良い映画館で観ることおすすめします





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やっぱり私は売れなくていいなとか、(心配しなくても売れないんですけどね
くっついていそうでそうじゃないって関係がいいなとか、
歌と踊りできるようにやっぱりなりたいなとか、
あんなにストレートに気持ちぶつけていたらなとか、

自分の事も色々考える映画でした。

『あ・うん』

2007-02-13 | 色々みたもんっ
原作は、向田邦子さんがNHKのドラマ用に書かれた「あ・うん」の映画版。

物語は
昭和12年頃の東京。

かつての戦友門倉(高倉健)と水田(坂東英二)は、神社の狛犬あ・うんのような強い友情で結ばれている二人。
軍事工場の社長となっている門倉は、真面目で質素水田と水田の妻・娘の為に何でもしてしまうほど。

その強い友情の間で、門倉は水田の妻(冨司純子)へ密かな想いを寄せている。
水田もそれを充分に感じており、少し自慢に思っていたりもする。

決して打ち明けない秘めたる恋。ただ、幸せを祈り、不幸の道を閉ざしていくことしかできない、しない。
純愛という名のほのかな恋心。

そこに水田の娘(富田靖子)の初恋を重ねながら、昭和初期ならではの時代背景とともに
大人のなんともいえない甘い三角関係。

「一番大事なことは人には話せない」 を根底に・・・。



はぁ。ものすごく良かったです。

物語はハッピーエンドのようで、ハッピーエンドではないけどなんとも言えない気持ちに包み込んでくれます。
作品もめっちゃいい。

役者陣もめっちゃいい。
饒舌で軟派な役のはずの高倉健さんの役の奥の優しさやかわいらしさ、
一見まじめそうなのに道を踏み外しそうになる坂東英二さんのする笑顔のかわいさ、
貞淑な妻でありながらなんともかわいい冨司純子さんに、
初心で、まっすぐな感じのたまらない富田靖子さん。


かわいらしい人でありたいなぁ。
ステキな年の取り方がしたいなぁ なんて思いました。

「ロビーストーリーとねずみの秘密」

2007-01-28 | 色々みたもんっ
KAVCという建物全部使ったお芝居。
2階の劇場と地下の劇場で同時に公演が始まり、同時に終わる。
相互に絡み合いつながりあっているお話でした。

簡単なあらすじは・・・
「くるみ割り人形対ワーニャ伯父さん」というタイトルの芝居が始まろうとしてる
劇場のロビー。
劇場スタッフさんをはじめ、お芝居を見に来ているわけではない人たちや、
出演中の役者や支配人が入れ替わり立ち替わりでてんやわんや。
一方、地下室では
ドラッグ中毒の劇場警備員が、モニターを見ながら馬鹿話を。
彼の幻覚と現実と、二階のロビーの事件が絡み合い もうすごかった。


その中で心に刺さったセリフ。
ものすごく、やさしい笑顔で
「どちらが仮面でどちらが素顔かわからない。 人ってそんなものよ。」


なぜだか心に突き刺さる・・・。