Visual & Voice + H のココロ

“感情移入できる映像”によって、新たな映像コンテンツの開拓、映像の可能性を追求するビジュアリスト・柚木公奈の想い。

脱 原発、そして脱 テレビ

2011年12月13日 20時26分58秒 | こだわり
テレビとのつきあい方はとても微妙です。

派手でメジャーな仕事ができるし、桁違いの数の人たちに作品を見てもらうことが出来るのがテレビの仕事です。だけど、現在のテレビの現場は病んでいます。
だから、取材対象や周辺の人間たちに刺激を受けることがあっても、テレビの人間、特に局の人間に刺激を受けることはなくなってしまいました。様々な原因が重なり、結局テレビ局は自らのクビを自分で絞める結果になってしまったと思っています。

本来、山師的なカラーが強かった創成期のテレビマン。それが時代とともに妙に優等生的になり、その次に危機管理だけに長けたNO冒険マンになり、そして今は特権意識満載のデスクで、仕事よりも出世や財テクに一生懸命という感じです。
それに加えて不景気で長期低落傾向の日本経済。以前はあった「オイシい仕事」というのは一切なくなり、「あり得ないギャラの仕事(もちろん、あり得ないほどの安いギャラ)」が横行しています。その上、理不尽な注文はつけるけど、責任はとらずに失敗はすべてプロダクションのせいにするテレビ局の局員。

テレビを生業にしている方たちは、どんなに安くても仕事は受注しないわけにはいかないでしょう。でも、健全なブロダクション経営者なら「いい作品を仕上げよう」というより「どうやって安く仕上げるか」に熱心になります。
そして、視聴率でしか判断しないテレビ局の局員。もはやいい作品が生まれない環境しか残っていないと思っています。

僕はこれまで、テレビ局とは距離を置いていましたが、今回、決別を判断しました。
どうしても、手抜きせずを得なくなってしまう体制。さらに、打ち合わせ内容が毎回意味無くなるシステム。先につながらない仕事の流れ。もはや仕事相手としては、あまりに悲しすぎます。

近頃は、人気番組でも視聴率は20%そこそこ。つまり、80%の人は観ていないのです。僕はそういった人たちに向けて、観終わったら「+H」を感じてもらえる映像を作りたいと、改めて決意したのでした。