趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『ほかならぬ人へ』 白石一文

2010年03月09日 | 
第142回直木賞を受賞された
白石一文さんの『ほかならぬ人へ』を読みました。
受賞前から「良かった~」の声を聞いていたので
読みたいと、注目していたのです。

自分の気持ち、他人の気持ち、
思い通りにならない、
届かない、届けることが叶わない、
思いを遂げることができない
登場人物たちの紆余曲折。
つらい気持ちの行方を
まっすぐに見つめる視点がいいと思いました。

そして、分からない気持ちを
持て余す他人の気持ちという物を
ゆっくり受けとめ、
向き合う心の動きが、とてもいいと思いました。

「何か証拠があるんだよ。」
「ベストの相手が見つかった時は、この人に間違いないっていう
明らかな証拠があるんだ。」
必ずこの人だと、わかる証拠がある、と主人公が話す。
パズルのピースのようにぴったりとくる相手が
必ずいるのだ、と。
人生最後の瞬間までに、
そういう人を見つけられれば成功なんだと。



それは、もしかすると
ほかならぬ、自分自身の生き方を探す旅なのかもしれないと
そんな風に感じました。
人生のパートーナーを探すということに
もっと真摯になるべきなのかもしれませんね。。