趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

「ひとりでは生きられないのも芸のうち」内田樹

2008年11月11日 | 内田樹
ああ、間違っていたのだ・・・。
一人ででもちゃんと生きていけることこそ自立だと
そう思って、もしも一人身になっても困らないようにと
あれこれあれこれ考えてみたり
準備しなくちゃと思ってきたのだけれど。

そんな準備よりも
お互い助け合いたいと思う人を
どうか災厄がふりかかりませんようにと願える人々を
一人でも多く見つけることのほうが大事だと。

そうだったのか・・・。

 『あなたなしでは私はこのゲームを続けることができない。
 キャッチボールをしている二人は
 際限なくそのようなメッセージをやりとりしているのである。
 このとき、ボールとともに行き来しているのは
 「I cannot live without you.」という言葉なのである。
 これが根源的な意味での「贈与」である。
 ・・・・・・・
 私はこのyouの数をどれだけ増やすことができるか、
 それが共同的に生きる人間の
 社会的成熟の指標であると思っている。 』P-280~

このあと、「たぶんほとんどの人は逆に考えていると思う。」
とあります。
私もまさに逆のことを考えていました。
人に依存してはいけないと。
戒めるようにも考えていました。
子ども達にもそう教えてきたように思います。

でも、です。
内田先生の洞察は、深いのです。

  『「あなたがいなければ生きていけない」という言葉は
  「私」の無能や欠乏についての事実認知的言明ではない。
  そうではなくて、
  「だからこそ、あなたにはこれからもずっと元気で生きていて欲しい」
  という、「あなた」の健康と幸福を願う予祝の言葉なのである。』P-282

内田先生に出会えて、ほんとうに良かった・・・。。