「パティシエになりたーい!」ブログ。

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村上春樹さんの本を三冊借りて読んだ話

2017-12-11 23:28:18 | きょうのできごと
すいません……村上春樹さん大好きなのに新刊で買わないで図書館で借りててすいません……。だって毎度買ってる余裕はないんです……。文庫版が発売されるとかなり気持ちがぐらつくけど、なんかハードカバーの方が好きなんです……。読んで、気に入ったら、古本屋さんでハードカバー探して買うようなファンですみません……。

これだけは新刊で買ったんよね。
職業としての小説家 (Switch library)
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スイッチパブリッシング

何故なら、発売当時、紀伊國屋書店が買い切りでこれを仕入れたってニュースを聞いたから。怖いことするなあ~と思いながら、元書店員として、その挑戦にYES!って言ってあげたい気持ちで、買いに行ったんだよね。
……てことは毎回書店さんが村上作品を買い切りにしたらうちは毎度新刊を買わざるを得なくなる……のか……?

今回借りたのはこの三冊。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
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文藝春秋


女のいない男たち
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文藝春秋


ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
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文藝春秋


「多崎つくる」を今頃読む村上ファンがいていいのか……いやよくない……ほんとすみません……。

村上さんの本は図書館でも大人気で、発売から少し経ったくらいでは「予約人数」がものすごいです。ここでも「並んで待つ」ということが好きではない私は、「ほとぼりが冷めた頃に借りよう」って考えて、普段は忘れてます。それでふと思い出したのがこないだで、試しに検索してみたらどの本も予約で待っている人はいなかったので、そのまま予約処理をしました。
してから思い出す。
「村上さんの本を一気に三冊も借りたら、さすがのうちでも返却期間内に読み切れなくない……!?」
ほんと、予約する前に思い出してほしいです(お前だよ)。でもそうやって危機感を持っていたために、予約した三冊を引き取った後は早めに手をつけることが出来ました。

最初に読んでみたのは短編集である「女のいない男たち」。
これが……すごい読みやすかった。私、村上さん大好きなんですけど、短編集はちょっと苦手意識があったんよね。長編小説だって、何度読んでも意味わかんないのいっぱいあるけど(「羊をめぐる冒険」とか)(それ初めて読んだやつちゃうんかい、わかんないのに好きになったんかい!)、それでも全体の空気というか、雰囲気が好きで……わかんないながらも「触れてたい」気持ちになるんだけど、短編集だとすごく、突き放されてるような感じがしてしまって…、それがすごく悲しくなるから苦手で。
でもこれ読んでる間、そんな気持ちには一度もならなかった。私が成長して理解度が高くなったのか、村上さんの変化なのか…わかんないけど、短編集が楽しく読めたことは本当に嬉しいことだった!
好きなセリフを一つ。
「でもどれだけ理解しあっているはずの相手であれ、どれだけ愛している相手であれ、他人の心をそっくり覗き込むなんて、それはできない相談です。そんなことを求めても、自分が辛くなるだけです。しかしそれが自分自身の心であれば、努力さえすれば、努力しただけしっかり覗き込むことはできるはずです。ですから結局のところ僕らがやらなくちゃならないのは、自分の心と正直に折り合いをつけていくことじゃないでしょうか。本当に他人を見たいと望むのなら、自分自身を深くまっすぐ見つめるしかないんです。」
あと表紙が超素敵。柳と、猫と、BAR。裏表紙には黄色い車。

次に読んだのは「ラオス」。紀行文集ということだし、タイトルも帯の言葉が気になりすぎて、本屋さんで何度も何度も手に取って迷って、結局今まで我慢し続けてた本です。
村上さんのエッセイは元々大大大好きで、めっちゃ期待はしてたけど、やっぱり超おもしろかった~~!!
真面目に、おもしろく、旅した時の様子を書いてる途中にいきなりおもしろいこと書いてくるから、バスの中なのに吹き出しそうになって困ったwww
アイスランド名物のパフィン(別名エトピリカ)という鳥の説明のとこ、
(略)秋冬は海の上を飛んで、魚を食べて暮らしている。野菜サラダとか焼肉なんかは食べない。魚だけを食べている。」とかwww いやうちが今ここだけ抜粋したらスベッてるみたいに読んじゃうかもだけど!いきなりだからほんと吹き出すよ!
同じ章でまたこんなのもあるw
「僕の読んだ本によると、アイスランドでは羊は家族同様に大事にされているらしい。もちろん最後には食べられてしまうんだけど、生きているあいだは、ということです。」 www
読んでて新鮮だな、と思ったのは、村上さんの体験とか、その感想だけじゃなく、読んでる人に向けて「ここに行ったらこういうことをするといいよ」みたいに語りかける部分がちょいちょいあることです。まあ元の文章の載ってる媒体が機内誌だったりするから、読んだ人が旅行に行きたくなるようなことを書くのはプロとして当然なのかもだけど。うちも旅行やお出かけの事ブログに書きまくってるけど、こういうのがあれば読んだ人も行きたくなるかもしれないし、知識も増えて「お得感」が感じられたりするのかもしれない……ってちょっと思った。

そんで最後に「多崎つくる」。一応長編小説だし、さすがにこれは時間かかるかもな~と思ってたんだけど、面白すぎて一日で一気に読み切ってしまった……。いやなにこれめっちゃ好き……なんでうち今頃読んでんの!?(ケチだからさ…)
これもいつか必ずハードカバーを手元に置こうと思いました。……なんやろ、村上さんの小説、どんどんわかりやすくなってない?え、うちが成長しただけちゃうよね?だって「羊」、いま読み返しても1ミリもわかんないのに!!(あの…さっきからヒデエですが、もちろん大好きです…)主人公「つくる」くんの思いとかが理解しやすかったのかなあ。いやうちにはああいう経験は…ないわけだけど……。
ドキッとしたセリフ。「沙羅」さんのセリフ。
「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない。」沙羅は彼の目をまっすぐ見て言った。「それだけは覚えていた方がいいわ。歴史は消すことも、作りかえることもできないの。それはあなたという存在を殺すのと同じだから。」
あとすごい好きな描写。いつもと変わらない灰田さんの様子のとこ。
しかしつくるが顔を見せるとすぐに本を閉じ、明るい笑みを浮かべ、台所でコーヒーとオムレツとトーストを用意した。新鮮なコーヒーの香りがした。夜と昼とを隔てる香りだ。
夜と昼とを隔てる香り……!!なんて素敵な表現なんだ。うちもいつかコーヒーの香りにこれくらい言えるようになりたい(無理だろうよ)。

他にも好きなセリフはいーっぱいあるんだけど、全部書いてたらえらいことになるからやめとこう。ネタバレやしね(今更…)。
そうそう、この小説読んでる間に、うちの日本語の誤用に気づいた。「こぢんまり」……!!そうやわ、「ちんまり」の展開形やもんね!うちずーっとずーっと「こじんまり」って書いてる…!!気をつけよう……(まあ他にも誤用めっちゃあると思うけど…)。

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