一文字 寅 の 「風菜園(かぜさいえん)」 

「天に星。地に花。人に愛。」 風に乗って、日々の所感を「風菜園」から発信してまいります。

「いったい何者なんですか?!」 小倉で吹かせた日本酒つむじ風 【北九州・小倉】

2013年03月07日 00時10分25秒 | みんな~愛『酒』てるかい

( 「つる平」お酒ギャラリー 小倉・魚町銀天街 )

 

旦過市場の食堂「幸」を後にした私は、交差点を渡り魚町銀天街へ入った。

「銀天街」という名前はローカルに感じるかもしれないが、伊達ではない。

実は日本初の「アーケード」の発祥地が、ここ小倉・魚町なのだ。

今から50年以上前、人々は天井を覆う明るい屋根を見上げ

日本初のアーケードに「銀天街」と名づけたのだった。  

 

そればかりではなく 常に小倉は進取の気鋭に富んだ町だ。

「佐々木小次郎vs宮本武蔵」小笠原藩 巌流島の決闘

「競輪」発祥の地  「パンチパーマ」の発祥地 「アーケード」発祥の地

日本初「24時間スーパー(丸和)」 「焼きうどん」の発祥地 一説では「角打ち」発祥の地

日本最大の広告代理店「電通」創業者の出身地 「甲子園の土を初めて持ち帰った 小倉高校」 

文豪「森鴎外」  そして何といっても「松本清張」を育んだ街でもある。

ウォシュレットの「TOTO」

そして町の一軒一軒の家がわかる地図会社「ゼンリン」もここ小倉が発祥の地

 

そんな小倉・魚町を歩きながら 以前から気になっていた

「小倉日記」「ぽんつく」で有名な小倉の老舗菓子店「つる平」

その「つる平」店舗の二階が夕方からお酒ギャラリーに変わる。

 

「日本酒」という文字が目に入り、その民家調の店内を誘われるように 

その晩は、ゆっくりと階段を上がっていった。

 

「おっ、凄~い!」 目の前に広がる計1000本もの一升瓶は圧巻

但し、その内の95%(約950本)は焼酎、約50本が日本酒

 

お店のお兄さんが、社長の焼酎コレクションを説明してくれた。

社長が10年かけてコレクションして今ここに至っているのだそうだ。

 

一時期は焼酎にも詳しかった私もさすがにお兄さん(店長)の説明する

レアな焼酎の話しになると知らない銘柄ばかり。

テニスで言えば一方的にサービスエースを決められているようなもの

 

 

「あの~ そろそろ 日本酒頼んでもいいですか」

案内された冷蔵庫を前にちょっと感激 「景虎に 辯天 王禄に三千盛か・・・なかなかいいな」

「ここから3杯自由に選んで本当に1000円でいいんですか? まるでニシウミ価格だ。

これじゃ 全然儲からないでしょ 安すぎますよ」と私は言った。

 

「 じゃあ まずは2杯。 「白瀑」(しらたき)と「若波」を頂いてもいいですか? 」

私がした注文に 「日本酒 お詳しいんですか?」と聞かれた。

「いえちょっとだけ。 好きなので、行くところで飲んでいるだけです」と私。

「実は私がこだわって入れた日本酒が、その白瀑と若波なんですよ。でもほとんど誰も

飲む人がいなくて いつしか隅っこに置いやられたような状態なんですけど

何とお客さんがその2本を指名したもんだからびっくりしました。」 

確かに、上段右端に「白瀑」 下段左から二番目に「若波」は追いやられていた。

 

 

( どうです? 「若波」純米酒は と気にする店長 )

 

「白瀑」は、スイスイといける酒

「若波」純米は、義侠系の真っ直ぐな酒

共にいい酒ですねと伝えるとセレクトした店長もたいそう喜んでいた。

 

「ここに来るお客さんは、冷蔵庫の前でしばらく う~んと考えて

結局 選ぶのは 久保田の千寿になるんですから

こっちとしてはガクッときますよ」

 

そんなお兄さん(店長さん)のおすすめは、「有加藤」(ありかとう)

昔、なんとなく聞いたことがあるような・・・

「ここに加藤の酒あり」という

酒蔵自信の酒

 

( 清酒リキュールの入った冷蔵庫)

 

私が「奈良から来たんですわ。」と言えば

「奈良の日本酒って何があるんですか?」と聞いてきた店長に

「ちゃんとここにも冷やしてあるじゃないですか 梅乃宿のあらごしシリーズが」と言えば

「梅乃宿って奈良県なんですね。 それにしても去年秋の梅乃宿ひやおろしは最高でしたね」

返ってきた。 同じ処に住む者として、九州で地元奈良の酒のお褒めの言葉を聞かされ、嬉しくて仕方なかった。

 

(「天心」しぼりたて生)

最後の一杯、「有加藤」をすすめた店長に逆らって、地元(北九州)の酒「天心」を頂いた。

「これもなかなかですよ」 地元で地元の酒を飲むのが、私の流儀。

 

「今日は思い切ってここに来てよかった」と私が言えば

「また小倉に来たら日本酒飲みに寄ってください。」

話をしていると実は、店長は日本酒が大好きだとわかった。

来てくれるお客さんに真の日本酒愛好家がいないことを嘆いていた。

千本の桜ならぬ一升瓶(その殆どは焼酎だが) に囲まれて味わった日本酒悪くなかったな。

 

日本酒好きの前には、美味しい日本酒が現れる。

まんざら 間違ってないようだ。

進取のスピリット溢れる街で味わう日本酒もこれまた格別だった。

(寅)



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