殴り合いは続いていた。
素早い亮のパンチが、淳の頬を張る。
淳は打撃を受けた頬を庇いながら、一旦身体を低く屈めた。
続く攻撃を掻い潜る。

そして沈み込んだ反動を使って、下方から亮に掴みかかった。
その強い力に、思わず亮の顔が歪む。

ギリ、ギリと、亮の胸ぐらを掴み震える淳の手。
彼を睨むその瞳の中には、亮に対する憎しみが燃えている。

力は均衡し、互いに一歩も譲らない。
亮もまた淳を睨みながら、その瞳に憎しみを宿らせる。

亮は胸ぐらを掴んだ淳の手から逃れると、すぐさま彼の後ろに回ってその首に腕を回した。
「この野郎‥!」と言いながら、肘に力を込める。

くっ、と苦しそうな声を漏らした淳だったが、次の瞬間亮のみぞおちにエルボーを入れた。
思わず亮の口から、「ぐほっ!」と声が出る。

亮が腹を押さえて顎が下げると、すかさず淳は頭突きをかました。
固い額と額がぶつかり合い、思わず亮はその身を仰け反らす。


そしてノーガードになった亮に向かって、淳は畳み掛けるように攻撃を続けた。
亮の頬に向かって、高く足を蹴り上げる。
ドゴッ!

これには堪らず、亮は仰向けのまま地面に倒れ込んだ。
そして寝そべる亮の腹に向かって、淳は蹴りを入れ続ける。

身体を丸めるようにして防御する亮。
「くっ」と声を漏らしながら、反撃のチャンスを窺う。

そして一瞬の隙を突き、亮は起き上がった。
吠えるように大きな声を上げ、淳に掴みかかる。
「うわああああ!」

再び亮は淳の後ろに回ると、暴れる淳をかいくぐりその身をホールドした。
そのまま淳の身体を抱え上げ、地面に向かって叩きつける。

口には血が滲み、既に顔には青あざが浮かんでいた。
亮は歯を食いしばりながら、淳に向かって拳を向ける。

マウントポジションを取った亮は、そのまま叩きつけるように拳を振るった。
「オレは今日!すげー幸せだぜ!
何度夢の中でお前を殴り倒したか!たまんねーぜ!」

嬉々として拳を振るう亮に対し、淳はクロスガードを掲げ、防戦一方だ。
しかし再び隙を見つけ、亮の身体に蹴りを入れる。

体勢を崩した亮は、そのまま地面に膝をついた。
マウントポジションから逃れた淳は上半身を起こし、そのまま二人は暫し睨み合う。

張り詰める空気の中、二匹の獣は視線を真っ直ぐに交わらせ、互いを窺った。
互いの瞳の中に、同じ憎しみの炎が見える。

そして両者同じタイミングで、二人は再び立ち上がった。
互いに視線を逸らさぬまま、胸ぐらを掴んでぶつかり合う。

互角だった。
力も体格も身のこなしも、両者の強さは均衡している。

亮はニッと笑いながら、淳に向かって口を開いた。
「へぇ‥結構鍛えてんのか?」「お前よりはな」

そう返す淳に向かって、亮はより一層腕に力を込めた。
「そうかよ?!」

ぐっ、と声を漏らしながら、淳の身体が沈み込む。
しかし淳は逆にその体勢を利用し、下方から亮の頬にパンチを入れた。

ふらついた亮の後ろに回り込み、淳が亮の腕を取る。

しかし亮はすぐさま身を翻し、淳に向かって蹴りを繰り出した。
「くたばれこの野郎っ!」

鋭い攻撃の応酬。
しかし淳は低く身体を屈めてその攻撃をかわすと、勢いをつけて亮に向かってタックルする。
!!

その衝撃に、亮は仰向けのまま地面に倒れ込んだ。
淳もそのまま崩れ落ちる。

「ぐっ‥!」

「うっ‥」

地面に打ち付けられる衝撃は、傷を負った身体にひどく響いた。
二人は地面に膝を付きながら、ヨロヨロと身体を起こす。

「くっそ‥頭が‥」

倒れた時に後頭部を打ったのか、目の前が揺れていた。
しかし亮は再び立ち上がると、ツバを吐きながら羽織っていたジャケットを脱ぎ捨てる。

目の前には、自分より一足早く立ち上がった淳が亮のことを睨んでいた。
亮はこの状況を可笑しみながら、は、と軽く息を吐く。


顔も体も傷だらけ、文字通り満身創痍な二人だったが、どちらも止めようとは言わなかった。
言葉など無くても、いや、言葉が無いからこそ、互いの心の内が手に取るように分かる。

淳は亮から視線を外さぬまま、無言でファイティングポーズを取った。
亮はそんな淳の気概を感じ、それを受け取る。
「ハハッ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<タイマン勝負(2)>でした。
‥この漫画、結構喧嘩シーン多いですよね‥。
亮と淳の高校時代もそうですが、度々喧嘩のシーンがあるなぁ‥と。
そして淳も亮も強い!
亮に一発殴られてふっとんだ横山や、淳に蹴られ続けるだけだった変態さんが霞みますな‥。
‥というところで今週はおしまいです。
この先、私の願いは一つだけ。先輩、亮さんの手だけは踏まないであげて‥!!
次回<タイマン勝負(3)>です。
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素早い亮のパンチが、淳の頬を張る。

淳は打撃を受けた頬を庇いながら、一旦身体を低く屈めた。
続く攻撃を掻い潜る。

そして沈み込んだ反動を使って、下方から亮に掴みかかった。
その強い力に、思わず亮の顔が歪む。

ギリ、ギリと、亮の胸ぐらを掴み震える淳の手。
彼を睨むその瞳の中には、亮に対する憎しみが燃えている。

力は均衡し、互いに一歩も譲らない。
亮もまた淳を睨みながら、その瞳に憎しみを宿らせる。

亮は胸ぐらを掴んだ淳の手から逃れると、すぐさま彼の後ろに回ってその首に腕を回した。
「この野郎‥!」と言いながら、肘に力を込める。

くっ、と苦しそうな声を漏らした淳だったが、次の瞬間亮のみぞおちにエルボーを入れた。
思わず亮の口から、「ぐほっ!」と声が出る。

亮が腹を押さえて顎が下げると、すかさず淳は頭突きをかました。
固い額と額がぶつかり合い、思わず亮はその身を仰け反らす。


そしてノーガードになった亮に向かって、淳は畳み掛けるように攻撃を続けた。
亮の頬に向かって、高く足を蹴り上げる。
ドゴッ!

これには堪らず、亮は仰向けのまま地面に倒れ込んだ。
そして寝そべる亮の腹に向かって、淳は蹴りを入れ続ける。

身体を丸めるようにして防御する亮。
「くっ」と声を漏らしながら、反撃のチャンスを窺う。

そして一瞬の隙を突き、亮は起き上がった。
吠えるように大きな声を上げ、淳に掴みかかる。
「うわああああ!」

再び亮は淳の後ろに回ると、暴れる淳をかいくぐりその身をホールドした。
そのまま淳の身体を抱え上げ、地面に向かって叩きつける。


口には血が滲み、既に顔には青あざが浮かんでいた。
亮は歯を食いしばりながら、淳に向かって拳を向ける。

マウントポジションを取った亮は、そのまま叩きつけるように拳を振るった。
「オレは今日!すげー幸せだぜ!
何度夢の中でお前を殴り倒したか!たまんねーぜ!」


嬉々として拳を振るう亮に対し、淳はクロスガードを掲げ、防戦一方だ。
しかし再び隙を見つけ、亮の身体に蹴りを入れる。

体勢を崩した亮は、そのまま地面に膝をついた。
マウントポジションから逃れた淳は上半身を起こし、そのまま二人は暫し睨み合う。

張り詰める空気の中、二匹の獣は視線を真っ直ぐに交わらせ、互いを窺った。
互いの瞳の中に、同じ憎しみの炎が見える。

そして両者同じタイミングで、二人は再び立ち上がった。
互いに視線を逸らさぬまま、胸ぐらを掴んでぶつかり合う。

互角だった。
力も体格も身のこなしも、両者の強さは均衡している。

亮はニッと笑いながら、淳に向かって口を開いた。
「へぇ‥結構鍛えてんのか?」「お前よりはな」

そう返す淳に向かって、亮はより一層腕に力を込めた。
「そうかよ?!」

ぐっ、と声を漏らしながら、淳の身体が沈み込む。
しかし淳は逆にその体勢を利用し、下方から亮の頬にパンチを入れた。


ふらついた亮の後ろに回り込み、淳が亮の腕を取る。

しかし亮はすぐさま身を翻し、淳に向かって蹴りを繰り出した。
「くたばれこの野郎っ!」

鋭い攻撃の応酬。
しかし淳は低く身体を屈めてその攻撃をかわすと、勢いをつけて亮に向かってタックルする。
!!

その衝撃に、亮は仰向けのまま地面に倒れ込んだ。
淳もそのまま崩れ落ちる。

「ぐっ‥!」

「うっ‥」

地面に打ち付けられる衝撃は、傷を負った身体にひどく響いた。
二人は地面に膝を付きながら、ヨロヨロと身体を起こす。

「くっそ‥頭が‥」

倒れた時に後頭部を打ったのか、目の前が揺れていた。
しかし亮は再び立ち上がると、ツバを吐きながら羽織っていたジャケットを脱ぎ捨てる。

目の前には、自分より一足早く立ち上がった淳が亮のことを睨んでいた。
亮はこの状況を可笑しみながら、は、と軽く息を吐く。


顔も体も傷だらけ、文字通り満身創痍な二人だったが、どちらも止めようとは言わなかった。
言葉など無くても、いや、言葉が無いからこそ、互いの心の内が手に取るように分かる。

淳は亮から視線を外さぬまま、無言でファイティングポーズを取った。
亮はそんな淳の気概を感じ、それを受け取る。
「ハハッ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<タイマン勝負(2)>でした。
‥この漫画、結構喧嘩シーン多いですよね‥。
亮と淳の高校時代もそうですが、度々喧嘩のシーンがあるなぁ‥と。
そして淳も亮も強い!
亮に一発殴られてふっとんだ横山や、淳に蹴られ続けるだけだった変態さんが霞みますな‥。
‥というところで今週はおしまいです。
この先、私の願いは一つだけ。先輩、亮さんの手だけは踏まないであげて‥!!

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ゆゆゆゆ雪ちゃん助けてえええ!!
あたしも先輩が亮の手を踏んだりきないことを願います…
陰暦の正月で田舎の真ん中にある親戚の家にいたので。
(偶然にも、韓国語で「ソル」。ええ、「雪」の音読と「陰暦の正月」は同じ単語で呼びます。同多義語ですよ。)
で、間を狙ってwifiのある部屋に忍び込んで、
同じ部屋でしか繋げない弱いwifiを捕まえて、
パスワード分からず、まず12345678を試してみたら出来て、
絵1枚ずつ開ける遅いwifiに怒って・・・
そうまでして見た3部84話ですが、やっぱり修羅場でした~
ですよねーこうなるとは思いましたよー
先輩のガタイいいなぁーって思います!綺麗な逆三角形ですよね!水泳選手みたいな!
殴られて傷だらけになる先輩も案外いいですね\(^o^)/
でも、自分は亮派です笑
先輩の白目、怖いですよね。さながら「恐ろしい子‥!」ですよ。(ガラかめネタ通じますでしょうか)
これで先輩が亮の手を踏んだりしたら(リメンバー「折っちまうか」)物語は全てふりだしに‥(@@)
CitTさん
韓国は旧正月だったのですね~。
ゆっくり過ごされましたか~^^
随分と苦労されて3部84話をご覧になったのですね‥おつかれさまです!
しかしパスワード簡単すぎますよ‥(笑)
きゅーさん
二人共強いですよね~。実践で腕を磨いてきた亮さんはともかく、どうして淳はここまで強いのか‥と考えると、やはり大企業の子息として護身術などを身につけたのかな?と想像したりしています。
先輩の逆三角体型‥ちょっと苦笑いしてしまうのは私だけでしょうか‥^^;
も素晴らしいです。笑
なんていうか、、これはかっこいいシーンなんでしょうけど…
だめだ…!どうしても絵がイロイロと気になって面白い方に…苦笑いところではありません。ごめんなさいごめんなさい。
しかし、どう展開していくのかとても楽しみであります。
さかなさん、ナイスガイ…河村でなく竹内力でもなく笑)川村の陽介さんか~!
いやいや、大ハマり!ぷははっ