ブログ小説 過去の鳥

淡々と進む時間は、真っ青な心を飲み込む

繁殖の春

2014-04-15 11:03:06 | 爆裂詩
シジュウカラが囀る
繁殖の春
ハシボソガラスが叫ぶ
不吉なだみ声
救急車が走り
今日もどこかで人の命が終わっている

いのちはいつか終わる
必ず終わる
シジュウカラも新たな命をはぐくみ
やがて自らの命を
そういうものだと知りつつ
ぼくは亀田の柿の種をかじり
ネスカフェを飲む

仕事の手は止まったまま
あと三日で仕上げなきゃならないというのに
まだ入り口でうろうろ
65歳の徹夜は厳しいのに
こんな文字を叩きつづけたり

またシジュウカラが鳴いている
電柱の上かそれともテレビのアンテナの上
あるいは欅の梢

階下から立ち上ってくるラーメンスープの匂い
妻はそろそろ昼食のできたことを告げてくれるはず
シジュウカラはまだ鳴いている


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。