芳太郎詩集7 ボルトナット
都市はボルトナット
ボルトナットがすべてを接合する
橋脚もビルも線路も
支配するのはボルトとナット
それが現実だ
冬の空間は冷たく閉ざされ
圧縮された気体が重く凝固し
結びつくボルトとナットは
10トントラックの振動にも耐え
一体化する物体と物体の強固な連帯
都市はボルトナット
しかしいつか
金属疲労は結合を劣化させ
ぼろぼろとはがれ
崩れ
都市は崩壊していく
いつか必ずやってくる巨大地震
やってくるかもしれない巨大台風
そして起きるかもしれない戦争
70年前の戦争で崩壊した都市建築がたどった道を
このボルトとナットが再び遭遇しないと断言できようか
着々と進む戦争肯定への道
集団的自衛権
自衛隊海外派遣
憲法改正
徴兵制
国防軍
70年前の悲劇
悪夢へひたひたと進む
薄汚れた足取り
ボルトナットは耐えられず
わたしたちの国は亡びへと向かう