顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

アカヤシオとシロヤシオ

2020年05月13日 | 季節の花

この時期、奥日光の山々で見られるヤシオツツジ(八汐躑躅)は栃木県の県花でもあり、山行をわざわざその開花時期に合わせるほど、魅力的な花です。
ただ、このツツジは大変気難しい樹木で、平地に持ってきても枯れてしまうと聞いたことがあります。
実際、高温多湿に弱く、夏の直射日光を避け、春と秋は良く日に当たり、風通しがよく斜面のような場所がいい…と書かれています。

そのヤシオツツジといえばこのアカヤシオ(赤八汐)、3月末に水戸城三の丸に残る土塁の上に咲いていました。確かに斜面で上部は背の高い落葉樹に覆われて生育条件は良さそうですし、夏の暑さも乗り切っているようです。

同じ頃、笠間市の唯信寺の境内でも見つけました。一つの枝に1輪だけ淡紅色の花を付けるので、別名ヒトツバナともよばれるそうです。

また、シロヤシオ(白八汐)は昨年4月末に茨城県立歴史館敷地の沢渡川緑地側に咲いていました。今年は新コロナウイルスの影響で一帯がしばらく閉鎖になっていましたが。

一つの枝先に白色の花を1から2輪つけます。5枚の葉が輪生状に付くことから別名ゴヨウツツジ(五葉躑躅)の名の方が一般的で、愛子内親王のお印(皇族が身の回りの品などに用いる徽章)としても知られています。

地球温暖化の影響で年々暑い夏が続いていますので、この先が心配ですが…
なお、アカヤシオより色が濃く、紫がかったムラサキヤシオという品種もあるそうです。

ヤシオの語源は諸説あり、「幾度も染液に浸して濃く染めること」というのが一般的のようです。となるとシオの字は、1回染めることを一入(ひとしお)というので八入(ヤシオ)が正しいという意見もありますが、実際には八潮、八塩、八汐、八染などが使われているようです。