コトバのニワ

出会った音やコトバのことなど

ロボット

2010-06-04 | ソ・テジ

 ソウルの二日目、8時の回の「ザ・メビウス」を観てから、江南の国立国楽院で国楽とおしゃべりのトークコンサート(冬ソナでサンヒョクの同僚DJだったユ・ヨルが司会)を楽しんだ後、大学路にあるロボット博物館(ココ)に、ソ・テジの<ロボット>のミュージックビデオに出てくるロボットを探しに行った。

 東崇アートセンターの斜め向かいくらいにあるロボット博物館は、2004年に開館した昔のロボット玩具を集めた博物館。思ったよりさびれた雰囲気なのは、ロボットなのに未来ではなく過去のほうを向いているからか。
 展示品も、日本をはじめ外国製が圧倒的に多い。韓国製の玩具ロボットは、ひとつの展示コーナーに集められていたけれど、テジの子どもの頃のものは、「1960年代後半~1970年代」と表示されていた次の写真のくらいだろう。
 
          
 
 それで案内係のお姉さんに、ソ・テジの<ロボット>のMVに出てくるロボットはありませんかと尋ねたら、ビデオを見てないからわからないと言う。韓国のテジマニアが探しにきたりしないんですか、と聞くと、知らないと言う。
 ちょっとがっかりして、それでも似てそうなロボットを探した。胸に歯車のあるこの真ん中のが一番近いと思われた。でも日本製だ。

          

 そして日本に戻ってから、写真のキャプションを頼りに「ホリカワ ファイティングロボット」を検索してみた。そしたらすぐに見つかった(ココ)。
 続いて芋づる式に、あっけないくらい簡単に、MVに出てくる4体全部のロボットの身元が割れた。
 なあんだ、全部日本製じゃないか。

 しかも、お金さえ出せば、今でもインターネットで普通に買える。
 探すべきところは韓国ではなく、日本だったのだ。
 これ、新生マニアのわたしが知らなかっただけで、もしかしたらテジマニアの常識だったんだろうか。
 わたし同様知らなかった人のために、4体のロボットの身元確認を。

Seo Taiji  7th - Robot [MV]


 男の子が抱えている左腕の取れたロボットは、1963年ヨネザワ製の「ギアロボット」。
 復刻版はメタルハウスという、ブリキ玩具専門の東京の町工場が作っている。メタルハウスは、ブリキロボットが盛んに作られ輸出もされていた黄金時代に、いろいろな玩具会社のロボットを下請けで作っていた会社で、このページの「サンプル動画」をクリックすると、MVと同じ動きが見られます。
 
 次に、額にTの字の刻まれたロボット(後で巨大な姿で出てきますね。7集CDのイラストもこれ)は、50年代を代表するモデルで、やはりヨネザワ製の「スモーキング・スペースマン」。解説はここ。復刻版やミニチュアも売られています。

 MVの一番最後、頭がパカッと割れて怪獣が火を吹くのは、1966年ホリカワ製の「怪獣ロボット」。やはり復刻版をメタルハウスが出していて、ここの「サンプル動画」でMVと同じ動きが見られます。

 それから最後のもう一体、ぴかぴか光る宇宙人みたいなのは、1958年野村トーイ製の「メカナイズドロボット」。解説はここ。復刻版も出ています。

 やれやれ。登場するロボットはみな、50~60年代の日本の代表的ブリキ玩具ロボットで、テジのMVにはその復刻版が使われてたんですね。
 そうとは知らず、韓国のロボット博物館くんだりまで^^;; 
 
 そしてとうとう、物欲にも負けてしまった… 
(あーやっぱりミーハーなのか。製造元でもトイショップでもたいてい品切れだけど、ここならばまだ。)
 ウンガーウンガーとゼンマイの音を立てて、胸の光を発しながら歩いてくるロボットは、ちょっと感傷を誘います。
            
 
 写真のムック『TOY Collection -ロボット狂時代』(1999、ネコ・パブリッシング)によると、1940年代に世界初のロボット玩具を作ったのは日本だそうです。
 人間に使役される存在としてのロボットは、「下層の労働者の仕事を奪ってしまうと言う解釈から、ヨーロッパではどちらかというと忌み嫌われる存在」であり、「ましてや子供の玩具のテーマとして取上げるなどなかなか考え難いことであった。」(上掲書)
と書いてあって、ちょっと驚いた。
 
 <ロボット>のMVのメイキングはこちらを。http://tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=13264671
 テジがギアロボットを持っている場面も出てきます。
 ソテジシンフォニーのDVDで、「歌手はやっぱりスモークがなくちゃ」とジョーク(?)を言ってましたが、その元ネタもこのメイキングの中にありますよ。