良いコーヒーの条件として最近私が気がついたのは、冷めても味が落ちないということです。
さて、今日はまずパナマの豆を試しました。パナマ運河のパナマです。
新しい豆を試すたびに、本当にいろいろな種類の豆があるんだなと感心してしまいます。ある国でコーヒーを栽培していれば、その国の名前がついて呼ばれるわけですから、コーヒーを作っている国の数だけ豆の種類があることになります。もちろん一つの国で別のブランドがあればそれだけ種類は増える。コーヒーの世界は果てが見えません。
パナマの豆は、粒が小ぶりです。色はそれほど濃くないシティーローストぐらいでしょうか。またまたかじってみると、やっぱりコーヒーキャンディーの味がしました。サイフォンで淹れてもらいましたが、特に際立った特徴はなく、少し酸味が強いかなというぐらいでした。淹れてくれた店員さんは、フルーティーと言っていましたが、それはあまり感じられませんでした。
それよりもフルーティーでおいしかったのが、マンゴーチーズケーキ。マンゴーの酸味がチーズケーキの甘さをほどよく抑え、上品な味。コーヒーにもよく合います。
ケーキをつついていると、オーナーが現れました。
そしていつものように、2杯目を聞かれます。そしていつものようにおススメをオーダーします。今日のおススメは、「なんちゃらかんちゃら」。よく聞き取れなかったので、もう一度聞きます。「なんちゃらかんちゃら」。3,4回聞いたところで、オーナーがあきらめて「後で紙に書くから」と言って作業に入ってしまいました。
あとから判明した名前は「Yirgacheffe」。エチオピアの豆だそうです。いったい何語なのでしょう。何度聞いてもわかりません。文字を見てもどう発音するのかわかりません。とにかくそれを淹れてもらうことにしました。
この豆もオーナーが台湾から持ち帰ったもので、買う時にその場で焙煎してくれたそうです。
近ごろはエチオピアの豆で当たっているので、名前はよくわかりませんが、期待大です。見せてもらった豆は、大きい豆や小さい豆が混じっていて、しかも焙煎具合にムラがあります。それがちょっと気になりましたが、飲んでみないとわからない。オーナーがサイフォンを使う様子を見守ります。いつもより大きいサイフォンを使い、豆の量も多かったので自分のカップも作るつもりのようです。
そして出されたカップに鼻を近づけ、香りをたしかめます。「うん」。サイフォンで淹れたコーヒーによく出る苦さが強そうな香りがします。
そしてしばらく温度が落ち着くのを待って、口に含みます。「うーん」。やはり苦さが強い。作ってくれたオーナーの話では酸味が強いはず。でもそれがあまり感じらない。それが顔に出ていたのだと思います。オーナーも自分のカップに口をつけます。すると驚いたことに、「これは違う」とオーナーが言います。どうやら、台湾で飲んだものと違う味だったようです。
そしてカップを残したまま奥に引っ込み、また新しい豆を持ってきて、私に見せてくれました。
新しく持ってきてくれたのは、同じ豆だけれど別のカフェで焙煎されたものだそうです。たしかにさっきのと違い、豆の大きさも焙煎の具合も均一です。香りも違います。飲みかけのカップにもう手をつけずに置いておくように私に言い、オーナーは新しくサイフォンで淹れなおします。
そしてできあがった2杯目の「Yirgacheffe」。
カップを近づけると、明らかにさっきのものとは香りも違います。苦そうな香りが抜け、浅目のローストの青々した香りが残っています。口に含むと、これもまた驚きです。味も全然違います。たしかに酸味が際立ち、アロマが広がります。何回か口に含んでいると、香りや味がお茶のようだなという感じを受けました。隣にいたお客さんも少し試しに飲んでみて、同じような印象を持ったようです。
試しにさっきのコーヒーと飲み比べると、味の差は一目瞭然。2杯目のを飲んだあとは、1杯目のものは飲めません。もう一度自分も試していたオーナーも、今度こそそれだと満足な様子です。
もちろんこの2杯目の「Yirgacheffe」も冷めても味も香りも落ちませんでした。