CWA 受難劇
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オーバーアマガウについて、行く前に知っていたことは、ミュンヘンから2時間くらい南へ入ったところだという
ことと、10年に1度の受難劇が有名で、世界中から人が集まることという程度だった。観光地なのだろう、カタ
カナでオーバーアマガウと検索してもネット上にはホテル案内や旅行記などが結構見つかる。それでミュン
ヘンからの経路もわかったのだが、受難劇の年ではないので、あまりその土地に対する興味はなかった。
しかし・・・最終日に受難劇が演じられる劇場を見学して、その思いが変わった。旅に出る前に友人の一人が
言った言葉「一生に一度は行ってみたいのよね」が、帰ってきた今、実感としてわかる。確かにその価値があ
る。
ちょっと図書館へ行く用事があったので、受難劇について調べてみた。アメリカの音楽辞典にはあまり書かれ
ていない。ドイツ語の音楽辞典には、Passionについてかなりのページ数が裂かれていたが読めなかった。百
科事典では、オーバーアマガウが有名とある。新カトリック大事典(1996)には、オーベルアンメルガウという
項目があった。この記事と、ネット上にある記事で、ガイドさんの英語の説明を補うことができるだろう。
この受難劇は1634年に始まる。1633年にペストがドイツ南部を襲ったとき、村人は世の終わりまで受難劇を奉
納することを誓った。以来10年に1度(1680年からは西暦末尾の0年ごと)上演されている。すべてが住民によ
って演じられ、オーバーアマガウに生まれたか、20年以上住んでいなければ出演できない。配役の決定には
演技力だけではなく、日常の品行も考慮されるというところが、宗教行事としての伝統を守っているあかしで
あろう。また、メークをせず素顔のまま出演するため、役柄に合わせてヒゲをのばすそうだ。人口約5,000人の
うち、2,000人ほどが関わり、そのうちの約500人は子供である。人間だけではない。馬もヤギも出演する。
現在の劇場は約4800名収容、客席の上に屋根があるが舞台の上にはなく、半野外劇場となっている。上演
は5月から10月の初めまで、前回2000年にはおよそ100回行われた。1回の上演は約6時間、朝から始まり、
昼に2時間半の休憩を取り、夕方まで1日がかりだそうだ。
脚本はヴァイス(Othmar Weis)によるものとされているが、これは1850年から1868年の間にダイゼンベルガー
(Joseph Alois Daisenberger)によって改定された。 音楽はオーバーアマガウの教師であり教会音楽家の、デ
ドラー(Rochus Dedler)による1815年のものが使われる。しかし時代により少しずつテキストの変更が行われ、
音楽も2000年には音楽監督ツヴィンク(Markus Zwink)による作品や、現代的変更が加えられている。この年
の録音は、"Passionsspiele 2000 Oberammergau"という70分のCDにまとめられていたらしい。
実は受難劇を演劇と思っていたため、音楽のことは考えてもいなかった。それで見学のときに初めてその音
楽を聞き、驚いた。オーケストラも合唱もすべてオーバーアマガウの住民。こんなに音楽性の高い人たちに、
ガラ・コンサートを聞いてもらったのだ。
そしてもっと衝撃的だったのが、磔の十字架。楽屋に置いてあったその十字架は、家の柱のような太い木で、
とても大きく、重そうだった。これを担いで歩き、そこにはりつけられる。この十字架が、これまでの聖書理解を
超える実体として迫ってきた。実際の上演には登山用品が使われるそうだが、キリスト役の人は20分も十字架
の上にいなければならないため、トレーニングをするという。
たしかにこれは一生に一度見る価値があるだろう。しかし人生の後半にいるものにとって、10年に1度しかな
いことに対する計画は難しい。 2020年か2030年に行けるのか、2040年まで体力が続くのか? 2010年の場
合、上演は5月15日から10月3日まで。第一部が14:30から17:00、第二部が20:00から22:30と決まった
ことと、10年に1度の受難劇が有名で、世界中から人が集まることという程度だった。観光地なのだろう、カタ
カナでオーバーアマガウと検索してもネット上にはホテル案内や旅行記などが結構見つかる。それでミュン
ヘンからの経路もわかったのだが、受難劇の年ではないので、あまりその土地に対する興味はなかった。
しかし・・・最終日に受難劇が演じられる劇場を見学して、その思いが変わった。旅に出る前に友人の一人が
言った言葉「一生に一度は行ってみたいのよね」が、帰ってきた今、実感としてわかる。確かにその価値があ
る。
ちょっと図書館へ行く用事があったので、受難劇について調べてみた。アメリカの音楽辞典にはあまり書かれ
ていない。ドイツ語の音楽辞典には、Passionについてかなりのページ数が裂かれていたが読めなかった。百
科事典では、オーバーアマガウが有名とある。新カトリック大事典(1996)には、オーベルアンメルガウという
項目があった。この記事と、ネット上にある記事で、ガイドさんの英語の説明を補うことができるだろう。
この受難劇は1634年に始まる。1633年にペストがドイツ南部を襲ったとき、村人は世の終わりまで受難劇を奉
納することを誓った。以来10年に1度(1680年からは西暦末尾の0年ごと)上演されている。すべてが住民によ
って演じられ、オーバーアマガウに生まれたか、20年以上住んでいなければ出演できない。配役の決定には
演技力だけではなく、日常の品行も考慮されるというところが、宗教行事としての伝統を守っているあかしで
あろう。また、メークをせず素顔のまま出演するため、役柄に合わせてヒゲをのばすそうだ。人口約5,000人の
うち、2,000人ほどが関わり、そのうちの約500人は子供である。人間だけではない。馬もヤギも出演する。
現在の劇場は約4800名収容、客席の上に屋根があるが舞台の上にはなく、半野外劇場となっている。上演
は5月から10月の初めまで、前回2000年にはおよそ100回行われた。1回の上演は約6時間、朝から始まり、
昼に2時間半の休憩を取り、夕方まで1日がかりだそうだ。
脚本はヴァイス(Othmar Weis)によるものとされているが、これは1850年から1868年の間にダイゼンベルガー
(Joseph Alois Daisenberger)によって改定された。 音楽はオーバーアマガウの教師であり教会音楽家の、デ
ドラー(Rochus Dedler)による1815年のものが使われる。しかし時代により少しずつテキストの変更が行われ、
音楽も2000年には音楽監督ツヴィンク(Markus Zwink)による作品や、現代的変更が加えられている。この年
の録音は、"Passionsspiele 2000 Oberammergau"という70分のCDにまとめられていたらしい。
実は受難劇を演劇と思っていたため、音楽のことは考えてもいなかった。それで見学のときに初めてその音
楽を聞き、驚いた。オーケストラも合唱もすべてオーバーアマガウの住民。こんなに音楽性の高い人たちに、
ガラ・コンサートを聞いてもらったのだ。
そしてもっと衝撃的だったのが、磔の十字架。楽屋に置いてあったその十字架は、家の柱のような太い木で、
とても大きく、重そうだった。これを担いで歩き、そこにはりつけられる。この十字架が、これまでの聖書理解を
超える実体として迫ってきた。実際の上演には登山用品が使われるそうだが、キリスト役の人は20分も十字架
の上にいなければならないため、トレーニングをするという。
たしかにこれは一生に一度見る価値があるだろう。しかし人生の後半にいるものにとって、10年に1度しかな
いことに対する計画は難しい。 2020年か2030年に行けるのか、2040年まで体力が続くのか? 2010年の場
合、上演は5月15日から10月3日まで。第一部が14:30から17:00、第二部が20:00から22:30と決まった