【例題】
(case1)Y1(10歳)は、球技が禁止されている公園で友人たちと野球をしていたところ、Y1の打ったボールが公園内を散歩していたX1に衝突し、X1が負傷した。
(case2)Y2(30歳)は、「燃やせ」という幻聴にしたがって、X2の自宅に火炎瓶を投げ込み、X2の自宅は全焼した。
[責任無能力者(その1):12歳程度を超えない者(民法712条)]
・未成年者の中で . . . 本文を読む
【例題】
(case1)X1は、Y1に殴打されて傷害を負った。Y1の氏名や所在が不明なまま、事件から6年が経過した。※参照:最二判昭和48年11月16日民集27巻10号1374頁[白系ロシア人拷問事件]
(case2)X2は、宗教団体Y2の幹部であるW2から「水子の霊がついているので祈祷をしないと一族郎党が不幸になる」と言われ、W2に言われるがまま祈祷料と称して1000万円をY2名義の預金口座 . . . 本文を読む
【例題】X1(代理人弁護士X2)は、Y1(代理人弁護士Y2)に対する損害賠償請求訴訟を提起した。
(case1)Y2は、準備書面において「X1は過去に詐欺で逮捕されている」と記載し、弁論準備手続期日で同書面を陳述した。
(case2)Y2は、準備書面において「X1は被差別部落出身だ」と記載し、弁論準備手続期日で同書面を陳述した。
(case3)Y2は、準備書面において「X2は弁護士費用目当て . . . 本文を読む
【例題】Aは、弁護士Bの所属する甲弁護士会に対してBの懲戒処分を求める懲戒請求を行った。甲弁護士会は、Bを懲戒しない決定をした。
[前提:いわゆる「不当懲戒」の流れ]※本来は「違法懲戒」と表現すべきだろうが(たぶん)、「不当懲戒」との言い方が通例化している。
〔所属弁護士会:懲戒請求事件〕
・[1]懲戒請求者:弁護士会に対して「懲戒事由(※)」を明示した懲戒請求を行う(弁護士 . . . 本文を読む
[一応の結論(私見)]
・総論:不法行為の成否を決める判断ポイントは、侵害されたとされる「権利利益」の性質(客観的ファクター)と、侵害行為の態様(主観的ファクター)である。□吉村95参照
・侵害された権利利益が強固なものであれば、直ちに(直感的に)不法行為該当性が当然に認められている。ここではあえて「違法」を論じる実益はない。□加藤雅184,232-3、吉村38-9,41-2参照
・他方で、 . . . 本文を読む
2022-12-11追記。
[結論:最高裁判例の到達点]→《プライバシーの権利》
・最高裁による「プライバシー」の明確な定義はなく(※)、人に知られたくない情報であれば広くプライバシー該当性を認めているか。最高裁によれば、少なくとも次の情報は「プライバシー」に含まれる:前科前歴、ロッカーに入れた手帳の記載、生育歴、氏名住所電話番号学籍番号。
※209ある世界の実定憲 . . . 本文を読む
2020-06-22文献追記。
【例題】XとYとの間で交通事故が発生した。Xは、「この事故により総額5000万円の人的損害が生じた」と主張し、そのうち1000万円につき、Yに対する損害賠償請求訴訟を提起した。Yは、各損害費目を争うほか、過失相殺も主張している。
[訴訟物一個説]
・最一判昭和48・4・5民集27巻3号419頁は「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財 . . . 本文を読む
【例題】Xの運転する自動車とYの運転する自動車が信号機のない交差点で出会い頭に衝突した。この事故によってXが所有する自動車は大破し、Yが所有する自動車は軽微に損壊した。またXは6か月の治療を要する傷害を負い、Yは1か月の治療を要する傷害を負った。この度、XはYに対する損害賠償請求(物損・人損)をおこなった。Yもこれを機に自己の損害をXから回収したいと考えている。
[物損の損害賠償 . . . 本文を読む
【例題】P社に勤務するAは、業務として営業車を運転中、相手方Bとの間で追突事故を起こした。この事故によってBは物的損害100万円を負った。※マイカー通勤事例の参考記事
(1)使用者Pが、民法715条責任として被害者Bに100万円を賠償した場合。
(2)被用者Aが、民法709条責任として被害者Bに100万円を賠償した場合。
[使用者から被用者への求償権とその制限]
○代位構成 . . . 本文を読む