パンダとそらまめ

ヴァイオリン弾きのパンダと環境系法律屋さんのそらまめによる不思議なコラボブログです。
(「初めに」をご一読ください)

Campus Climate Neutral

2006-03-25 23:48:34 | 環境ネタ
これまた昨日ですが、NY郊外ウェストチェスター・ホワイトプレインでにあるPace Law SchoolでCLIMATE CHANGE SUMMIT - Campus Climate Neutral: Greening the Campus Climateなる会議があったので、小旅行して参加してきました(予習も復習もそっちのけ状態ですね)。Paceは環境法コースがある数少ないロースクールの一つです。
   

Environmental Law Society(Paceロースクールの学生組織)が実質的な主催でしたが、それにしてもよくオーガナイズされた会議で、
○午前;全体レビュー
○ランチ;クイックプレゼン(なぜCampusなのか)
○午後;いくつかの事例紹介
ってな構成でした

私の立場から一番興味を引かれたのは第一部ですが、キャンパスからやりましょ、大学生は全米で1500万人もいるんだよ、何しろ大学のメリットは、Unlimited Renewable Studentsだ云々情熱的に語る学生の姿は感動的ですらありました

んで面白かった点をいくつか。

○企業の動き
 ABAの前Section of Environment, Energy, and Resourcesの長だった方のプレゼンによると、人為的な影響さえ否定するような会社(エクソン)から、対応を不可避と捕らえて実際の行動に移す企業(BP、GE、デュポン)まで様々で、例えば保険業界は、気候変動対策の重要性を強調している(自動車事故防止に熱心なのと同じ現象)。
 にも関わらず強力なロビイングの流れにならないのがなぜか質疑になりましたが、典型的なCollective Action(正の外部性の故に過小供給)や、ブッシュ政権との敵対を恐れているではないか、云々。

○裁判の動き
 いろんなケースのレビューをしてもらって面白かったのですが、触れていると長くなるので詳しくはまた改めて。面白かったのは、裁判の役割のCharactrizeの仕方で、前ABAの環境セクションチーフの方も、ロバート・スカリア・ケネディ・アリートの最高裁で最終的に勝てるとは思っていない訳ですね。んで、多くを期待するのはよくないけど、にも関わらず、裁判はPolitical Processの「タグボート」になり得るので、チャレンジを続けると割り切ってやっていると。

○連邦議会と行政の動き
 EPAのRegion2の方のプレゼンによると、いろんな提案、大きく言って横断的なもの(マケインー=リーバーマン、ビンガマン)や、電力セクター限定ものがあるけど、大方の人は今年はどの法案も成立しないだろうと思っている。
 相変わらず大統領はあらゆるMandatoryな制度に全て反対している状況で、「今は連邦の動きを待つときではない。」当然皆が思っていることですが、連邦政府内の職員のフラストレーションが相当なものだと改めて思われました(EPAの見解を代表していないと断っていましたけどね)。

○気候変動の影響―NY編
 一応Scientificな話もさわりだけあったのですが、「NYにどういう影響があるのか」というローカルな話は面白かった。1.4-5.9℃上昇とか通り一遍のことを言われるよりも、やっぱり「セントラルパークの気温が100年で~」といわれた方が実感も沸くというもの。実際「New York Cityの影響は分かったけど、Westchesterはどうなんだ」、とかいう地元意識むき出しな質問もあったりして。
 
○キャンパスでの対策
 Yaleなんかは自前の発電所があったりで、専門組織まで作って工夫しているとか、成功事例の一つとして紹介されていたUCSBの取り組みなんかを見ていても、実際にキャンパスでの取組が「タグボート」になっていきそうな気さえしました。お歳を召した参加者の中にはベトナム戦争時(連邦の緩慢な動きと学生の熱気)のことに言及している方がいましたが、アナロジーの当否はともかく、「自分達で変えてやろう」という姿勢には見習うところが多そうです。


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