カクレマショウ

やっぴBLOG

CSRで教育が変わる。

2007-10-04 | └キャリア教育
CSR(Corporate Social Responsibility)つまり、「企業の社会的責任」という言葉があります。

CSRとは、製品やサービスの提供、雇用の創出、納税など、企業として社会に対して「当然すべきこと」のほかに、メセナ活動(芸術文化の支援)など、社会貢献的な活動も含まれます。メセナ[mecenat]というのは、古代ローマ時代に皇帝アウグストゥスに使えた重臣マエケナス(Maecenas)の名前に由来するフランス語。マエケナスが、政治家として活躍する一方で、ヴェルギリウスなどの詩人や芸術家を厚く保護したことから、この言葉ができました。

企業の社会貢献活動は、文化・芸術分野とは限りません。また、企業倫理や法令を守る(コンプライアンス)ことが企業の責任に対しての中心的な考え方というのももはや時代遅れです。実際には、倫理観に欠けたトップや法律を守らない企業が多くて困ったものですが、そもそもコンプライアンスは、「企業」である以上当たり前のことです。

最近は、NPOと結んで環境や福祉分野、国際貢献といった分野で社会貢献活動を展開している企業も増えているようです(2007年10月1日付け日本経済新聞)。たとえば、ユニクロや日本郵船が、海外の災害に際して衣料や救援物資を現地に送る。トステムという会社が、ユニバーサルデザイン生活者ネットワークというNPOと協働して、企画の段階からユニバーサルデザインの考えに基づく玄関ドアを開発。NPOの持つ機動性や専門性を活かしながら、お金がかかるところは企業が責任もって製品開発や事業にのぞむ。それでお互いにウィン・ウィン。

そういう「かっこいいこと」は資金の豊富な大企業だからできることで、経営に切羽詰まっている中小企業には社会貢献なんてとても無理、という声もよく聞きます。

でも本当にそうでしょうか?

中小企業の強みは、より「地域」と密着していること。地域の中では、学校で子どもたちが学び、大人は公民館などで学習したり、地域活動に精を出している人もたくさんいます。地元企業は、そうした学校での教育活動や地域活動に対して、役に立つ資源を必ず持っているはず。それが何なのかをお互いに探し合うことがまず大切なのでしょうね。

特に、これからは、子どもたちの教育について、企業がその社会的責任を果たす場面が増えていくのではと思われます。これも「大企業」の例になりますが、大和証券グループは、経済教育への支援をCSRととらえ、学校への様々な支援を行っています。同社の鈴木社長自身、「企業社会での実体験が学ぶ意欲や興味を誘う」と語り、積極的に学校への働きかけを牽引しています。先日の朝日新聞には、全面広告で「企業の学校教育へのかかわり方はいかにあるべきか?」として、鈴木社長を含め、学校、企業、NPOのトップの対談の様子が掲載されていました。見出しだけ拾っても、「社会そのものが教材である」、「子どもに伝えるべきことは企業で働く大人の姿の中に」、「子どもに実社会を見せる」、「社会全体が参加する学校教育」など、これからの教育のあり方を指し示すような魅力的なフレーズが並んでいます。

一つだけ気になったのは、鈴木社長の、「学校の先生に「教師の仕事は知識を与えることではなく、それを通して子どもたちの社会で生きる力、人間性や思考力を育てることなんだ」ということをしっかり諭す人が必要」という発言です。それはまさにそうなんですが、正確には、「教師の仕事は知識を与えることだけではなく…」だと思うのです。「知識を与えること」はまさに学校の役割ですから。それをなしにしたら学校の意味はありません。

結局、「役割分担」なんだなと思います。いくら企業が教育を担うといっても、「すべて」ができるわけではありません。学校には学校の、企業に企業の、地域社会には地域社会の、親には親のそれぞれの役割があって、それをみんながちゃんと共有することが大事ですね。親が悪い、学校が悪いと責任をなすりつけ合っている場合ではない。社会全体で子どもを育てていかなければならないのですから。

キャリア教育、という言葉をことさらに振りかざすまでもなく、大企業だろうが中小だろうが、あらゆる会社が子どもたちの教育にいろいろな形で参画するようになれば、きっと日本のミライは明るい。


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