カクレマショウ

やっぴBLOG

「カタリバ」の連鎖を。

2008-03-10 | └キャリア教育
東京にあるNPO法人カタリバでは、大学生と高校生が、将来のことや生き方について語る場(つまり「カタリバ」)を提供しています。

先日、その手法をそっくり真似した試みが市内の高校で行われました。県内6大学から「キャスト」として集まった大学生は39人。午前と午後の2部に分けて、240人の高校1年生を相手に「カタリバ」を展開しました。

基本的な流れは次のとおり。

【オープニング】(5分)
全員の前でキャストの紹介、開始宣言
<→大学生、高校生は予め決められた教室に移動>
【第1ステージ】(20分)
・自己紹介とアイスブレーク。
・グループに分かれて「今の自分」の確認(基本的に1グループに1人の大学生がつく)。
<高校生は、「語り手紹介シート」を読んで話を聴きたい大学生を選び、そのカタリが行われる教室に移動する>
【第2ステージ】(40分)
・大学生による体験談の「カタリ」①
<高校生は2人目の語り手のいる教室に移動する>
・大学生による体験談の「カタリ」②
<高校生は、最初の教室、グループに戻る>
【第3ステージ】(30分)
・体験談の感想の共有化。先輩の体験談を踏まえ、「なりたい自分」になるためにやらなければならないことについて一緒に考える。
・今日からできること、明日(近い将来)からやることを一緒に考える。
・大学生は、グループの高校生に励ましの言葉を書く。
【エンディング】(5分)
・高校生からの感想、終了宣言

移動時間を含め、約2時間で1セットになります。何せ、初対面の大学生ですから、高校生も最初はなかなか口が重かったりしますが、やはり年が近いこともあるのか、第3ステージともなると高校生からも笑顔も出て、話が盛り上がっているグループも多く見受けられました。

第2ステージの大学生による「カタリ」の部分は、全部の教室で聴くことはできませんでしたが、6人の語り手は、みんな手作りの「フリップ」を使って、すばらしいプレゼンをしていたようです。自分の体験をもとに、今、自分が何を考えてどんなことに頑張っているのか、あるいはこれからどんなことにチャレンジしようとしているのか。飾ることのない「身の丈サイズ」の言葉で高校生に語りかけてくれていました。

聴いている高校生のまなざしも輝いていました。高校生があんなに目をきらきらさせて話を聴いている姿を久しぶりに見たような気がしました。やっぱり、先生でもない、親でもない、友だちでもない、少しだけ先を歩いている先輩の話は、高校生にとって一番のカンフル剤になるのかもしれません。

すべての日程が終了したあと、大学生たちは、2時間近くの時間をかけて「ふりかえり」を行っていました。実は、午前の部が始まる前にも、朝早くから集まって、入念な打合せとリハーサルをしていたのです。「カタリバ」は、高校生のキャリア教育という意味合いが強いのですが、実は大学生自身にとっても様々な力が身につく機会と言えます。ふりかえりでは、全体的な運営に関すること、アイスブレークのこと、効率的な高校生の「動かし方」に関すること、役割分担のことなど、様々な角度から反省点が出されました。これらは、来年度からの「本番」で生かされていくことでしょう。

大学生に対する行政からの働きかけというのは、少なくとも青森県内では、これまであまり見られなかったことです。もちろん、青森市内の新町商店街が仕掛けたボランティアグループ「まちなか しかへらぁ~s」など、大学の枠を超えたネットワークもありますが、多くの大学生は、それぞれの学内での活動がほとんどではなかったかと思います。今回のような取組は、大学生のネットワークづくりのきっかけにもなり得ますし、何よりも、高校生のキャリア教育に、大学生の力とエネルギーを生かせるというのがすばらしい。いわゆる「ナナメ」の関係がつくり出す学びの場です。

私が「カタリバ」を見ていて感じたのは、やっぱり学びというのは「引き出す」ことなんだなということ。今回の試みでは、大学生の「引き出す力」がみなぎっていました。高校生が目を輝かせて話を聴いていたこと、そして、いろいろな悩みや夢を語っていたこと自体、「引き出す力」がなければあり得なかったことでしょう。もちろん、「引き出す力」は、テクニックだけに頼るものではありません。「心」、「生き方」、「考え方」、お互いにそこに共鳴した時に「引き出す力」が生まれるのです。

大学生に聞いてみたいことがひとつありました。「今日はみんなの「引き出す力」が十分に発揮されて高校生からいろんなことを引き出せたと思うけど、みんなも、誰かから引き出してもらいたいと思わないか?」 大学生も、これから実社会に出て行く途上にあります。今度は大学生から、自らは気づかない可能性を引き出す仕掛けも必要なのではないでしょうか。

「ジョブカフェあおもり」では、大学生と企業人のマッチングさせる取組を行っていますが、そこで「カタリバ」のような手法を使ってみても面白いかもしれませんね。高校生─大学生─社会人がスムーズにつながるために、「カタリバ」のような仕掛けがもっと増えてもいいと思いました。


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