カクレマショウ

やっぴBLOG

かでる・かだる

2007-01-26 | ■つながり・コミュニケーション
今日1月26日は、藤沢周平の命日、寒梅忌です。

ということを、地元紙の投稿欄で知りました。投稿者(女性)は、藤沢作品に出てくる「加担る」(かたる)という表現を知って「スッと合点がいった」のだそうです。八戸育ちの投稿者が子どもの頃から使ってきた「かだる」という言葉にはそんな意味があったのかと。

南部弁だけでなく、津軽弁にも「かでる」、「かだる」はあります。青森市男女共同参画プラザの名称は「カダール」です。また、北海道立生涯学習センター(札幌市)の入っている建物の愛称は「かでる2・7」、秋田には「かでる雪祭り」というのもありますので、これは東北・北海道の広い範囲で使われている方言なのかもしれません。

たしかに、「かだる」、「かでる」という言葉、私の子どもの頃は挨拶代わりにしょっちゅう口にしていたような気がします。「わも、かでで」(私も仲間に入れて)。「あんだも、かだねがー」(あなたも参加しませんか)(=投稿より引用)。なつかしい。改まって「仲間に入れて」とか「一緒に遊ぼう」という代わりに、「かでで」、「かだれ」という手軽な言葉があったことで、友だち関係がどんなに楽になったことでしょう。

しかし、最近は子どもたちがそんな言葉を使うのをあまり耳にしなくなりました。「かだる」に限らず、そもそも方言を使わなくなったという背景もあるのでしょうが、「かだる」、「かでる」という人間関係が薄まってきているのかなとも思います。気軽に相手の中に飛び込んでいったり、誰だろうとまずは受け入れる、といった関係が希薄になっているのかもしれません。本来、そういう関係を最も得意とするのは子どもたちの世界だと思うのですが…。もちろん、大人社会のそんな雰囲気を敏感に感じ取ってしまうのが子ども世界ですけど。

現代の青森の子どもたちは、仲間に入りたいとき、どういう言葉を使うのでしょうか。

ところで、方言は古語に由来するものが多いですね。辞書を引くと、他動詞の「かてる 【糅てる】」という言葉は古語にあったようです。「まぜあわせる」という意味のようです。一方、自動詞の「かたる」の方は、見つけることができませんでした。投稿者が感心した藤沢周平の「加担る」というのも辞書には出てきませんので、これは藤沢流の当て字なのでしょう。「加担/荷担」は、「荷物を背負うこと」から転じて、「仲間に加わって助力する」という意味で使われますので、「加担る」イコール「かだる」ももちろんまちがいではないでしょう。ただ、「陰謀に加担する」、「悪事に加担する」のように、この言葉はけっこう「悪いことに加わる」という意味合いで使われることが多いかな、という気もします。

寒梅忌に因んで今日は藤沢周平のことを書くつもりが、別の話題になってしまいました。藤沢周平については、また改めて…。

 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿