鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

岳、ブレぬ向上心

2013年05月22日 | Weblog
日本代表入りへ、柴崎岳が描く成長曲線
飽くなき情熱でさらなる上昇を目指す

安藤隆人2013年5月22日 15:30

ぶれないメンタリティー


3年目の今シーズン、柴崎は鹿島の中心選手として不動の地位を築いている【Getty Images】

 冷静沈着な目はあの頃と変わっていない。背筋をぴんと伸ばして、ピッチ中央で全体を見渡し、正確な長短のパスを繰り出す。柴崎岳は今、鹿島アントラーズで不動の存在となり、攻守の要としてピッチ中央に君臨している。

 中学生時代から天才として注目を集めていた逸材は、すくすくと着実に成長を遂げている。時として天才は“もろ刃の剣”と言われ、不遇の時を過ごし、終えんしてしまう運命をたどることもある。だが、柴崎は違う。着実に必要なステップを踏んでいる。

 なぜ彼はそうできるのか。その秘密はぶれないメンタリティーにある。筆者は彼が中学2年生だった頃から知っているが、今も昔も考え方、姿勢は全く崩れていない。「将来のことを視野に入れながらプレーをする」。常に目先の事だけではなく、未来も設計の中に組み入れて行動する。それはオフ・ザ・ピッチにも表れ、すべてをサッカー優先にとらえていた。中学2年生から3年生に上がる春に、早くも青森山田高校のボランチとしてデビュー。あるフェスティバルではアップの時から一人だけ中学生と思えないほど落ち着いていた。いざ試合が始まると、積極的にボールを呼び込んで、冷静にさばいていく姿が印象的だった。

「正直、年齢とか気にしていません。ピッチ上では平等だと思うし、出ている以上は自分がチームの一員として機能しないと意味がない。遠慮していたらかえって迷惑になってしまう」

 こう言い切る姿は、中学生のそれとは思えなかった。中学3年生で早くも青森山田高の不動のボランチとなった彼は、高校進学後、10番を3年間背負い続け、チームの中心になり続けた。

「自分が一番」という環境は好きではない
 柴崎の口から発せられる冷静な言葉は、時として“生意気”に映るかもしれない。実際、高校時代はそういう見方も多かった。だが、彼ほど情熱家で、向上心の強い選手はめったにいない。

「年齢が上がれば上がるほど、求められるものは多くなる。それに応えないといけないし、自分は常に自分が下になるような環境にいたいんです。そうすればより上を目指そうという気持ちになるし、『自分が一番』という環境は好きではありません」

 この言葉の奥には、常に自分が“追い越す側”にいたいという強い欲求がある。彼は“お山の大将”になることを望んでいない。あれだけの才を持ちながらも、自分よりうまい選手のプレーを吸収し、より成長したいという飽くなき向上心がある。だからこそ、中学生時代から高校生に混じってプレーをしたし、年代別代表でも宇佐美貴史を筆頭に、才能ある同年代の選手に刺激を受けることを望んだ。高校2年生の冬に、競争が激しい鹿島入りを決めて、「高校3年生はプロ1年目だと思っている。この出来次第で、自分がプロで本当に通用するかが分かるし、高い意識で臨める」と、自分にプレッシャーをかけて敢えて厳しい環境を作り出した。

違和感があったベストヤングプレーヤー賞


昨シーズンはベストヤングプレーヤー賞を受賞したが、満足するそぶりを全く見せなかった【写真は共同】

 柴崎の行動一つひとつに意味がある。鹿島に入って、ルーキーイヤーで出番をつかみ、2年目の昨年はリーグ31試合に出場し、ヤマザキナビスコカップで最優秀選手賞を獲得。さらに昨年のJリーグアウォーズでベストヤングプレーヤー賞を受賞しても、そのスタイルは変わらない。

「僕自身もベストヤングプレーヤー賞の投票用紙を見て違和感がありました。他にも何人かが違和感があったでしょう。この賞に値する選手は、今年はゼロ人でした。世界的に見れば同世代には、ACミランのFW(ステファン・)エル・シャーラウィ、レアル・マドリーのDF(ラファエル・)バラーヌ、サントスのFWネイマール。彼らのような活躍ができた選手がいるかといえば、そうではありません。彼らに一歩でも近づき、日本を代表する選手になっていかなければ世界と戦えないと思います」

 これはベストヤングプレーヤー受賞後のスピーチだ。この言葉を見ても、彼はずっとぶれていないことが分かる。

現状に歯がゆさを感じている
 迎えた2013年。当然のように鹿島の中心選手としてプレーする柴崎だが、自らのプレーには全く納得していない。不動の地位は確保したが、果たして自分がチームに貢献できているのか、勝利に貢献できているのか。手ごたえをつかめていないのが現状だ。

 第9節の横浜F・マリノス戦。チームは先制するが、終了間際に同点ゴールを決められ、1-1のドローに終わった。この試合、彼は中盤から浮き球のパスをDFラインの裏に通し、チャンスは演出したものの、無難なプレーに終始した。第11節の浦和レッズ戦でも彼はミスなくプレーし、野沢拓也の先制点をアシストしたが、それ以降は横浜FM戦同様にインパクトあるプレーはできなかった。

「まだ全体の距離間が遠いし、自分も下がってボールを受けたり、前に持ち出せないこともある。ただプレーしている感がある」

 試合後の彼の表情は淡々としていたが、現状に歯がゆさを感じているように見えた。彼は今、内に湧き起っている情熱と向上心を表現することに苦心している。だが、こうした出来事はこれまでも頻繁に直面していることだ。厳しい環境を欲し、適応し、さらに厳しい環境を欲す。この繰り返しで成長してきた彼にとって、今はさらに成長しようとする過程にいる。

「常に自分より高いレベルの選手がいる環境に身を置きたい。“上には上がいる”ことを思い知らされたいんです。そうすることでさらに成長しようとできるから」

 その環境とはずばり日本代表だ。代表に入り、ハイレベルな環境の中でさらに自分を磨く。光を放ち続ける若き才能は、新たな局面を迎えようとしている。

「日本代表は周りが評価して入れるもの。今はしっかりと自分の課題に向き合いながら、成長できるようにやっていきたい」

 ぶれない姿勢に、飽くなき情熱と向上心。苦心しながらもそれを表現できる時を待ち、自己研さんを続ける。変わらぬこの姿勢がある限り、柴崎が日本代表に入るのは時間の問題だろう。早くその姿を見たいものだ。

<了>


岳の成長について語るコラムである。
ブレぬ考えで常に先を考えておる様子。
更なる成長でこれからも鹿島を勝利に導いていって欲しい。
その先には日本代表もあるであろう。
楽しみにしておる。

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6 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-05-22 23:59:05
最近、ユニフォームのサイズを間違えてるんやろか、と思うほど、体もムキムキになってますね。果てしない向上心に高い技術、強いフィジカルをあわせ持つ、日本史上最高のボランチになってくれると信じています。
Unknown (ロベルト)
2013-05-23 01:29:00
凄いな。俺より、年は下だか、強い精神力には、脱帽です。見習うべき手本。
Unknown (Unknown)
2013-05-23 06:21:52
「岳」を言葉で上手く表現するのは非常に難しいと思いますが、この筆者さんは成長曲線過程の岳をとても巧みに表現していて、読んでいて納得です。丁寧に厳選した言葉で岳の過去、未来を描き出す。今後もこの方のコラムは楽しみです。
Unknown (Unknown)
2013-05-23 08:37:44
すごい選手。どんどん成長して欲しい。でも目標設定は着実に。まず越えるべきは、鹿島の40番、小笠原満男だと思う。
Unknown (Unknown)
2013-05-23 18:13:10
鹿島、日本代表の鷹となり
世界を飛び回り
数ある鷹の王となれ
岳は世界で大成するのに必要なものを
すでに持っている
Unknown (Unknown)
2013-05-23 19:16:45
ストイックだし、貪欲。それに伴い努力を惜しまない。
本当に、凄い人だと一人に人間としても年下ながら尊敬してしまいます。
昌司君が、「いつの間にかすごい喰ってる」というように食事の量も増やした結果が体格にも現れてます。

今は、選ばれなくても鹿島で不動の地位を築ければチャンスは、ゲームメイクの様に巡ってきます。
期待されても伸び悩む高校生が多い中、岳君と大迫は、ホント「ハンパナイ」です。
皆で応援していきましょう!!