政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

自民党と経団連・新テロ特措法と政治献金

2008-09-12 08:09:21 | 自民党
これを以て、直ちに政・官・業の癒着構造と騒ぐつもりはないが、なんとも違和感が残る。
経団連が自民党のスポンサーとして、政治にいろいろな要請をするというのもいささか疑問無しとしないが、これが内政や経済問題の枠を越えてのこととなると、改めて考えさせられてしまう。

御手洗経団連会長「新テロ特措法改正案を断固支持」

日本経団連の御手洗冨士夫会長は8日の記者会見で、「日本がテロとの戦いに毅然として立ち向かうことを強く支持する。新テロ特措法改正案を断固として支持する」と述べ、これまで必ずしも明確ではなかったテロとの戦いに対する立場を鮮明にした。

 経団連が政治的なテーマで、ここまで考え方を鮮明にするのは異例だ。インド洋で海賊が頻繁に発生し、今年4月に日本郵船のタンカーが銃撃を受けるなど、テロとの戦いが経済問題とも切り離せないことを重視した。

 御手洗会長は「党利党略や、政局にもてあそばれるべきでない」と述べ、経団連として、インド洋で海上自衛隊が行っている給油活動の来年1月の期限を延長する新テロ特措法改正案の成立を後押ししてゆく考えを強調した。

(2008年9月8日20時41分 読売新聞)


まあ、こんなことで、戦前の軍部と財閥の癒着とか軍・産複合体というような言葉は大げさに過ぎるだろう。
が、ついそんな言葉が頭に浮かんでくる。

経団連会長の御手洗富士夫はキャノンの最高経営責任者。
06年に経団連会長になった。
そのあと06年12月に政治資金規正法が改正になって、外国人持ち株比率50%以上の企業も政治献金が出来るようになった。
これによってキャノンも政治献金ができるようになったのである。キャノンの外国人持ち株比率は50%を越えている。
外国人からの政治的影響を受けないように、というのが規正法の趣旨であったが、この制限がなくなってしまった。

企業はだれのものか?
形式上は株主のものである。
図式的には、外国人株主に雇われた経営者が、自民党に政治献金を行い、経団連会長となって全国主要企業からお金を集めてさらに自民党に献金をしている。あるいは献金を誘導している。
そして自民党に対し、企業に都合のいい政策を要求する。

考えてみれば、企業の政治献金というのもおかしなものだ。
参政権を持たない法人が、政治に金と口をだす。
発言権を金で買うようなものといえる。
そもそも企業献金への疑問から始まったのが、政党助成金ではなかったか。
毎年300億円以上のお金が政党に交付されている。
その上に企業からの献金を集めている現状は国民に対する約束違反ではないか。

経団連がテロ特措法を後押しする。
これまで経団連は自民党への献金を、自由主義・資本主義の擁護という理由で正当化してきた。
しかし、新テロ特措法の”断固支持”はその範囲を越えているのではないか。
輸出企業キャノンとしては、アメリカの歓心を買うことも経営戦略の一環か、という疑いを持つのは、こちらの邪推か?
キャノンという会社、御手洗富士夫という経営者はそれくらいのことはやりかねない、という印象を持たれている。

海賊の出没を、理由の一つに挙げているが、テロと海賊は厳密には別物だろう。
理由の後付け、都合のいい論理のすり替えは、ずるいんではないか?

経団連から自民党への献金は年間20億円以上。口止め料代わりか民主党へも数千万が渡っている。
さいわい民主党は、はした金に目がくらんで経団連に肩入れしてはいないようだ。
キャノンの偽装請負などはちゃんと追求する姿勢を見せていた。
(偽装請負を報じた朝日新聞に対して、キャノンは広告出稿を停止した、という話もある)

個別企業の賄賂事件などはマスコミや国民の関心を集めやすい。しかし、政治と企業献金、経団連の献金活動などもこの国の政治の在り方の根本にかかわる問題であろう。決して見過ごしに出来ることではないと思うんだが……。




暫定税率廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!


古書 那珂書房

特に歴史書が充実しています


最新の画像もっと見る