去る11月29日(火)、江南市議会本会議で一般質問で登壇、1時間にわたり質問しました。4つのテーマについて質問しましたが、その一つが「中学生の部活動のあり方」についてです。
部活動に教育的効果があることは十分に承知しています。しかし、部活動は教科課程外に位置付けられています。「自主的」に行われるはずが、事実上、全員加入・参加となっていることに違和感を覚えます。あまりにも活動日数・時間が長く、子どもの(学校外での)自由時間が制約されること、顧問をしている教員の過重労働につながっていることなどを指摘しました。
その上で、「過熱化」「肥大化」した部活動の現状を見直すことを求めました。これに対して、教育長は見直しに向けて取り組むことを約束してくれました。当事者の意見も聴いて、できることから実行に移していただきたいです。
以下、質問要旨をアップします。ご意見等がありましたら、よろしくお願いします。
一般質問 中学生の部活動のあり方について
現在の中学校学習指導要領で、部活動は学校教育の一環であるものの、教育課程の外に位置付けられています。子どもが自主的、自発的に参加することによって、学習意欲の向上や責任感、連帯感を育てることにつながるとされています。
実際、部活動が好きで、毎日楽しく活動している子どもがたくさんいます。また、部活動の指導に積極的なやりがいを感じている教員もいます。
部活動に教育的効果があることは認めるところです。しかしながら、近年、部活動をめぐる問題が相次いで提起されています。
質問1
中学生の部活動の加入状況や日常活動の実態(活動日数・時間はどれくらいか、休養日があるのかなど)について、説明を求めます。
質問2
子どもは学習、部活動以外の諸活動、休息、家庭や地域での生活に割ける時間が制約されています。また、全国的に子どもの命に直結する事故や暴力・体罰が発生していることも気がかりです。
そもそも、子どもには、部活に加入する・しないの選択肢があります。子どもの自主性を尊重し、加入を強制させることがあってはいけません。このことについて見解を求めます。
質問3
教員の「労働」問題の観点から、教員の多忙化・過重労働の大きな要因として部活動があります。教員の本来の職務でないのに、大半の教員に部活動の顧問が割り振られ、教員の最も重要な仕事である授業の準備や学級経営へ影響が出ています。
すなわち、やらなければいけないものではないのに、教員に大きな負担としてのしかかっています。
こうした部活動のあり方に疑問を感じて、昨年、現役教師のグループが「部活問題対策プロジェクト」を立ち上げ、ネット署名運動を展開し、主要メディアで相次いで取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。政府の「教育再生実行会議」の配布資料にもこの運動について言及がありました。
文部科学省の通知「学校現場における業務の適正化に向けて」(6月17日)には、部活動の負担を大胆に軽減することが盛り込まれています。また、愛知県教育委員会の「多忙化解消プロジェクトチーム」の提言(案)にも、主な柱のひとつに部活動指導のあり方が挙がっています。
①顧問をしている教員の割合、競技経験のない部活動の指導を行っている教員の割合はどうなっていますか。
②そもそも、教員には、教員には顧問をする・しないという選択肢があります。
これら2点について見解を求めます。
質問4
保護者や地域住民から、部活動に関してどのような意見が寄せられ、それにどう対応していますか。
また、保護者の部活動への関わり方も、以前と比べると積極的になっているとうかがっていますが、説明を求めます。
質問5
部活動の価値、意義を否定するものではありません。しかしながら、部活動の位置付けが曖昧(グレーゾーン)なまま「肥大化」した部活動のあり方を見直すべきです。当事者の思いや社会情勢を踏まえた議論が必要です。
今後の取り組みについて、教育長の見解を求めます。
【参考】
※中学生の運動部加入率 (日本中学校体育連盟調べ)
○ 2001年度 65.9%(男子75.7% 女子55.6%)
○ 2015年度 63.4%(男子73.2% 女子53.1%)
※朝日新聞 フォーラム アンケート
第1回目(2016年4月7日~21日) 「中学校の部活動」
○ 2927人が回答。40代からの回答が多かった。回答者の立場は「中学生の親」に「教員」が迫る勢いだったのが目に付いた。
○ 今の中学校の部活動に満足か不満かについては、「大いに」と「どちからというと」を合わせて4分の3が「不満」だと回答した。
○ 今の中学校の部活動で期待・重視するもの(2つまで選択可)については、①心身の成長 ②仲間づくり ③達成感や充実感 …
○ 今の中学校の部活動で改善してほしいもの(2つまで選択可)ついては、①活動時間 ②指導者 ③学校外との協力 …
第2回目(2016年4月22日~5月9日) 「やりすぎ?足りない?部活動」
○ 2700人が回答。
○ 活動時間については、「とても長い」「やや長い」との回答が8割超。
○ 1週間のうち、望ましい部活動の日数については、①5日 ②3日 ③4日 …
○ 指導者と部活動の関係については、「学校と切り離して、活動を外部に委ねる」「教員とは別に、必要に応じて外部の指導者も入れる」が9割近くを占めた。
○ 「活動時間が長すぎる」という声が大勢だ。その多くは、部活の意義は認めるが何とかしてほしい、という意見ではないか。
○ 教員の声
・ 教員が多忙であることを保護者に理解してもらいたい。
・ 教師である前に一人の親なのに、我が子と接する時間を削って休みなく働いている。
・ 部活の時間が長すぎて、子どもの学習の弊害になっている。
・ 未経験の競技であっても、何とか勉強しながら指導している。
・ クラブ中毒になってしまう教員が後を絶たない。
・ 教員は顧問をする・しない、生徒は部活動に入る・入らないことを選択する権利がまず与えられるべき。
○ どうすればいいのか(改善策)⇒もっと融通をきかせる。多様性を認める。
・ 運動部にも遊び的な部分がある部を新設する。
・ 適度にスポーツを楽しみ、体力を向上させられるような部があるといい。
※教員の月平均の残業時間(文部科学省)
1966年度 8時間
2006年度 42時間
※OECD(経済協力開発機構) 「国際教員指導環境調査(TALIS)」
1週間の平均勤務時間
加盟国平均 38.3時間
日本 53.9時間(約1.4倍)
中学教員の課外活動指導時間
加盟国平均 2.1時間
日本 7.7時間
※HATOプロジェクト 「教員の仕事と意識に関する調査」
公立校教師が学校で仕事をする平均時間
小学校 11時間8分
中学校 11時間32分
高校 10時間46分
※「部活問題対策プロジェクト」
30代の公立中学教員ら男女6人で作る。教員の労働時間が過度に長くなることや授業の準備がおろそかになることなど、部活がもたらす「負の側面」を指摘している。部活動の顧問を引き受けるかどうかの選択権を求めて、2015年12月からインターネット署名を展開。
活動がテレビ、新聞、週刊誌、ネットで取り上げられ反響を呼んでいる。政府の「教育再生実行会議」の第38回会合(10月28日)の配布資料でも、ネット署名がおこなわれていることが紹介された。
集約状況(2016年11月23日現在)
①署名【生徒に部活をする・しないの選択権を下さい!】 13,024筆
②署名【教師に部活の顧問をする・しないの選択権を下さい!】 30,517筆