遊行吟遊

短詩型作品等

自死八首

2011-07-08 21:17:13 | 俳句・短歌

君の墓は 暗い海底 冬の能登
祈る形の
自死という墓

年賀状 やりとりもせぬ間柄
心でしていた
そういう関係

嗅ぎ分けて 近づいたのに
肝心なそれには触れず
親友でいた

クリスマス
交換し合う プレゼントは
「くるみ割り」のレコード鑑賞

この胸で 泣けばよかった
存分に
鎧を脱いで 裸のままで

能登の暗い 冬の海辺を彷徨って
やっぱり死ねぬと
思えなかったか

童貞の ふたりのシャツに
木洩れ日の
眩しく注ぐ ポプラの並木

もう二度と 会うことはないが
思い出の中で 懐かしむ
それで充分



 




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