彼らについて、印象に残ることは、控え目で自然体のいいカップルで、日本食に関してはほぼ完ぺきというくらい、何でも食べられることである。
特にご主人は、朝ごはんも日本食のリクエストだった。
甘い朝ごはん(甘いパンとコーヒー、ヨーグルト、ジュースが基本である)彼らには、日本食の朝ごはんだけが苦手と言う人も多い。現に奥さんは我が家では、「朝はパンでお願いしたい」ということだった。
民宿や宿坊で出されたらもちろん食べるが、選べるなら朝はパンがいいということであったので、もちろんそうした。
そんななか、このご主人は、魚の干物やみりん干しはもちろん、らっきょもお漬物も美味しそうに食べる貴重なフランス人の一人である。
おとなしめのご主人だが、二度目とあって、前回よりは口数も多い。
自然の好きな彼らと、今回は山の辺の道に行くことにした。
奈良からJRで天理駅に出て、そこから天理教本部を経て石上神宮へ。
ここからが山の辺の道の始まりである。
手作りのおにぎりを食べたり、行きかう人と挨拶を交わしながら、楽しい道のりは続く。
彼らがびっくりしたのが、無人の野菜販売所である。
彼らは「フランスではありえない」と、口をそろえる。
こういうとき、やはり日本の田舎の良さを強く感じる。
健脚の彼らは、7kmあまりの道のりも問題にしない。途中田畑や、古墳、お寺、古い集落を見ながらあっという間に三輪神社に到着だ。
日本の田舎の風景を堪能し、帰路へと向かう。
前夜は、日本食は何でも大丈夫な彼らに手巻きずしを食べてもらった。ひじきの和え物も好きらしい。
彼らは、鰻や紫蘇が大好きだと言いながら、ほとんど残さず食べてくれた。
お魚好きな彼らであるが、今日はすき焼きを食べてもらう。
もちろん生卵もOKだ。これも好評でしっかり食べてくれた。
しかし実は今、思い出しても恥ずかしいことがある。
フランス人は日本食が好きな人でも、白いご飯をお代わりする人はめったにいない。
そういうこともあって、いくぶん少なめにご飯を用意していた。
そんなとき、奥さんが言った。「(ご飯を)お代わり!」と。だけど、お釜の中は空っぽであった。本当に申し訳ないことであった。
次に来てくれるときは、たくさんのご飯を用意しようと思っているが、
昨年ふたごの赤ちゃんが生まれたので、しばらく来日は無理かもしれない。
この夫婦が帰国して数日後、私はフランスに向けて旅立ち、旅の前半に彼らの両親宅に泊ったが、終盤に彼らの家でお茶をご馳走になり、すぐにパリで、日本の旅の続きを聞けることになる。
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