久しぶりにこのカップルについて書く時がやってきた。
山登りが好きな二人とは奈良で出会った。そうして翌年私が彼等の家に1泊させてもらった。
この15区の家にはミッシェルさんが車で送ってくれた。今思えばよく辿り着いたものだ。
少し迷ったが、目指すアパルトマンは車を止めた道の反対側にあるのが判った。
この時まだミッシェルさんの方向音痴について、全く気が付いていない時だった。
訊ねるカップルの奥さんは休暇が取れず、ご主人が休暇を取って迎えてくれた。着いて一休みしてからアパルトマンの前の道路のトラムに乗って、シトロエン公園へ連れて行ってくれた。
この時初めてパリのトラムに乗った。(後に知ったが、同じものが富山市内を走っている。)もともとシトロエンの自動車工場があったところで、栄枯盛衰の跡地であるが、今は広い公園になっていた。
寝転んだりして、ゆっくりしてから帰途は散歩がてら歩いて帰った。途中に高級住宅街があり、こういうところのアパルトマンに何時か住みたいと彼は言った。
また日本料理の店を見かけたが、松花堂弁当が28ユーロとあった。当時のレートで言えば4000円を軽く超えていたのではないだろうか?とかくフランスの本物の日本料理店の価格帯には目をむく私である。(安いところは中国人やべトナム人が経営するニセ日本料理店であり、こちらは味に目をむくことになる。)
散策を終り帰宅すると間もなく奥さんも返ってきた。食傷気味の私に二人は「軽い物にします。」と言ったが、実際は大変な御馳走の準備をしてくれた。
子羊のアバラの肉が手に入ったと言って、焼いてくれたのだ。
食傷なんてどこかに吹き飛んだほど、これは本当においしかった。それにしても夫婦とも仕事があるので、ご主人が家でも実によく働くことに感心した。
その夜、以前に書いたように一番いい部屋を私のために明けてくれたのだった。
あくる日この家のすぐ近くで骨董市が開かれると言うので、それを楽しみにしてその日は、満腹のおなかをさすりながら眠りに着いた。