秋になっても客人は続く。
フランス旅行中、プロヴァンスでサーカスを見た後、軽いおつまみと飲み物で団員たちとの交流があった。その中の一員、ステファンが合気道を習っていて、その関連で来日するとのことだった。
それだけで終わっていたかもしれない出会いだったが、それを聞いていたイザベルが「アドレスを渡したら」と助言してくれた。
ただそんな短い出会いで、本当に連絡してくるかなとも思っていたけれど、九月になると「今は東京にいるけど、奈良にも行きたい」と、メールが来た。
JR奈良駅に迎えに行くと恥ずかしそうな笑顔の彼がいて、サーカスをしていた時とは違って見えた。
合気道をしているフランス人と言えば、マルセイユ在住の彼女を思い出す。
彼女もそうだったが、彼もまた力強さも外見からは感じないくらいほっそりとしている。
サーカスを見たとき、少しビデオを撮っていたので、家に来てからそれを見せると本当に顔を赤らめ、笑って見ていたのが印象的だ。
自分のサーカスをしている姿を見たのはもしかしたら、初めてだったのではないだろうか。
彼はコルシカ島に家を建ている最中で、途中の写真も見せてもらった。完成したら是非来てくれと言ってくれた。
コルシカ島はほとんどのフランス人が「素晴らしい」というので、一度は行ってみたい。
でも運転出来ない私が行くには、難しいところであるし、毎年コルシカ島に行く友人夫婦が、「一緒に行こう」と言ってくれる。
しかし彼らはサバイバル派、テントでの生活はもとより、モンゴルのパオで泊ったこともあるので、トイレの問題もない。
トイレに関しては世界一先進国に居る私にとって、それが一番の問題なので、実現は今のところ難しいように思われる。
話が脱線したが、このステファンは、習字が気に入ったと見えて、毎晩習字をした。道具も買いたいと言うので、何軒か店も教えた。
自分からはあまり話をしない、シャイなステファンだった。
帰りも何時に帰るのか言わないので、こちらから尋ねた。と言うのは、帰る日の夕方、また別のフランス人を迎えることになっていたからだ。
昼食をとりしばらくして、ちょっと寂しそうに帰っていく彼の背中を見ながら、「もしかしたらもっと泊りたかったのかもしれないな」と思えたりした。
それ以後、音信はほとんどなかったのが気になっていたが、この年のクリスマスに「新居ができた」とその写真とコルシカ島の本などを送ってきてくれた。
また東日本大震災の折にも安否を尋ねてきてくれた。それ以降音信は途絶えているが、それでも繋がりは続いて行くのがフランス人である。
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