彼(クリスチャン)から家交換を持ちかけられてから、半年後プロヴァンスを訪れる際のことである。
もちろんアヴィニョンのご夫妻も、快く泊まってほしいと申し出てくれた。
しかしアルルの彼(クリスチャン)も「どうぞ」と言ってくれた。
家交換の写真で見た家を実際に見てみたいなと思った。
しかし彼は独身なので、そう御厄介をかけるわけにはいかない。
そこで一泊目だけアルルでも滞在することにした。
着いた日のディナーは、アヴィニョンの夫妻と、奥さん繋がりの別の家族、そしてやはり奥さんの仕事仲間のこのクリスチャンと皆知り合いと言うことで、レストランで合同ウェルカムディナーとなった。
久しぶりに会った彼は、日本で散髪してもらった髪型とは違い見違えるようだった。
ピンクのシャツがよく似合っていた。
再会を楽しみ、この夜、散会した後、彼の車でアルルへ。
アルルの町は二度訪れているので今回は泊まるだけ。
彼の家は、街の真ん中で観光にはものすごく便利なところだった。
駅からも徒歩も可能だけれど20分はかかるだろう。
ガレージが一階にあって、二階がキッチンとリビング、テラスがあり、三階に寝室が二部屋、三階建ての家である。
一人だと広すぎる。
昨年アルルの夏のお祭りの時期に、ハンガリーの写真家グループに家を貸し、この時期アルルの宿の予約は困難なこともあり、いたく気に入り、帰る際、今年の分も予約していったそうだ。 その収入は来日費用に充てられると喜んでいる。
ここがあなたの部屋」と通された部屋には、さりげなくラッピングされた小さなウェルカムギフトがあった。
この人はよく心配りが出来る人だ。
「僕はテラスで寝るから、ゆっくりくつろいで」と言って降りて行った。翌朝「ほんとにテラスで寝たのか?」と尋ねたら、三階の別の部屋だったらしい。
しかし夏はそんなこともできるそうだ。
さてぐっすり眠り、朝ごはん。
彼が用意してくれたのは、ビスコットというパン替わりのものとカフェオレにジュース、ヨーグルト、バターにお母さん特製のジャム、それにフルーツであった。
フランス人の朝食は普段もっと軽い。コーヒーだけの人もいる。
日本人は朝食をしっかり食べるのを知っていて、かれは頑張ってくれたわけだ。
広いテラスで食べた。
ゆっくりしたいところだが、ペルピニャンに向けて出発する列車の時間が迫っていた。
まっすぐな道を、制限速度をはるかに超えて飛ばしてくれた。
彼曰く、「数カ月前にスピード違反で捕まったのだが、大統領選があるので恩赦があるから罰金は取られないと思う。」と言っていた。
何ともおおらかな国だ。
しかしその彼もさすがに時間との闘いで、相当のスピードで走り、駅についてもちゃんとした駐車場では間に合わない。
とにかく駅の入り口の正面の広場に駐車、そして大急ぎでホームへ、ビズで再会を約束し、列車に滑り込んだ瞬間、列車が出発した。
こういう時「改札口」のないヨーロッパの駅は、便利かもしれない。
今考えても申し訳ない朝の慌ただしさだった。
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