古庵の書斎から

日々のエッセイ

古案の書斎 134

2008-10-15 20:56:56 | 日記・エッセイ・コラム

               古庵の書斎 134            如意古庵

 「雨に濡れ 運動会の 旗哀れ
 先週の日曜日は楠公園で学区の運動会でした。私にはもう関係ないのですが、テニス仲
間の1人は役員をやっていて「弁当をそろえるだけでも大変だ」とぼやいていました。
 さてその当日、10時頃から雨が降ってきました。それでも昼ごろ車で通ってみるとやってい
ました。それはどうしようもないのですが、後で聞いてみるとちょっとしたトラブルがあったよう
です。
 マイクを握って各種のゲームの進行や、競技の模様の実況をある女性がやっていました。
 毎年の役割となっているようです。彼女、地区の婦人会の会長さんで30年ぐらいそのポス
トに居るとのこと。
 その彼女のアナウンスにミスがあったようなのです。それに怒った一部の地区の人たちが
途中で帰ってしまったということです。
 30年も同じポストに居座り続け、いつもアナウンスを自分の役割と考えるのもどうかと思いま
すね。

○ 大学入試
 先日、桜花高校の現役の先生からメールをもらった。今、3年生は推薦入試の審査や手続
きで大忙しとのこと。そこで一言。
 今、大学入学生で一般入試で入る者は55.9%だそうな。これを私立大学に限ると48.6%で
ある。つまり昔ながらの受験で入学する者は役半分だということ。
 じゃあ他は何かというと、推薦入試(これには公募制推薦、指定校推薦、自己推薦といろ
ろある)、AO入試、センター試験利用入試(これも2回ぐらい受けられる)等々である。
 一般入試にもA日程、B日程、一科目入試、2科目入試、地方試験とあってまさに複雑怪
そのもの。
 なんでこんなことになったかというと、答えは簡単。受験生というパイは少なくなってきたのに
応じて、なんとか早く学生を確保したいという大学の経営がそうさせるのだ。
 受験生の方も早く大学を決めたいという(特に女子高生に多い)心理からだろう。私、3年の
担任の時、よく一般受験で挑戦しろと言ったものだが、それがなかなか。
 そんなことは今の私にとってどうでも良いようなことだが、人生というのは何回かの試練、挑
戦、時には賭の連続であると思う。高校入試、大学入試、職業の選択、結婚、子供のこと、定
年後と試練は続くのである。その最初のところで逃げていても始まらないと思うのだが。
 
○ バナナ
 最近、バナナが馬鹿売れでスーパーの店頭から姿を消したという。以前の納豆騒ぎと同じ
で、どっかのTV局が朝バナナなんてやったものだからそうなったのだろう。
 そこで思い出した。私の小学校のころの話し。当時バナナはめったに口に入らない高級品
でした。多分酔っぱらって良い気分になった我が親父、夜店かどっかで一本のバナナを買っ
て帰ってきた。さ、それからが大変。
 我が家は親子6人家族。一本のバナナをどうやって均等に切るか、12個の目が一点に集
中する中、親父が慎重に包丁を入れたのを覚えています。
○ マスコミのミス
  一昨日の報道ステーションで、古館伊知朗が言葉のミスを謝っていました。それは破綻した
会社「大和生命」を「大和証券」と言ったというのです。今の時期こういうミスは飛んでもない事
態を引き起こすことがある。謝って済む話しではないと思った。 

古庵の書斎 133

2008-10-06 09:34:50 | 日記・エッセイ・コラム
      古庵の書斎 133     経済の混乱が一番恐い

 「リーマン・ブラザース」がどういう会社なのかよくわからないが、それが破綻して世界中が金
融危機に陥っている。戦後最大の危機だという。今日はこのことについて述べてみる。
 私、かって歴史を教える教員として生徒によくこんな話しをした。政治の混乱や腐敗、役人の汚職には腹が立つが、それはあまり恐くない。真に恐いのは経済の混乱であると。
 老後の生活のために、30年40年こつこつと働いて貯めたお金が、一夜にして紙くず同然に
なったとしたら…。
 中流の中か上の生活をしていたサラリーマンが突如会社が倒産して職を失い、路頭に迷っ
たとしたら…。
 そして、そういう人達が大量に発生したとしたら、その人達はどう考えてどのように行動するか。

 そのことを知ることはそう難しいことではない。今から80年前に遡ればよい。
 1929年10月、アメリカはニューヨークのウォール街から始まった恐慌は全世界を奈落の底に
突き落とした。大恐慌である。その原因はここでは触れない。
 問題はその後に起こった各国の実情と、それを克服するためにとった各国の経済政策。その結果、国民はどういう政治行動をとったかである。

 まず、実情。恐慌の発信国であるアメリカは、それまで世界の冨を独り占めして繁栄を謳歌していた。1920年代は「永遠の繁栄」とよばれ、自動車の大衆化、家電製品の普及、映画・スポーツ等の大衆娯楽、大都市を中心に大衆文化が成立した。
 それが、恐慌の結果、工業生産は37%に落ち込み、失業者は25%(4人に1人)、銀行の倒
産は4,500という有様。
 イギリスも5人に1人、ドイツも4人に1人が失業者。日本も銀行の取り付け騒ぎ、農村の疲弊
と深刻な状況を来したのである。
 まさに、アメリカがクシャミをするとヨーロッパが風邪をひいて、日本は肺炎を起こすという言
葉そのもの。後進の資本主義国(植民地、資源を持たざる国=独・日・伊)ほど事態は深刻で
あるのは当然。
 
 そこで各国はどのような克服策をとったか。アメリカはご存知、ニューディール政策と呼ばれ
る様々な革新的政策である。その全ては言ってみれば国民に購買力をつけさせ、産業の復
興をはかろうというものです。これ有名なわりにはあんまり成功したとは言えません。
 1,500万人の失業者が500万人に減っただけです。失業率を0にしたのは第2次世界大戦で
す。戦争がF・D・ローズベルトを救ったのです。そして、もう一つがドルブロックの形成です。
 これは、アメリカの他ににイギリス・フランス等植民地や衛星国を有する国が、極めて自己
中心的な経済圏を形成、植民地を持たない国を閉め出すという排他的な経済政策です。
 これが、国際的な緊張を高めるとと同時に、日・独・伊の国内に深刻な問題を醸成すること
になるのです。倒産、失業、貧困、日本の農村では婦女子の身売りまであったのです。

  突然失業したり、財産を無くしたりすると人はどう行動するか、冒頭の提題についてドイツに
おいて典型例が見られる。
 結論から述べると、人は中庸とか常識・良識を失い極端に走るのです。冷静さを失い暴力
を肯定し、感情に走るのである。
 ユダヤ人差別、ゲルマン民族優越主義、一党独裁、基本的人権の無視、文化や生活の画
一化と統制等、平和時には考えられない状況を容認する。
 政治的には両極端、つまり右翼と左翼の台頭である。ドイツにあっては右翼はファシズム(ナ
チス)、左翼は共産党である。経済混乱の中で常識・良識を失った中産階級の人々は共産党
よりはましというわけで、かっては軽蔑したナチスに雪崩をうって投票する。

 1928年(恐慌前)にはたった2.4%だった得票率が、恐慌が及んだ33年3月には45%、同年
11月にはなんと99%の人がヒトラーを支持するのです。
 これを私は「集団ヒステリー」現象と言うのです。