古庵の書斎から

日々のエッセイ

古庵の書斎 114

2008-04-28 21:11:17 | 日記・エッセイ・コラム
     古庵の書斎 114     ト イ レ 考       如意古庵
「はーれた空ー、そーよぐ風ー」、岡晴夫のヒット曲「あこがれのハワイ航路」の一節です。私、小生の時、これを鼻で歌いながら自宅のボットン便所に入った途端、どどーんとトイレに片足を落としたのです。今でも左足の付け根のところに大きな傷跡が残っています。
 ボットン便所、わかりますか。私の小中高大学時代は、自宅も学校も全てこれでした。つまり、肥だめ式トイレです。こいつの臭いことといったら尋常ではない。
 今回は臭い話しですが、このトイレについてうんちくを語ります。
 この50年間、何が一番進歩したかというとトイレだと確信しています。自動車、電話、テレビ、カメラ、家屋など随分変わりましたが、トイレほどではないと思います。
 冒頭のボットン便所からシャワートイレまで、最近はトイレに入るドアから、用を済ませて出て来るで、何のにも一切手を触れなくてもよいまでに進化した。しかし、それがはたして良いことなのろうか。
 まず、私の大学のトイレの話し。これはひどかった。だいたい校舎は戦前の軍隊の兵舎をそのまま利用たもの。トイレは校舎内にはなくて、少し離れた処に独立してある。男女の区別はなし。大の方は一応個室にはなっているが、その下の便漕は一つ。
 当時、長門浩之主演の「日本陸軍残酷物語」という映画があった。何を隠そう、我が大学の校舎を使って撮影されたのだ。そのワンシーン、長門演じる下級兵士が何かの拍子に大事なものを便漕に落とした。それを拾ってこいと言われて彼、汚物の中で泳ぎ回るというシーンがありました。
 私が卒業した後、さすがにそのトイレの改善を求めてストライキをやったという話しを聞きました。
 次にビックリしたのはソ連のトイレ。私が最初に外国に旅行したのは旧ソ連でした。37才でしたから31年前。シルクロードの歴史を勉強していて、どうしても中央アジアを一度は訪ねてみたかったのです。それが、いろんな意味でビックリだらけの旅行でしたが、トイレもその一つ。
 当時、ソ連では外国人旅行者は指定された専用のホテルしか泊まれません。当然、かなり高級なホテルです。ところが、そのトイレのひどいこと、話しになりません。中央アジアですから、気温は高い、食事と水は口に合わない、ということでほとんどの人は慢性下痢状態。ホテルに着くとまずトイレに走り込みます。そして、ピューと飛び出してきます。洋式便座に尻をおろせないのです。私はそれに乗っかって済ましたものです。
 グータラ作家の椎名誠は、テレビの番組製作でソ連に旅したとき、梱包用の発砲スチロールで手製の便座を作って持ち歩いたと書いています。帰国するとき、現地の人がそれをぜひ置いていってくれと懇願されたそうです。  
 とにかく、宇宙にロケットを飛ばすだけの技術があるなら、その前にこのトイレをなんとかせよと思ったものだ。
 次に中国。全てのトイレがそうだというわけではない。南京市のかなり高級なレストラン。そこは、全てを野菜で作る精進料理で有名な店。豚肉と思って口に入れるとナスだったり、カボチャが見に鶏肉に化けていたりとなかなか面白いものでした。ところがトイレ。別棟にあるのだが、さすが女の区別はあるものの、ドア無し仕切り無し、全くのオープンだ。私が小をやっているその後ろでを丸出しにして大をやっているのだ。これは驚いた。10年ぐらいの間をおいて再度行ったがのままだった。
 アメリカはハワイ語学研修に引率したときのこと。2週間寝起きしたのはマウイ島ラハイナルナ高校のドミトリー。つまり生徒の寄宿舎である。我々は教員用の部屋で、中にトイレ、シャワー室があって問題なかったが、生徒達のトイレ。仕切りはあるが、ドア無しだ。1㍍ぐらいのカーテンがあるだけ。顔と足は丸見えというもの。
 生徒が勉強している午前中、一度クツナイ先生の自宅に招かれてランチをご馳走になった。ここのトイレ(レストルーム)は立派。優に6畳はあり、書籍、テレビ等が置かれて居室のようでした。
 
 ある時、テレビを見ていたら日本の「音姫」(排泄の時の音を消すために水の流れる音を出す器具)についてアメリカ人の若い女性に感想を聞いていた。そしたら、彼女たち「そんなのナンセンス、どうしてそんなことするの」と笑っていました。それが正常というものでしょう。
 これも文化の相違なのか。食べることと排泄行為はなにも恥ずかしいことではないのだ。
 さて、シャワートイレ。これを完成して商品として売り出すために、メーカーはおそらく人に言えない苦労をしたのではないかと察します。普段何気なく使っていますが、あの水の噴射位置、角度、強さなど難しい問題をクリアしなければならなかったことでしょう。今では、私もそれ無しでは済まされない人間になってしまいました。
 ところが最近、おかしな事に気がついた。たまに外で用を済ませた後、家でシャワートイレを使うと、途端にピリッと痛みが走るのです。どうも、その回りの皮膚が退化しているのでないかと思われるのです。皆さんはそんなことはありませんか。
 あんまり、生活の道具が便利になると、人間、馬鹿になるというのは本当ではないでしょうか。さらに、地震等災害時にはどうなるのかとか、孫達には一定年齢までは使わせない方が良いのかなとか、余計な心配をしています。
 
 今の日本のトイレは世界最高だと思う。しかし、あの小学校の頃の鼻をつまんで、新聞紙をくしゃくしゃとやって尻を拭いていた経験は大切なことではないでしょうか。 

古庵の書斎 113

2008-04-27 09:42:33 | 日記・エッセイ・コラム

            古庵の書斎 113        如意古庵

 「新緑の 中で遊ぶ子 幸あれと」
 「原監督は何であんな不安そうな顔をしているんだろう」「落合監督はちっとも面白みがない。なんか人を小馬鹿にしたような顔つきだ」「阪神、岡田監督はいつも肩が凝っているような仕草をしている」「原監督はいつ自分が首になるか、それで頭がいっぱいなんだろう」とか、テニスの合間のベンチでの無責任な年寄りの会話です。
 プロ野球の話しは、どんなに監督や選手のことをぼろくそに言っても誰も人を傷つけないから良い。
 高齢者医療制度やガソリン暫定税についても話題にはなるが、みんな温和しいものだ。なる
ようにしかならんというのが本音なのか。 
 その向こうでは、深緑の中、おそろいの青い帽子を被った保育園児が先生に連れられて遊
んでいます。何度眺めてもこれだけは良いもんです。あの子たちの将来はどうなるんだろう。 
○ 学納金
 高等学校以上の公私立の学校には、額の多少はあるが入学金、授業料等学納金を納めな
ければならない。最近、千葉県八千代西高校で入学式までに入学金を納めなかったとかで、
二人の生徒を入学式に出席させなかったということが報道された。これ、私は当たり前と思うのですが。みなさん、どう思います
 ある教育評論家氏(ほかの件では、なかなか良いことを言っていると思っていた)は「極めて
機械的・官僚的対応。二人だけでなく、生徒・保護者(全員?)に謝罪すべきである」と言って
批判していました。
 ここで、私の桜花高校での経験話し二つ。
 学納金を1・2年は滞納しても進級できる。問題は3年生。卒業式の日までに全額納めないと
業証書を渡せないし、当然卒業式にもでられない。こんなこと、私学では常識。
 3年生を担任していた時のこと。卒業式も押し迫った頃、事務長からこの生徒まだ入っていないよ、と連絡を受けた。普通なら事務の仕事なのだが、それまで何度も手紙で督促したがなんの効果もないので、担任の私にも協力をというわけである。
 そこで、生徒本人の居ないときに事務長と二人で家庭まで出向いた。見るからに貧乏そうな
家である。そして母子家庭。それでも「納めていただかないとお子さんが式に…」とつらい仕
ある。なんとか式の前日に全額納めてくれたけれど、私学の教師はこんなことまでやるの
ある。
 も一つ。これは前にも書いたが、私のクラスから県内有名大学に指定校推薦で合格した生
徒。指定された日までに入学金を納めなかったので、即合格取り消しになった。母親が用意
したお金を父親が自分の商売の方に回してしまったのだ。校長と二人で頭を下げに行ったが
ダメだった。おまけにその大学、その後2年間本校に指定校の枠をくれなかった。
 
○ 憂慮
1 オバマ氏
 もし、今この人がアメリカ大統領に当選すると危険なことが起こると囁かれている。暗殺だ。
 私は、これは杞憂ではないと思う。銃で決着をつけるという西部劇の時代からまだ百年余りしか経っていない国、アメリカだ。白昼、ケネディ大統領、弟ロバート、M・R・キング牧師が暗殺されたのは記憶に新しい。私は、これら全て人種差別にからんだ暗殺と考えている。
 あまり知られていないが、人種差別を実質無くしたのはケネディ兄弟です。それに反発した
狂信的団体が絡んでいるのではないかと推測するのです。そのケネディが暗殺されたのは今
から45年前です。 
 アメリカは、他国に自由と民主主義を押しつける国だが、自分の国についてはよくわかって
いないようだ。今でも表面的にはいざ知らず、白人の心の奥底では人種差別意識がかなり根
強く残っていることを。
2 長野聖火リレー 
 誰かが「もし日本で、フランスやイギリスであったと同じことが起これば、中国人の反発はこれ
までの比ではない」と言っていました。私もそうだろうと思います。
 平和的な抗議の意思表示は良いとして、あんなみっともないことだけはして欲しくないですね。日本が法治国家であることを世界に発信する良い機会であると思います。

古庵の書斎 112

2008-04-14 14:05:17 | 日記・エッセイ・コラム

         古庵の書斎 112                 如意古庵

 「久遠寺の 枝垂れ桜に 母想う」
 
 よく「桜切る馬鹿」と言いますが、久遠寺境内の仏殿前の枝垂れ桜は樹齢400年、太い枝が
ばっさりとられ、残った枝は丸太で支えられ、辛うじて生かされているという感じがします。見
る人はその年月の長さ凄さを思うことでしょう。それでも花は残ったその太い幹から吹き出るよ
に垂れ下がっていました。
 この月曜日から3日間、身延山久遠寺の枝垂れ桜と実相寺の山高神代桜を見に行ってきま
した。山高神代桜は、これまた凄く樹齢1200年を数えます。平安時代です。こちらは満開と
いきませんでしたが幹なんか瘤の固まりです。
  最後は、サントリーの白州蒸溜所を見学し、最高級ウィスキー「白州12年」を飲んで帰ってき
ました。普段飲んでる角瓶とは香りが違います。シングルモルトの意味もわかりました。
○ ファッション
 毎週金曜日、合唱の練習のため栄に出ます。夕方の6時頃ですが、栄地下街のメインストリ
ートを東から西までクリスタル広場を経由して10分ぐらいかけて歩きます。
 そこでは会社帰りのOLやサラリーマンが大勢行き交っています。今ごろは若い女性のファッ
ションが一段と輝くときです。赤や緑といったカラフルで、太ももも露わな流行のファッションに
身を包んでのし歩いています。それに対して男性のファッショのなんとダサイことよ。このダサイ
という言葉もダサイのだが、他に適当な言葉が見つからない。
 新聞の広告を見ても、女性のファッションの写真がまず目に飛び込んでくる。その美しさに思わず見とれてしまう。それに対して男性のは付け足しのように隅っこにあるだけ。それだけ女性はファッションは売れるからだろう。
 が、これも考えようだ。男性のファッションは10年一日のごとし、ほとんど変わらないので毎年
買い換える必要がない。今日何を着ていこうかと考える事もない。そういう点、女性は大変だろ
うな。
○ ガソリン税
 4月初め、ガソリンの価格をめぐって日本全国が大騒ぎした。そして、今度は5月の値上げ?
た大混乱が予想される。政治家は何をしているか。こんなことは主義・思想の問題では
 すでに福田首相が道路特定財源を一般財源化すると言ったのだから、ガソリン税にいて
今度は民主党が折れる番だと思うのだが。首相問責なんて政治をこれ以上混乱させるだけ
で愚の骨頂、国民の生活を第一に考えて
識ある着地点を見つけてほしい。
 例えば、25円の値上げ分を15円ぐらいにして5月以降もそのまま実施するというような協は
できないものか。選挙に有利になるとかならないとかと言ってる場合ではないと思うのです
 ましてや、この時期解散、総選挙などもってのほかです。
○ 言論・表現の自由
 「ネット上で政府を批判した」「海外メディアの取材に応じた」というだけの理由で、中国の人
権活動家・胡佳氏が懲役3年の判決を受けた。なんという国かと思ったら、日本でも映画「靖
国」の上映が各地で中止となっている。
 前者は国家権力、後者は右翼という民間団体の圧力に屈してのことだ。共に言論・表現の
自由を否定する動きである。
 日本が民主主義国であるというなら、政府(権力)は映画「靖国」の上映を可能とするために
あらゆる配慮をしなければいけない。少数者の、あるいは反体制思想の言論・表現の自由を
守ることこそ、憲法21条の精神なのである。