S31年頃はまだ豊かな時代ではなく、前に書いたようにストッキン
グでも伝線すると、直してもらっていた。
たまに鍋の修繕のおじさんが、町内を廻って来ていた。
大きな声で鍋の修繕っと呼びかけると、鍋の底に穴があいたようなの
をおばさんが持って出てきて、おじさんはその玄関先に座り込んで修
繕を始めるんだよねぇ。
何が始まるのか、興味津々だった。
まず鍋を空に向けて見て、その穴の大きさなどをチェ~ック。そして、
5mm四方ぐらいの金属片を取り出し、修繕にとりかかっていた。あ
れをどうやって、鍋に貼り付けていたのか覚えていないんだけど。
傘の修繕のおじさんも来ていたなぁ。
傘の骨が曲がったり、折れたりしたものを、アラヨッという間に直し
ていた。
そんな時代だった。