花椿夕月の『雪*星*さざれ石』

日本映画ネタ、雑ネタなど

☆23年7月12日 映画「怒りの街(1950)」を見た

2023年07月12日 | この映画見ました

花椿です。

東宝作品の「怒りの街(1950年)」を視聴した。 実はこの作品、PC用動画フ

ァイルは4年も前にある親切なマニアから提供を受けていたけど、VHS3倍モー

ドで録画したような画質の悪さに閉口して未視聴のまま放置していた。


それが今回、東宝がDVDを発売したのを早速入手して初めて視聴したわけであり

ます。(上の写真はDVDからの切り取り画像)


まあDVDを買い直してまで視聴したかった最大の理由は成瀬作品に興味がある

というよりも、21才の若山セツ子が良い画質で見たい!というのと戦時国策

映画の「乙女のゐる基地」(松竹1945年)で陸軍特攻隊指揮官として凛々しい

姿を見せた二枚目俳優の原保美がどんなジゴロを演じるか、そこにも興味があ

った。


結果は大正解。 一般の映画マニア(あるいは成瀬ファン)の評判はどうか知ら

ないが、個人的にはかなり面白い作品だったと思う。 


視聴日時は23年7月7日の深夜。 ブルーレイレコーダーでDVDを直接起動し

て75型ブラビアのウルトラ級大画面から180センチの距離で正面から視聴し

た。 照明は常夜灯のみで漆黒に近い空間。 まさに映画館で視聴したかのよう

な錯覚に落ちた。(笑)


ストーリーを簡単に記すと、原保美と宇野重吉の二人の学生が銀座のダンスホー

ルで金持ちの女からカネを巻き上げて生活費や学費にする計画を立てる。 まず

美貌の久我美子が男前の原保美の罠にかかって多額の金品を巻き上げられたが、

原は久我をそこでポイ捨てにした。


次に獲物にしたのが木匠くみ子だ。 ダンスホールで立ちんぼしていた木匠に声

をかけジゴロをする。 成金の娘、木匠はすっかり原の手玉に取られてしまい、

原を結婚詐欺師とも知らずお金をじゃんじゃん工面した。


ところが原の妹である若山セツ子は原の資金源を疑い、元の恋人だった宇野重吉

から全てを知った。 そして若山から説得されて心を入れ替えた宇野が原のジゴ

ロ業をやめさせようとするが原は言う事を聞かない。


その後、原は闇の美女ブローカー浜田百合子 に接近するが、結果は浜田の色に

させられただけで捨てられた。 やがて木匠は原が結婚詐欺師だったと気が付き、

父親の志村喬は娘の復讐に刺客を放って原は大事な顔を斬られてしまった。


それでも病院のベッドに寝かされた原は「今度はこの顔のキズを売り物にする

方法を考えているんだ」と平然と言ってのけたのである。 宇野は泣き崩れ、

それを見た若山も涙ぐんだ。 以上。


★気が付いた点

1.主人公の原保美と宇野重吉は撮影時に30代半ばであり、大学生のジゴロを

演じるには年齢をくい過ぎている。 特に宇野は老け顔だから悲惨。 この点で

は明らかにミスキャストだな。

2.久我美子は3回しか登場しない。 2回目に宇野から「あなたは捨てられた

んだ」と真相を知らされる。 3回目にまた騙される。(笑)

3.原保美は「乙女のゐる基地」で陸軍中尉を演じた時から5年目。 この5年

間の差は大きいと感じた。(当時流行の二枚目顔ではあろうが)

4.やはり若山セツ子は偉大だった。 どんな映画に出ていても可愛い×10だ。 

今だったら間違いなくNHKの朝ドラ主人公であろう。

5.二人が外をダラダラ歩きながらしゃべるシーンが多い。 これ成瀬監督作品

の特徴らしいが。

6.冒頭に有楽町のガード、銀座4丁目交差点。 あと隅田川の橋が何回も登場

するが不明な場所も多い。(特に公園のシーンとか)

7.宇野重吉と若山セツ子が恋人だった時代の回想シーンが秀逸。 若山セツ子

のセーラー服姿は超レアだわい。 俺なんかは大喜びだぞ!


□写真1番目

左列:ダンスホールで知り合った原保美と久我美子。 

右列:宇野重吉と原保美。 後方の大学は不明。 少なくともK大、W大、T大で

はないと思う。

□写真2番目

左列:原保美と木匠くみ子。

右列:木匠くみ子。 お結びのような顔立ちである。 

(情報ページでは木匠久美子となっているがクレジットは木匠くみ子)

□写真3番目

左列:原保美と濱田百合子。

右列:宇野重吉と若山セツ子。 宇野から真相を告白されるシーン。

□写真4番目

左列:涙ぐむ若山セツ子。

右列:顔を斬られた原保美。

1950年(昭和25年)5月14日公開の東宝映画(田中プロ)です。 

モノクロ・スタンダードで監督は成瀬巳喜男 。 105分。 俺の作品評価は

役者陣を含めてランクA(かなり面白い)ですね。 主人公がミスキャストでな

ければAA(超絶的に良い)かもです。


じゃ、またね。

2023年7月13日、午前0時45分記。
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2 コメント

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怒りの街 (映画狂M)
2023-07-14 22:22:05
 題名から同年の山本薩夫の社会派ドラマ「暴力の街」と混同してしまいそうですが、、
内容はイケメンが女を騙して生活費や学費を稼ぐドラマでした。
どうして宇野重吉、原保美ともに30代半ばの俳優に大学生を演じさせたのでしょう?
学徒復員後の学生としても年取り過ぎですよ (笑)
原保美はわざわざ松竹から借りてきての配役です。
戦後の昭和25年で20代の適材の俳優がいなかったのか? 不思議です。
 美男子の原保美が異常なほどの金欲しさで婦女子を弄ぶ様はチョット不快な印象で、
最後の宇野重吉と若山セツ子の和解のシーンが救いとなりました。

 撮影地などはあまりにも年数が経ち殆ど分かりません。
当時では結構モダンなキャンパスの建物が気になりましたが分かりませんでしたね。
学帽の帽章から大学の特定を考えましたが、判別出来ませんでした。
久我美子、浜田百合子などソレゾレの個性が出ていて女優さんも楽しめました。
成瀬巳喜男の比較的珍しい作品ご紹介興味深く読ませて頂きました。
また隠れた名作佳作のご紹介をお待ち致します。
Unknown (北アカリ)
2023-07-21 13:07:17
騙しの話は古今東西、さまざまな映画が作られてますね。宇野重吉はこの頃から顔が変わりませんね。大学生役も無理があるように感じましたが、当時は老け顔の人が多かったのでしょうね。若山セツ子さんは、北アカリ的には好みの女優さんですね。竹下景子さんに似ていると感じました

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