花椿です。
1959年(昭和34年)3月に大映が公開した「薔薇の木にバラの花咲く」を
ようやく見た。 題名の由来は全く分からなかったが、劇中で田宮二郎が若尾文
子に「花はなんで美しいか知っていますか? 花は自分の美しさを知らないから
です」と話しかける場面があって何となくわかった気がした。
薔薇の花は自分の美しさを知らないのだと。 「薔薇の木にバラの花咲く」とい
う変てこな題名はそんな意味を込めているのじゃないか? もちろん薔薇の花は
ヒロインを演じる若尾ちゃんを指すわけよ。
まあ、それはともかく川崎敬三の二枚目キャラが光る作品だったと思う。 俺の
世代では川崎敬三ってのはホームドラマの父親役とかアフタヌーンショーの司会
者のイメージが強いが、若い頃の二枚目もなかなかだなと唸ってしまった。
だいたい大映時代でも女をレイプするような悪役とか三枚目風のキャラとか色々
なキャラが使い分けできる便利な役者さんであって、俺なんかどれが本当の川崎
敬三なのか今でもさっぱりわからんのであるが、この映画のキャラは今まで見た
中で一番良かったと思う。
ストーリーを簡単に書けば、ある大学の貧乏女子学生(若尾文子)は同じ仲間の
川崎敬三と仲良く学生生活を送っている。 その時、たまたま若尾ちゃんがアル
バイト先で建築家の田宮二郎と知り合い深い関係にまで発展した。
ところが戦争孤児だった若尾ちゃんには赤線で働いていた姉がいた。 今現在も
売春を生業にしている。 それを知った田宮は姉に大金を渡して若尾ちゃんと縁
を切らせてしまうわけ。 しかし若尾ちゃんの方は苦労を共にした姉と別れる決
心が出来ず、結局、田宮と別れる事になった。
最後は全ての事情を受け入れた川崎と一緒になるところで終わった。 元に戻っ
たわけだ。 思うにどこにでもあるようなワンパターンの美談じゃあるけど、そ
こがいい! 俺はこんな映画が好きだね。 暴力もエロもなく徹底的に男女の愛
なのよ。 「愛がなければだめ!」の俺の評価は高いね、この映画。
なお上の写真はモノクロ作品の切り取りを疑似カラーに変換してあります。 悪
しからず。
■写真1.
若尾文子(左)と川崎敬三
■写真2.
若尾文子
■写真3.
川崎敬三
■写真4.
若尾文子(左)と田宮二郎
■写真5.
若尾文子(左)と川崎敬三、エンディングの場面。
じゃまたね、
2019年5月26日、午前2時50分記。