xina-shinのぷちレビュー?

時間に追われる生活に一息ついて・・・

トラックバックは承認制です。
スマホはPC版でもご覧になれます。

「春の雪」行定勲監督 舞台挨拶レポート

2005年10月20日 | cinema-japan
10月18日月曜日、ファボーレ東宝にて『春の雪』の試写会が行われました。「行定勲」監督の舞台挨拶もあわせて行われました。
当初19時10分より舞台挨拶の予定だったらしいのですが、18時50分ごろアナウンサーの方が壇上に上がられ、監督の乗る飛行機がまだ富山空港に到着していないため少し遅れるかもしれないとアナウンスがありました。(富山空港からファボーレまでは車で15分ぐらいでしょうか。比較的近い距離だと思います。)
結局、開演時間の19時から主催であるDHCのお試しセットの説明の後、予定通り10分頃から監督の舞台挨拶が行われました。


アナウンサー(以下アナ):良かったですね。間に合って。監督どちらからお越しいただいたんでしょうか。
行定勲監督(以下監督):北海道で・・・釜山映画祭が先週あって、それからずっと帰ってないんです。
アナ:さて監督はひさしぶりの富山ですよね。
監督:そうですね。『北の零年』の時にも来させていただいて。その時も飛行機が飛ばなくて・・・僕雨男なんです。雨とか雪とか天気がずっと悪いんですよ、撮影中も。ですから晴れた映画を撮ったことがなかったんですけど。今回は(作品中)晴れてますけど。
アナ:良かったですね。
監督:良かったかどうか分かりませんけど。
アナ:本題に入りますけど、監督。今回の映画というのはどういった映画になったのでしょうか?
監督:そうですね。久しぶりに日本映画に多分登場した文芸映画というくくりで、僕らはこの映画に挑んだんですけど。大正時代っていうのはね、なかなか今まで日本映画史の中でもあまり見れないようなものなんですね。何で作られなかったのかな、て思うんですけど、やっぱ大正の貴族社会みたいなものが作りにくかったのかどうか、ていうのもあるんですが・・・ただ今回そういう意味では大正時代の貴族というものを描いた映画、てという意味ではスタンダードになるようなモノにしたいという事で、スタッフと共に作りました。
アナ:なるほど。原作は『三島由紀夫』ということで、会場の中の皆さん、原作読まれた方いらっしゃいますか?ああいらっしゃいますね。
監督:意外と少ないですね。
アナ:そうですね。(場内 笑)かなり、じゃないですか、監督。
監督:みんな若いということで。
アナ:ということにしておきましょうか、みなさん。・・・原作『三島由紀夫』ということでやはり芸能界では注目されている、というか難しい、という風にお伺いしているんですがどうなんでしょうか、その辺。
監督:そうですね。人気がある原作なんですね。いまお一人しかいなかったように、海外に行くと、海外の映画祭いくつか行ってみても、その話をするとみんな飛びついて話を聞きたがる。それぐらい海外では超有名な小説なんですね。「フランシス・コッポラ」、『ゴッド・ファーザー』の「コッポラ」がまずやりたい、て最初に言って製作途中で断念して、次中国の「チェン・カイコー」という巨匠がどうしてもやりたい、っていったんですけども、なかなかうまくコミットできなくて、インスパイアされた別の作品を作ったりとか、だからそれぐらい海外では非常に熱狂されている小説なんですね。
アナ:ということは監督の今回の映画は、みんなが注目しているということですよね。
監督:どうでしょうね。でも韓国ではほとんど、この間釜山映画祭に行ってですね、海外という意味ではこういう日本映画があるとは知らなかったと、様式美という言葉で表してましたけど、様式美で非常に若い二人の中の幼げなエロティシズムという言い方してたんですけど、そういうものが溢れている日本映画をはじめて見た、て云うことをレビューで書かれてました。あ、そういう風に見えるんだなというふうに思いました。
アナ:この映画なんですけど、やはり原作は原作として、映画を作る監督によって話はもうがらりと変わってしまうんですかね。
監督:そうだと思います。『ロミオとジュリエット』と思ってもらえれば。「シェイクスピア」のロミオとジュリエットはいろんな演出家がやっていろんな形になってきてるんですけど、これは僕ら2005年の僕たちが作ったあるひとつの『春の雪』という作品になっているという・・・
アナ:映画の中で主演というか、「妻夫木」さんそして「竹内」さん、みなさん会場の中でもね、大好きだという方が多いと思うんですが、この二人をキャストとして選んだ理由はなんなんでしょう。
監督:そうですね。一番最初に言ったように文芸映画て昔たくさんあったと思うんですけども、文芸映画の定義としてはその時代時代の一番に実力があって人気のあるスターたちが主役を演じていく、ていうことがどうしても僕の概念の中にあるんですね。で、今だったら誰だろうと思ったときに主人公たちは19歳と21歳という設定なんで、幼い感情からだんだん大人になっていく境目にある、それを兼ね備えている俳優という意味では「妻夫木聡」と「竹内結子」がちょっと浮かんだわけですね。見ていただくと分かるんですけど前半はすごく初々しく、「竹内」さんすごく初々しくて
「妻夫木」の方は非常に少年ぽい感じで出てきますけども、後半につれだんだん自分たちの感情というものがね、今自分たちが持っている感情みたいなものを大正時代ではあるんだけれども非常に露呈できている、ような形で、大人にだんだんなっていく姿というのが割りと見えてくるんですね。そういう部分では二人じゃないとできなかっただろうし、そういうキャスティングできたのはすごく成功したと思います。
アナ:なるほど。あのーホントにわたし素人の質問をしてもよろしいでしょうか。キャストを選ぶ時に、今回ホントにはまり役だなというふうに思うんですけど、やっぱり勘、直感とかどういうものを・・・
監督:・・・あと人気でしょうね。
アナ:アラ・・・
監督:人気は重要ですよ。
アナ:けっこう監督ミーハーなんですね。
監督:イヤ、僕がミーハーという意味ではなくて、観客の人たちがね、誰を見たいか、ということだと思うんですよね。あのー・・・無名(俳優)でやる場合もあるだろうし、ただやっぱり文芸作品というものが非常に馴染まれていないです、今の現代には。誰のフィルターを通してこの映画を見ればこの物語がもっと心に染みるものになるか、と考えた時に、やっぱり今すごく影響力のある人たちが演じるという一つの面白みというものが観客の人たちにも見出せると思うんで、そういう意味が一番強いじゃないでしょうか。
アナ:なるほど。わたし既に皆さんよりも一足先に拝見させていただいたんですけども、実は大正時代をものすごく綺麗に描かれているんですよね。やはり監督のこだわりがあると思うんですが。
監督:そうですね。今回はですね、ご覧なっている方もいらっしゃると思うんですけど、「ウォン・カーウァイ」監督の『花様年華』という映画がありまして、その撮影監督をやっていた「リー・ビンビン」という台湾のカメラマン、台湾人ではあるんだけれどもフランスでも活躍していて世界中越境していろんな所で映画を撮影しているカメラマンなんですけども、その人に今回参加をお願いしたんですね。そうしたら彼は超三島ファンであった、ということと、すごく日本という風景とか情緒みたいなものにものすごく興味を持っていた。そういうカメラマンと出会えまして、今回フィルムに参加していただいたことは、きっといまからご覧になる映画というものは、僕ら映画界においては多分ここ数年では見られない日本の新しい美しさ、新しい形の映像になったという風に僕らは自負しています。
アナ:みなさんも是非これからご覧頂きたいと思います。ホントにうっとりしてしまうという大正時代が描かれていますよね。そして映画なんですけどやはり二時間三十分ということで、この映画見所があると思うんですが、どのあたり特に注目して欲しいという風に考えられています?
監督:あのね、あんまり見所とか、て云うとそこを気にして見てらっしゃると思うんですけど。とにかくキャストですね。出演者は脇の脇まで僕にとってはものすごく、これまでずっと映画を作ってきた中でも非常に影響を受けた人たち、特に18年ぶりに映画に返り咲いてくれた「若尾文子」さんとか、というのは非常にこの映画でしか多分もう見れないかもしれない。「もう映画出ない。」と言ってましたから(この映画の撮影を終わった時に・・・)。本当に素晴らしい演技をしていただいているそういう存在感とか、多分「若尾」さんを知らない方でも多分何か感じるものがあると思うし、そういう意味では映画の新旧、あと海外日本含めて外側の世界の人たちも含めて総力をかけて作ったような出来上がりです。
あんまりね、物語を追っかけたりとか、そうする必要はないです。基本的にはただ映像を見てください。それで何か感じたことを、でいいと思っているんで、その辺は多分そういう映画だと思うんで。
アナ:ということは、みなさんそれぞれ一人一人が感じる所でいいということですよね。
監督:その通りで。説明過多の映画ではないので。最近日本映画ってすごく説明過多の映画が多くて、分かりやすく分かりやすく作っていくんですね、製作者たちが。ただ観客は意外とそんな馬鹿じゃない、と僕は思っているんで。あと観客が感じる映画ていうのも有っていいと。これはどっちかというとそっち側に寄ってる映画なんで。なにか感じたことを、あとで見た人たちと話し合えるようなそういう映画になっているという気がしてます。
アナ:ということは、本当に無心で見ていただきたいという事でいいんですかね。
監督:そうですね。

ここで監督にファボーレ従業員より花束贈呈

アナ:監督いよいよこれから始まりますよね、映画。もう言い残すことはありませんか。
監督:気に入ったら口コミでいろんな人に知らせてください。多分日本の美しさというものを観客によってすくってもらいたいんですね。こういう映画が観客の人たちが見なくなってしまうと、どんどんこういう映画から遠ざかって、どんどんコミック雑誌ばかりが映画化される世界になってしまうんで、そこを何とか阻止したいと、思って作ってますんで是非とも文学が好きな人も、気に入った方は口コミで宣伝してみてください。よろしくお願いします。
アナ:ありがとうございました。行定勲監督でした。どうぞ盛大な拍手でお見送りください。


レビューはコチラ

春の雪@映画生活



このエントリを気に入ってくれた方はポチッとヨロシク



これまでのレビュー一覧はコチラから




Amazonで買う


春の雪

新潮社

このアイテムの詳細を見る


三島由紀夫関連


Amazon DVD ランキング

Amazon 今のベストセラー


ブログランキングネット
ご近所さんのブログご近所さんのブログ





最新の画像もっと見る

19 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (saku)
2005-10-20 22:34:33
トラックバックありがとうございました。

舞台挨拶、大変おもしろく、興味深く読ませていただきました。

映画の公開が楽しみです。
返信する
はじめまして (dai)
2005-10-21 17:07:20
TBありがとうございます

春の雪の公開がすっごう楽しみです
返信する
こんにちわ。 (minori)
2005-10-30 10:33:49
TB&コメントどうもありがとうございました!

監督さんがこられたのですね。

インタビュー、興味深く拝見させて

いただきました。

なんとなく大正時代の雰囲気とか

そういうのを重視した感じですよね。

でもそういわれてみればあの時代の貴族の

エイガってあんまりみたことないかも、ですね。



こちらからもTBさせていただきますね~。

返信する
TBありがとうございました (ミチ)
2005-10-30 12:13:24
こんにちは♪

貴重な舞台挨拶のレポを読ませていただきました。

ありがとうございます~!

人気の面で選んだという正直な言葉は面白いですね~。

でもさすがの監督も竹内結子の妊娠までは想像できなかっただろうなぁ~。

主役も悪くなかったけれど、脇に支えられていた感じがします。
返信する
Unknown (sea1900)
2005-10-30 12:43:57
TBとコメントありがとうございます。

TBさせていただきます。
返信する
Unknown (tikuwa_tikuwa)
2005-10-30 13:04:14
こんにちは☆TB・コメントありがとうございます。

舞台挨拶のレポ、読ませていただきました。

やはり三島文学は海外でも注目されているのですね。

日本人として誇るべきことだと思います。

映画は映画で映像が綺麗で、いい映画だったと思います。
返信する
アリガトウゴザイマス!! (キノコ)
2005-10-30 14:29:24
コメント&TBありがとうございました☆

春の雪は三島由紀夫さん原作なのでとても深くて、

いままでにない感動でした!!



こちらからもTBさせてもらいました♪

また、ブログに遊びに来てくださいねっ
返信する
Unknown (hito)
2005-10-30 14:56:55
試写会に監督さんがいらしたんですねぇ!

レポ、お疲れ様でした}

じっくり、読ませていただきました。ありがとうございました。ふんふん・・とうなずきながら読みましたよーー。



TBもありがとうございました{/shootingstar/}
返信する
Unknown (BlueSky)
2005-10-30 15:01:41
TBありがとうございます。

監督のインタビュー、興味深く読ませて頂きました。



映画を見てきましたが、まさに、「感じる映画」でした。

こういう映画は久しぶりに見ました。
返信する
Unknown (うたぎく)
2005-10-30 15:27:54
こんにちわ。TBありがとうございました。



レポート、興味深く読ませて頂きました。

海外の、ミシマ好きがどうこの映画を見るかが

興味深いですね。

確かにシェイクスピアの作品のように、

色んな監督が作ってみたらいいと思いました。

返信する

コメントを投稿