ファボーレ東宝で行われた『春の雪』「行定勲」監督の舞台挨拶のテープ起こしを書き終えたので、今度はレビューです。
原作は「三島由紀夫」。それなりに本は読んでいますが、「三島由紀夫」は読んだことがありません。割腹自殺した人ということしか知りませんでした。
ブログを始めて以降、最近は結構邦画を見るようになりましたが、以前はほとんど邦画に眼を向けることはありませんでした。その理由はいわゆる文芸大作が大嫌いな為です。
本作は三島由紀夫原作の映画化ということで、まちがいなく文芸大作の部類に入ると思います。主演が「竹内結子」でなければ興味を持たなかったかもしれません。ちなみに「行定勲」の作品は今まで見た事がありません。多少の偏見があるかもしれません。
侯爵家の嫡男『松枝清顕(妻夫木聡)』は幼い頃、華族としての素養を身につけるため伯爵家の『綾倉』家に身を寄せていた。伯爵家の『聡子(竹内結子)』とは幼馴染であり、初雪の舞い落ちる日、二人は百人一首に興じていた。
数年後、19歳になった『清顕』は親友『本多(高岡蒼佑)』と広大な屋敷の庭でボート遊びをしていた。かすかに洩れる声に『清顕』は客が訪れていることに気付く。月修寺の住職『門蹟(若尾文子)』と『聡子』だった。ボートから一向に向かって手を振る『清顕』に『聡子』は一礼をもって答えていた。
『聡子』は『清顕』に対して思いを寄せていた。『清顕』に自分をどう思っているか問う『聡子』であったが、『清顕』の答えはつれないものであった。『清顕』は自分の気持ちにまだ気付いていなかった・・・
物語の舞台は大正時代の華族。
私はあまり大正時代のことを知りません。幕末から明治にかけては歴史の大転換期、昭和は激動の戦争の時代、それにはさまれた大正こそが実は一番優雅な時代だったのかもしれません。
幼馴染だった華族のそれぞれ令嬢、令息二人が主人公です。
少女が年上でかつ二人の年の差を二歳に設定しているところが原作の妙でしょう。最後まで大人になりきれなかった少年と、乙女から一人で困難に立ち向かうことのできる女性へと成長した娘の物語だと私は感じました。そういった面では少年ぽさの残る「妻夫木聡」の起用は当たっていたのかもしれません。対する「竹内結子」の演技は成長していかざるをえない少女を見事に演じきり、賞賛に値するものだったと思います。『清顕』の親友役を演じた「高岡蒼佑」の純朴そうな演技も評価できます。
本作のカメラを担当したのは『花様年華』『夏至』の「リー・ピンピン」という方だそうですが、カメラワークに特に魅力は感じませんでした。(座った場所が前から二列目だったからかもしれませんが) かえって繰り返されるパターンや遠近でのぼかしなどに、鼻についた印象を受けました。(そういった特徴のある方なのか、本作に合わせた絵作りなのかは判断できませんが・・・)
映像面では大正時代の格式美を期待していました。冒頭の日本庭園は美しく撮影されていましたが、あとはセットであろう事が読み取れ、あまり日本的な美しさは再現しきれていなかったと思います。(『蝉しぐれ』を見た後だけについ比較してしまいます。)
ストーリーとしてはまっすぐです。二人が結びつくまではそれなりに楽しめましたが、破局に向かうところからクライマックスまでがいまいち盛り上がりに欠けた気がします。
「宇多田ヒカル」が歌う主題歌『Be My Last』がエンディングロールで流れますが、作品の雰囲気によくあっていたと思います。
文芸作品としては楽しめたと思いますが、2時間半はやはり長い・・・
評価 星 みっつ
行定監督の舞台挨拶レポートはコチラ
公式サイトはコチラ
・春の雪@映画生活
P.S.1
原作本買ってきました。初「三島」ということで・・・
P.S.2
試写会の後『私の頭の中の消しゴム』の前売りを買いました。初日に行くつもりです。
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原作は「三島由紀夫」。それなりに本は読んでいますが、「三島由紀夫」は読んだことがありません。割腹自殺した人ということしか知りませんでした。
ブログを始めて以降、最近は結構邦画を見るようになりましたが、以前はほとんど邦画に眼を向けることはありませんでした。その理由はいわゆる文芸大作が大嫌いな為です。
本作は三島由紀夫原作の映画化ということで、まちがいなく文芸大作の部類に入ると思います。主演が「竹内結子」でなければ興味を持たなかったかもしれません。ちなみに「行定勲」の作品は今まで見た事がありません。多少の偏見があるかもしれません。
侯爵家の嫡男『松枝清顕(妻夫木聡)』は幼い頃、華族としての素養を身につけるため伯爵家の『綾倉』家に身を寄せていた。伯爵家の『聡子(竹内結子)』とは幼馴染であり、初雪の舞い落ちる日、二人は百人一首に興じていた。
数年後、19歳になった『清顕』は親友『本多(高岡蒼佑)』と広大な屋敷の庭でボート遊びをしていた。かすかに洩れる声に『清顕』は客が訪れていることに気付く。月修寺の住職『門蹟(若尾文子)』と『聡子』だった。ボートから一向に向かって手を振る『清顕』に『聡子』は一礼をもって答えていた。
『聡子』は『清顕』に対して思いを寄せていた。『清顕』に自分をどう思っているか問う『聡子』であったが、『清顕』の答えはつれないものであった。『清顕』は自分の気持ちにまだ気付いていなかった・・・
物語の舞台は大正時代の華族。
私はあまり大正時代のことを知りません。幕末から明治にかけては歴史の大転換期、昭和は激動の戦争の時代、それにはさまれた大正こそが実は一番優雅な時代だったのかもしれません。
幼馴染だった華族のそれぞれ令嬢、令息二人が主人公です。
少女が年上でかつ二人の年の差を二歳に設定しているところが原作の妙でしょう。最後まで大人になりきれなかった少年と、乙女から一人で困難に立ち向かうことのできる女性へと成長した娘の物語だと私は感じました。そういった面では少年ぽさの残る「妻夫木聡」の起用は当たっていたのかもしれません。対する「竹内結子」の演技は成長していかざるをえない少女を見事に演じきり、賞賛に値するものだったと思います。『清顕』の親友役を演じた「高岡蒼佑」の純朴そうな演技も評価できます。
本作のカメラを担当したのは『花様年華』『夏至』の「リー・ピンピン」という方だそうですが、カメラワークに特に魅力は感じませんでした。(座った場所が前から二列目だったからかもしれませんが) かえって繰り返されるパターンや遠近でのぼかしなどに、鼻についた印象を受けました。(そういった特徴のある方なのか、本作に合わせた絵作りなのかは判断できませんが・・・)
映像面では大正時代の格式美を期待していました。冒頭の日本庭園は美しく撮影されていましたが、あとはセットであろう事が読み取れ、あまり日本的な美しさは再現しきれていなかったと思います。(『蝉しぐれ』を見た後だけについ比較してしまいます。)
ストーリーとしてはまっすぐです。二人が結びつくまではそれなりに楽しめましたが、破局に向かうところからクライマックスまでがいまいち盛り上がりに欠けた気がします。
「宇多田ヒカル」が歌う主題歌『Be My Last』がエンディングロールで流れますが、作品の雰囲気によくあっていたと思います。
文芸作品としては楽しめたと思いますが、2時間半はやはり長い・・・
評価 星 みっつ
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原作本買ってきました。初「三島」ということで・・・
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原作はおもしろいですよ。映画化はむずかしいのかな。
レイトショーだったのですが、2時間半はちょっときついものがありました
なかなか清顕に共感できなくて、たしかに「大人になりきれなかった少年」という印象受けましたね。
原作、僕も読んでみたいです!