ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

詩、少年ものがなし

2014-05-18 17:27:39 | 
ある五月の晴れた夕方

ものがなしがゆっくり僕の奥で動き出し

いても立ってもいられなくなり

歩き始めた

歩き出してすぐ

ものがなしが僕に問い掛ける

ものがなし、ものがなし、ものがなし

僕は答える

ものがなしくなし、ものがなしくなし、ものがなしくなし

そんな問答

繰り返し

繰り返し

繰り返し

そしたらコマあり自転車に乗った四歳くらいの少年が僕に言う

こんにちは、バイバイ

僕は涙がこぼれてしまい

少年は不思議そうに僕を見る

僕は少年に顔を見られないように

空を見上げて

背を向けて

少年に手を振る

ものがなし、ものがなし、ものがなし