ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

短歌のこと

2022-01-07 11:38:46 | 雑感
短歌を最近、やたらと思い出す。

短歌と出会って取り憑かれた何年間かの間に起こったこと。

短歌を通して出会った人達と、未熟さ故にその関係に耐えられなかった自分自身のこと。

満たされている人間の詠む短歌はつまらないと考えていたこと。
最近、気がついたことは満たされている人間はいないということ。

誰もが一人である以上、誰もが孤独であること。

そんな簡単なことが近すぎて大きすぎて見えなかったこと。



短歌。ときどき思い出しては色々と想像する。

2018-01-11 18:59:07 | 雑感
一生に一度ひらくという窓のむこう あなたは靴をそろえる
「ひとさらい」笹井宏之

一生に一度ひらく窓。

一度ひらき、そして閉まると永遠にひらかない窓。

不可逆。

窓のむこうの世界で靴をそろえて待つ人。

その世界を僕が想像する時、いつも光に溢れていて、ほとんどぼんやりとしかあなたが見えない。

あなたは女性だ。

ベージュのカーディガンと白のブラウス、麻のロングスカートが余計にあなたをぼんやりとした光のオーラでぼやけさせてしまう。

それを見ている僕は六歳にも満たいない少年だ。

しばらく見ているとその女性は腕を広げる。

近づこうとするけれど、何故か動けない。

とても、強い力でこちら側の世界に引っ張られる。という訳ではなく何とも説明のつかない不思議な麻酔を注射されたように動けない。

しばらくそうしていると、外側を覆うもののない僕の純粋な中身だけが窓を通る。

あなたの腕が僕の中身の背中に触れる前、つまり抱かれる少し前で終わる。

抱かれてしまえば、窓は閉まるだろう。

だから、靴は履かない。

履けないのだ。

靴はそのままの状態である。

必ずいつか僕はそちらの世界に行き、その腕に抱かれるだろう。

待ってくれている女性を想像すると、この世界にいる僕は一息つける。

ほんの一息だけれども、深い一息を。

それは救いだ。










短歌。

2018-01-10 13:21:58 | 雑感
短歌。

少し長くて少し短い。

日常的な思考パターンでは読めない。

そして、日常生活において目に触れることはまずない。

なかった。

ほぼ皆無。

絶無?

意識的に手に取らなければ触れられない。

そして、触れる人を選択する。

まるで予め定められた恋人のように。

別れてしまえば、再会を躊躇する。

再び触れればそれと分かるのか。

また躊躇する。

読むことはあなたに触れることだから。

一人に慣れた私には扉のない壁のようだ。

ノックする場所もなく、脚立もなく、ただ天辺を呆然と馬鹿みたいに見上げて立ち尽くすだけ。

とりあえず、歌集を持ち歩こう。

そして、少しだけ盗み見よう。

あなたの内側の断片を。

罪の意識を抱きつつ。






Dr.Tへ

2013-02-06 16:39:53 | 雑感
あなたにお借りした「池井昌樹詩集」を何度も読んでいます。脇田和の絵を見たときのようななんとも言い難い複雑な心境です。
私のような人間は二人といないだろうという自負が脆く崩れていくのをなすすべもなく見させられている感覚なのです。
あなたがよく言われる「もはや表現されていないものはない」との言葉を今更ながら実感しています。
私の表現したかった世界が突如、目の前に現れた衝撃。
しかもそれが詩であったこと。
私は彼を知らなかった。が、彼を知った。
私は拙い模倣であった。

そしてあなたはこうも言った。

「芸術の力は弱い。だからこそ必要なのだ。」

私も表現し続けるしかない。それは生きることと同義であるから。

詩人の仕事

いまはむかし
まふゆのいちばんさむいあさ
いちばんかぜのつよい日に
おおぜいの詩人をのせたちいさな船が
おおしけのうみへこぎだした
えものをすなどるわけでなく
自由の天地をおとなうという
世間じゃおわらいぐさだったが
詩人らはみなほんきだった

〈月下の一群〉にある詩のほんの一節だけれど、この自由の天地を見てみたいと痛切に願う。

私は誰も聞くことのできない音楽を奏で続けるしかない。

退会

2012-12-11 18:08:48 | 雑感
短歌人会を退会した。
理由は
発表する場を必要だと感じなくなった。
歌集以外を読む気が失せた。(全くでないが)
今まで御世話になった方々、ありがとうございました。
御迷惑をお掛けした方々、すみませんでした。
また好きな短歌があれば歌集以外からも読むつもりです。(過去の短歌人誌を読み返して)
blogはずっと続けますのでお付き合い頂ければ幸いです。