ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

詩、雲と僕を遮るもの

2014-06-29 21:30:48 | 
僕の中にはうずうすむずむずぐすぐす虫が飛んでいて

七月になろうとする日曜の晩、夜の公園に向かった

大阪の夜空は相変わらず星が少なくて

蚊に刺されながらベンチにごろり横になった

手を雲に向かって伸ばす

届かない

当たり前だ

けれど遮るものはない

その事実が悲しい

ほんと、僕は誰かを傷付けなければ生きられない

誰かはきっと僕が嫌い

梅雨の名残の雨が降る

誰かを守ることで誰かに守られる

幸せは不幸せな時間に実感する

あなたに会いたい

会いたくて仕方ない

でも僕は蚊の集中砲火と

雨に打たれて

痒くて

痒くて

目尻が冷たくて温かい

雨が強くなる

家に帰れなくて軒下で

この詩をあなたに向けて綴る

よければ心のなかで返事をくれないか

星がなければ道が分からない

大人の迷子は間が抜けて

恐ろしいほどの雨に

一生この軒下で立っているのか

あなたの乳房の美しさ

瞳の寂しさ

口中の温かさ

僕はこのまま一人でこの場所で

スイカ、ブドウ、ナシ、メロン、マンゴー、

好きなフルーツ

あなたはどのフルーツが好きだったのか

もう聞くことは出来ない

世界はまた閉ざされて

僕は女の温もりが欲しくて

今日も周り続ける

詩、伏見桃山、たどり着けない。

2014-06-24 14:12:12 | 
お気に入りのTシャツは青のボーダー

ポケットはない

六月は八月より暑くて

半ズボン

ポケットのたくさんついた

お気に入りの小説はポケットに入る

ウォークマンは恋を歌い

孤独を癒す

京阪電車は

伏見桃山を目指す

枚方市では特急を待つ

これから君と君の好きなミュージシャンのライブ

ウォークマンからそのアーティストがささやく

「世界まで嫌わないように」

穏やかな時間

きみのくれた時間

電車よ

たどり着くな

きみの駅に

ただ走り続けてくれ

このまま

すれ違う電車の一瞬の衝撃

それから目が覚めて

電車はやっぱり伏見桃山

会いたい会いたくない

溶けてしまいたくない

孤独な自分も好きです

砂糖は水に溶けても砂糖

僕はどこまでも間が抜けた僕



詩、あ、かるい

2014-06-23 05:57:10 | 
少年は空が軽くて

どこまでも飛べた

かるい、かるい

あ、どこまでも飛ぶ

吠えまくるブルドック

簡単に捕まる殿様カエル

食べ物をねだる子猫

交尾をする野良犬

可愛くて可愛すぎてもて余す弟

守りたい母の笑顔

少年の空は軽い

夏の空は特に

あ、かるい、あ、かるい

悲しいくらい

眩しいくらい

くらい、くらい、どんくらい

あ、朝の光り


詩、まわる、まわりつづける悲しみ

2014-06-01 17:42:14 | 
同じ場所をまわりつづける

悲しみを抱えて

星を背負って登る山道

下山してまた登る

実は足元の地球もまわっていること

自身もまわっていること

なぜまわるのか

なぜおわるのか

なぜとまるのか

いなくなること

えんえんとえいえんの間

場面も奇跡だということ

あなたを舐められること

あなたに舐められること

あなたに射精すること

あなたの寝息の規則正しさ

ぬくもり、くもり、かたつむり

ほんとうは誰も信じていない

まわりつづけることの

かなしみ

くるくるくるくる、あなたは

ぼくのもとにくるくる

くるくる、ぼくはあなたのもとに

りりりりり、気を付けて下さい

りりりりり、つまずかないように

あなたの手を握って

星を背負って

山を登る

地球をまわる