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猛暑がHDD MaXLineIII に残した傷跡

2005-09-25 00:46:44 | ハードウエア

 まもなく10月.雨天の本日は深夜になっても室温27度が維持されており,扇風機の高回転は継続を余儀なくされている.このように我が家の夏は未だ終わってはいないが,それでも,秋の気配は確実に近づいてきているようだ.

 以前の記事に書いたとおり,今年の7月頃,私のメインマシンにおいて,3.5インチHDD交換が実施された.新たに導入されたHDDは,MAXTORMaXLineIII 7L250R0(PATA,250GB,7200rpm,16MBキャッシュ,3枚プラッタ,スペックシートベンチマーク)だ.ご存じかと思うが,MAXTORの場合,HDDが使用目的別にシリーズ構成されている.MaXLineIIIシリーズは,ミッドライン(参照データサーバ)・ニアライン(バックアップ)向けの製品で,主に企業で使用される.24時間稼働の我がメインマシンに,このMaXLineIIIを採用したのは,やはり通常のオフライン(デスクトップPC)向けである同社のDiamondMax10シリーズよりも,耐久力があるのではないかと思ったからだ.ちなみにMaXLineIIIシリーズの,低デューティ・サイクル使用時におけるMTTFは,100万時間となっている.

 7月から24時間運用で約3ヶ月ほどMaXLineIII 7L250R0を使用してきたわけだが,この製品に関して,いくつか気がついたことをあるので,述べておこう.まず圧倒的なのは,アクセス速度,特に書き込み速度だ.今まで使用してきたHDDとは比べものにならないアクセス速度で,GB単位のファイルコピーなども躊躇せず実行できる.16MBキャッシュ内蔵のHDDは今回初めて使用したので,キャッシュ量の影響かどうかはわからない.また3枚プラッタHDDも同様に初めてなので,こちらの影響もあるのかもしれない.いずれにしても,パフォーマンスがこれだけ良ければ,DiamondMax10より,1~2千円ほど高くても,多くにユーザーが納得できるだろう.

 3枚プラッタ製品であるMaXLineIII 7L250R0は,1枚プラッタ製品よりも,動作音が大きく,放熱にも難があるように思える.実際にこの製品を使用した感じでは,音は他の製品に比べて,やや大きめかもしれないが,うるさいというほどの音量ではない.ちなみに「Automatic Acoustic management level」はデフォルトの192のまま使用している(注:デバイス・ベンダー推奨値は254).また発熱に関しても,DiamondMaxに比べれば,高めではあるが,標準的といった感じだ.今年の夏の場合,室温平均33度の部屋に置いて,強力なフロントファンのおかげか,最高45度,平均38度ぐらいで運用できた(S.M.A.R.T.値).ということで,値段はちょっと高いものの,夏場の3ヶ月ほどを運用した感じでは,好印象のMaXLineIII 7L250R0 だった.

 そして秋も近づいた先日,この夏の総決算として,このHDDのリアロケーションに関するS.M.A.R.T.指標を,久々に取ってみて,愕然とした…

  • Reallocated Sectors Count:   5 sectors
  • Power-On Hours:   44510 minuties (hours)
  • Reallocation Event Count:   0 events
  • Current Pending Sector Count (Unstable sectors):   2 sectors
  • Uncorrectable Sector Count:  0 sectors

 すでに5セクタのリアロケーション(不良セクタの代替処理)が起こっており,現在も不安定なセクタが2つもあったのだ!もちろん,夏前,そして夏真っ盛りの測定では,リアロケーションやアンステーブルは皆無だった.ちなみにメインマシン内の他の2つのHDD(MaxtorDiamondMaxPlus9 6Y120L0,HGSTDeskstar 7K250)では,リアロケーションやアンステーブル関係の値は,夏前から全く変化していなかった.

 というわけで,高耐久性を期待されたMaXLineIII 7L250R0 のメインマシンへの採用は,現在のところ成功とは言えない.メインマシンの運用上,7L250R0へのアクセス頻度はそれほど高くはないと思っていたのだが,シーケンシャルな書き込みを前提とする「バックアップ」や,アクセス頻度の少ない「参照サーバ」に比べれば,ランダムアクセス量が想定量より多く,過負荷だったのかもしれない.また発熱は比較的低いが,熱には敏感な製品だったということなのかもしれない.

 結局,MaXLineIIIの耐久性は,バックアップ的用途のみで発揮されるのだろうか?この真偽については,当然個体差もあり得るため,他のユーザーの証言を取らなければ確定的なことは言えないだろう.また,S.M.A.R.T.指標については,リアロケーション・セクタ数とリアロケーション・イベント数が一致していないことも,疑問として残ったままだ.

 以前から気になっていたブログ記事がある.その記事によると「MaXLine : 熱に弱い, 発熱する, Heavy Dutyに弱い / 弱点除けば不死, Marvellに向く 」とメモ書きされていた.これがMaXLineIIIを意味しているのか定かではない.とりあえず,次回のHDD交換では,もう一度MaXLineIIIにチャレンジしてみるつもりだ.果たして,吉と出るか,凶と出るか?乞うご期待.


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