今、食品添加物に関する原稿を書いている。「無添加がいい、とか言われているけれど、根拠がない。添加物は、気付きにくいさまざまな場面で使われているし、リスクを小さくする場合もあって、恩恵は大きい。思い込むのではなく、もっといろいろ知ってから添加物について語ろうね」という内容。
そこで、最近非常に気になっているのがこれ。三ツ矢サイダー オールゼロ。
なにがオールやねん?
CMで、カロリーゼロ、糖質ゼロ、保存料ゼロと盛んにうたうが、カロリーと糖質については小さく、「栄養表示基準による」と書いてある。
栄養表示基準では、カロリーは5キロカロリー未満/100mlなら、ゼロと表示していい。糖質は0.5%未満ならゼロとしていい。つまりは、厳密には「三ツ矢サイダー オールゼロ」のカロリー、糖質はゼロではないかもしれない、ってことですね。
表示を見ると、原材料名として書いてあるのは食物繊維(ポリデキストロース)、果糖、香料、酸味料、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)。添加物もいろいろと使われているけれど、こういうのはゼロでなくていいのかしらん?
オールというから、てっきり全部ゼロかと思った。なんて、ウソです。全部ゼロなら、食品添加物である二酸化炭素も使っちゃだめ。炭酸水になりませんね。いや、水もゼロなら飲料になりません。
これで、オールゼロと名付ける感覚が、私にはよく理解できない。
しかも、広告が悪どい。特に、5月26日付の朝日新聞の広告特集にはびっくりした。社長と女性アナウンサーの対談という形式で、社長が「健康志向の高まりもあり、『サイダーを飲みたいけれど、カロリーが気になる』という声も寄せられていました。ならば、カロリーも、糖質も、保存料も、すべてゼロの三ツ矢サイダーをつくろうと。もちろん、着色料、カフェインもゼロです」と語る。これに対して、アナウンサーが「うれしいですね。子どもの口にいれるものは特に気をつけたいですから、私のような母親世代には保存料ゼロというのもうれしいです」と応えているのだ。
保存料は、適正に使えば健康には影響しない。そのことは、食品安全委員会や厚労省やFDAやEFSAやいろいろな機関が、明確に示している。でも、商品開発の動機として「健康志向の高まりを受けて」とさりげなく説明し、アナウンサーの発言でしっかりとリンクさせている。「賢いお母さんは、保存料が入っているような飲料なんて子どもに飲ませちゃだめ」と読者に思わせる。「保存料=危険」という誤解を利用した高等テクニックだ。
大企業も、こんなことをするんだなあ。
どの企業も、商品を売りたいという気持ちと、科学的に妥当な説明をしなければ、という思いの間で、苦労しながらネーミングを考え宣伝している。この不景気にその苦しさはよく分かるので、私は個々の商品の売り方にはあんまり目くじらを立てることはない。だけど、オールゼロはあまりにもあからさまなので、さすがに驚いた。
「非科学的だ」「消費者を騙すのか」という怒りは湧かない。そうではなく、「126年の歴史を持つ飲み物なのに、なんと品のないことを」と思う。嘆息する。
そこで、最近非常に気になっているのがこれ。三ツ矢サイダー オールゼロ。
なにがオールやねん?
CMで、カロリーゼロ、糖質ゼロ、保存料ゼロと盛んにうたうが、カロリーと糖質については小さく、「栄養表示基準による」と書いてある。
栄養表示基準では、カロリーは5キロカロリー未満/100mlなら、ゼロと表示していい。糖質は0.5%未満ならゼロとしていい。つまりは、厳密には「三ツ矢サイダー オールゼロ」のカロリー、糖質はゼロではないかもしれない、ってことですね。
表示を見ると、原材料名として書いてあるのは食物繊維(ポリデキストロース)、果糖、香料、酸味料、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)。添加物もいろいろと使われているけれど、こういうのはゼロでなくていいのかしらん?
オールというから、てっきり全部ゼロかと思った。なんて、ウソです。全部ゼロなら、食品添加物である二酸化炭素も使っちゃだめ。炭酸水になりませんね。いや、水もゼロなら飲料になりません。
これで、オールゼロと名付ける感覚が、私にはよく理解できない。
しかも、広告が悪どい。特に、5月26日付の朝日新聞の広告特集にはびっくりした。社長と女性アナウンサーの対談という形式で、社長が「健康志向の高まりもあり、『サイダーを飲みたいけれど、カロリーが気になる』という声も寄せられていました。ならば、カロリーも、糖質も、保存料も、すべてゼロの三ツ矢サイダーをつくろうと。もちろん、着色料、カフェインもゼロです」と語る。これに対して、アナウンサーが「うれしいですね。子どもの口にいれるものは特に気をつけたいですから、私のような母親世代には保存料ゼロというのもうれしいです」と応えているのだ。
保存料は、適正に使えば健康には影響しない。そのことは、食品安全委員会や厚労省やFDAやEFSAやいろいろな機関が、明確に示している。でも、商品開発の動機として「健康志向の高まりを受けて」とさりげなく説明し、アナウンサーの発言でしっかりとリンクさせている。「賢いお母さんは、保存料が入っているような飲料なんて子どもに飲ませちゃだめ」と読者に思わせる。「保存料=危険」という誤解を利用した高等テクニックだ。
大企業も、こんなことをするんだなあ。
どの企業も、商品を売りたいという気持ちと、科学的に妥当な説明をしなければ、という思いの間で、苦労しながらネーミングを考え宣伝している。この不景気にその苦しさはよく分かるので、私は個々の商品の売り方にはあんまり目くじらを立てることはない。だけど、オールゼロはあまりにもあからさまなので、さすがに驚いた。
「非科学的だ」「消費者を騙すのか」という怒りは湧かない。そうではなく、「126年の歴史を持つ飲み物なのに、なんと品のないことを」と思う。嘆息する。
オールゼロは書かれている通り(書こうと思っていました)。女性とのやり取りが「無添加が健康的」とイヤらしい。そういうスタンスなら、「おいしくなった東京水でも飲まれたらいかが」と申し上げたい。
ifiaJAPANで「食品表示の問題点~『無添加』表示を斬る~」というタイトルで以下のことを話してきました。
・「無添加」表示は、市民から「求められるから」という言い訳がありそうだ。しかし、それが誤解であれば、利用しないという姿勢は必要だろう。市民の無理解で商売をしてはいけない。企業は市民を正しく導く役割も担っている。これは社会的責任(CSR)の一つであると考える。
コメント、どうもありがとうございます。
でも、私はそこまでは思わないのです。
食品添加物を誤解しているにせよ、「いやだ」と言う人がいる。そういう人たち、無添加を精神的にも必要としている人たちをターゲットとした商売もまあ、あってもいいかな、と。
淡々と無添加や保存料不使用を表示しているなら、私は淡々と情報伝達として受け止めます。
ただ、そこに「健康を考えて」とか「食の安全のために」とかの理由をつけてはだめ。それは、ウソだからです。
企業は、市民を正しく導く役割を担っている、なんてことは思いません。そういう自覚を持って仕事をしてほしい、とは思いますが、そこまで企業に期待はしない。しかし、企業は、ウソは言ってはいけません。もちろん、個人も。
私は、一個人ですが、ウソを言ってしまったら必ず後で、なんらかのしっぺ返しを食らう、あるいは矛盾が出てきてそれを隠し通すために苦しい思いをする、あるいは隠し通せずに右往左往するはめになる、と思っています。
BSE問題で「全頭検査をしているから安全です」と言った国が今、右往左往しているのをみても明らか。
全頭検査をやめない自治体は悪いですが、国が最初にウソを言ったのだから、自治体が従わないのはある意味、当然の報いです。
だから、ウソはだめ。倫理とか社会的責任とかの議論以前の話として、ウソはやっぱり、お得じゃない。
私はそう思います。
厚生労働省と企業はトクホをやめるべきである。ヨーロッパでは日本のトクホは認められませんよ。
淡々と無添加や保存料不使用を表示しているなら、私は淡々と情報伝達として受け止めます。
誤解は解いてあげましょうよ、増殖しますよ。
それに、誤解を利用した商売もイエローカードを出し続けるべきではないでしょうか?
それが大企業であれば、なおさらです。CMという金に物を言わせた影響力は大きすぎますから。
オールゼロで引っかかるのは保存料のくだりですかね。
淡々と受け止めているつもりで、何か刷り込まれた人たちの多いですから。
食品添加物は、なかなか難しい課題ですので新著に期待しています。
またこんな記事が出回ってます。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/667
なんというか、、、