松永和紀blog

科学情報の提供、時々私事

消費者委員会の暗闘、新聞誤報~どうなる? 遺伝子組換えパパイヤ

2010-06-01 09:36:03 | Weblog
 昨年、食品安全委員会で安全性評価を終えた遺伝子組換えパパイヤが、次のステップとして消費者委員会食品表示部会での審議に移り先週24日、原案通り承認された。だが、部会の2回にわたる議論では、組換えに反対する日本消費者連盟から出ている委員らによってさまざまな疑義が提起され、スムーズな審議とは言えなかったようだ。

 今回の審議の影響は、パパイヤに留まらないのかもしれない。反対派は、組換えの表示制度見直しに向けて、2回の審議でさまざまな布石を打った。今後、表示制度を厳しくすることで組換え作物の流通を事実上、困難にしようと考えているように見える。
 残念ながら、一部の新聞は誤報したし、反対派の布石を読めていない。私も傍聴できず、傍聴した消費生活コンサルタントの森田満樹さんから審議の模様を聞き、理解できた。森田さんが内容をまとめてくれたので、このブログでご紹介したい。
 森田さんは、食品企業勤務、出版社勤務などを経て消費生活コンサルタントとして活躍し、不二家の信頼回復対策会議の委員も務めた人。日経BPのFood Scienceで連載もしていた。しかし、Food Scienceはなくなってしまったので、とりあえず私のブログで掲載させてもらう。
 遺伝子組換えの表示見直しは、組換え嫌いの多い民主党が政権をとり、社民党党首が消費者や食品安全などを担当する内閣府特命担当大臣となったことと密接に関係していた。だが、後者は内閣を去り、内閣自体もぐらぐらだ。そんな状況下で、森田さんは組換えパパイヤを巡る動きをどう読むか?

…………以下、森田さん執筆…………

 内閣府の消費者委員会食品表示部会第2回会合が24日開催され、懸案だった「遺伝子組み換えパパイヤ及びパパイヤ加工品の表示義務化」について原案通り承認された。これまでの食品表示部会の議論を聞いていると、表示から外れて安全性の話になったり、一体どうなるかと思っていたが、ひとまず部会は通った。

しかしすぐに流通されるわけではない。今後は、厚生労働省と農林水産省の大臣宛の協議を経た手続きの後、一般からの意見を求めるパブリックコメント及びWTO通報のステップに進む。その結果を盛り込んだ案を再び食品表示部会で確認、さらに消費者委員会の議論を経て消費者庁に返され、そこで表示基準が告示されることとなる。一部報道で「パパイヤ遺伝子組み換え輸入品、夏にも解禁」とあるが、WTO通報だけで60日、前後30日かかることを考えても、夏はとても無理。早くても秋、冬にずれ込むのではないか。

遺伝子組み換えパパイヤは、パパイヤに壊滅的被害をもたらすパパイヤリングスポットウィルスに抵抗性を持たせたもので、米国FDAによって1997年に認可され、ハワイでは広く商業栽培されている。農林水産省のホームページ(遺伝子組換えに関する技術サイトは現在休止中だが)によれば、ハワイのパパイヤは2009年の時点で77%が遺伝子組み換え体とされている。

ハワイで栽培されている遺伝子組み換えパパイヤは、かねてよりハワイパパイヤ産業協会が安全性評価の申請を行っており、2009年7月、食品安全委員会によってリスク評価がようやく終了し、安全性が確認された。しかし、未だに「審査継続中の遺伝子組換え食品と添加物」に入ったままである。日本で食品として許可されるためには、表示の問題を含めて消費者庁、厚生労働省、農林水産省で検討が行われ、表示基準が定められ、厚生労働省で告示され、そこで初めて流通が認められる。つまり、表示のルールを決めなくては始まらない。

これまでは、遺伝子組み換え食品の安全性評価が終了したら、表示の基本ルールに則って淡々と厚生労働省と農林水産省で検討され表示基準が定められ、流通が許可されていた。しかし、今回は様子が違う。表示を決める段階で、法律は全て消費者庁に移管されたのだ。
消費者委員会の食品表示部会が発足したのは2010年3月。消費者庁発足から半年たってようやく遺伝子組み換えパパイヤの表示について審議がスタートしたわけだが、食品表示部会第1回の議論では「ここで安全性の議論もすべき」「パパイヤだけ別のルールをつくる」といった意見が出て、まとまらなかった。その時点では、検討するためのデータが少なかったこともあり、議論は次回以降となってしまった。

 こうして迎えたのが、24日に開催された第2回食品表示部会である。大雑把にまとめると論点は5つ。
① 消費者委員会では、食品安全委員会で既に評価が終了した安全性について議論の範疇とするか
② 生の果物丸ごとが初めて流通する初めてのケースとなるため、販売形態を考慮すべきか
③ パパイヤ加工品の中でDNAが検出できなかったものがあるが、どう考えるか。検出できないものでもIPハンドリングで検証が可能ということで表示義務化を課すのであれば、そのルールをどうするか。
④ 不分別表示が増えれば表示の意味がないので、今回のパパイヤをきっかけに不分別表示をなくすべき(=不分別管理を認めない)ではないか
⑤ 遺伝子組み換えパパイヤの表示義務化について、既にある日本の表示制度を前提とせずに、別個のルールで表示基準を定めるべきか
このうち、②以外は、遺伝子組み換えパパイヤの表示の議論の範疇を超えて、これから始まる遺伝子組み換え食品の表示の見直しに関わる根本的な問題に関わってくる。パパイヤの範疇を超えて、あえてこの問題に踏み込んでくる委員がいる。

それぞれの論点に対して、結論は
① 消費者委員会では安全性は議論しない
② 遺伝子組み換えパパイヤだからといって個別包装を義務付けることはない。関連事業者の指導を行って、周知徹底を図る。
③ パパイヤ加工品については今後検出方法を精査していき、パパイヤ加工品全てを義務化対象としていく。検出できなくても、IPハンドリングで違反が分かれば指導対象となる
④ 不分別表示をなくす、ことはない
⑤ パパイヤだけ別に考える、ことはない
となった。結論から言えば、これまで適用されてきた遺伝子組み換え表示ルールに則って原案どおり意見がまとめられたことになる。つまり、生のパパイヤも加工品も、遺伝子組み換えのものは「遺伝子組み換え」、IPハンドリングされていなければ「遺伝子組み換え不分別」とする表示を義務付ける、ということだ。

まるごと生で食べても安全、人の健康を損なうおそれはないと判断された組換えパパイヤだ。今回、生の青果物が初めて流通するということは論点にはなるが、パパイヤの表示だけを特別扱いするということは、これまでのルールからは考えられない。それがこれだけ論点が出て、しかも1回目は差し戻し、第2回目の議論は1時間半ちかく延々と続き、結局は座長が「原案どおり」とまとめることになった。なんでこんなに揉めるのか。

理由は二つ。一つは、消費者委員会だから、である。今回の部会の委員には、日本消費者連盟の山浦事務局長が委員となっている。松永さんも触れておられるように、日消連は農林水産技術会議が作成して小中高に配布した遺伝子組み換え農作物に関するリーフレットの回収を求めて抗議文を出したところである。山浦事務局長は、第1回目の会議で「もうちょっと慎重に、消費者委員会ですから、食品安全委員会の安全性評価の結論ありきではなく、安全性についても考えるべき」と発言している。第2回目では、さすがに冒頭で部会長や他の委員から「ここでは食品安全を議論する専門的な立場にはないから、表示の話のみ」と釘を刺されていたが、それでも「消費者委員会では、食品安全行政を監視していくという役割を果たしていきたい」と述べている。

もう一つの理由は遺伝子組み換え食品の表示ルールにそもそも問題があって、今年度後半から表示全体の見直しが始まることになっていることにある。今の表示制度は、遺伝子組み換え農産物及び組み換えられたDNA等が検出できる加工食品について「遺伝子組み換え」または「遺伝子組み換え不分別」の表示を義務付けることが原則。しかし、私たちが目にするのは、任意表示である「遺伝子組み換えでない」の表示ばかり。分別生産流通管理をしている場合は、この表示をつけることが可能となっているため、現在、表示が義務付けられている32食品群についてはほとんどが「遺伝子組み換えでない」表示が付されているのだ。一方、32食品群以外の加工油や醤油には、不分別原料が用いられても、DNA等が検出できないため表示対象ではなく、何の表示もされていない。これでは選べない。実際に遺伝子組み換え原材料の食品を口にしているという現実を、消費者は知ることができない。遺伝子組み換え技術の受容が進まない理由もここにあるのではないか。

しかし、そもそもの表示ルールの問題と、今回のパパイヤ表示の議論とは別である。パパイヤの表示をこれまでの表示ルールを適用せずに独自のルールを定めることはできない。しかし、今回の表示部会の議論では、今年度後半から始まる表示制度の前哨戦として位置付けようと、あえて論点を拡大して議論しようとする委員がいる。当日の議事概要は長くなるので、興味がある方は、次回以降お読み頂きたい。
遺伝子組み換え食品の表示見直しの議論は、もう始まっているのである。

……ここまで、森田さん執筆………………

消費者庁がまだ議事録を公表していないので、森田さんが記録した議事録も、前編後編に分けて掲載する。
また、消費者委員会食品表示部会の会議資料等はこちら

遺伝子組換えパパイヤの表示審議・議事概要前編(5月24日開催)

2010-06-01 09:35:19 | Weblog
2010年5月24日消費者委員会食品表示部会(第2回)
議題「遺伝子組み換えパパイヤ及びパパイヤ加工品の表示義務化について」に関する議事概要

(最初に齋藤審議官より挨拶後、各委員挨拶、消費者委員会事務局より配布資料の確認)
○ 部会として安全性についての議論を行うかどうかについて確認

田島部会長)議事に入る前に、前回の第一回部会において委員から安全性の話が出たが、消費者委員会設置の経緯からすると、ここでは食品衛生法、JAS法に基づく表示を審議する場であって安全性評価の場ではない。食品安全委員会で、安全性の話はすることになっていて、ここでは表示の話となっているのでご承知頂きたい。また、山浦委員から第一回部会でご指摘のあった安全性評価についてだが、本日、山浦委員から意見書が出ていて、委員のみの机上配布で出している。2ページのもので、前半のGMの安全性については遺伝子組み換え食品の安全性評価に関わることである。食品安全委員会の専門調査会の委員でもある手島委員から、まずご発言頂きたい。

手島委員)部会長よりご指名があったので、一言申し上げたい。今日の山浦委員から配布された意見書を拝見していたが、そこで参考文献が二つ挙げられている。参考文献の1については、既に今年2月8日の食品安全委員会専門調査会において、この論文については議論をしていて、特に人の健康に悪影響を及ぼす新たな所見は無いということで、その後、食品安全委員会に報告した。これと同じような意見はEFSA、オーストラリア・ニュージーランドの食品安全庁でも同様の報告であった。参考文献2については去年の5月にアメリカの環境医学会(AAEM)のプレスリリースに関するものだが、こちらは遺伝子組み換え食品に対するゼネラルな意見で、個別の系統の意見ではない。個別の系統については検討内容を個別に食品安全委員会にで、議論するものである。

田島委員)また、意見書2のコメの表示については、これから食品安全委員会事務局と消費者庁と協議して、議論したい。急な話なので本日の議題には挙げない。

山浦委員)参考文献1については、食品安全委員会で安全性評価が行われていることはもちろん承知している。そのうえで、消費者委員会で慎重な議論をすべきということで意見を出させてもらった。2月の専門調査会の議論ももちろん知っているが、この話は食品安全委員会自らが対照実験を行って、検討したという結論ではなくそういう類のものではない。食品安全委員会で検討が終わったからパーフェクトというわけではない。
2番目の文献は1995年から2008年までの13の研究成果をもとに、患者に対して遺伝子組み換えを避けるべき、表示も必要だと医学界の専門家が指摘しているものである。
米国の医学界の専門家が言っているのだから、これについても自ら追試試験、対象試験をしなくてはならない。ここでも表示の義務化があげられているが、AAEMでは安全性と表示の話と一緒にしている。今、ここでは分業体制で、安全性は食品安全委員会でやったから、ここでは表示だけでいいんだということだが、食品安全委員会で見直しを行う視点があるべきだということで、よろしくお願いしたい。ぜひ消費者の選択権の確保を進めたい。現行の米の表示の方法、矛盾の問題も是非検討していきたい。

田島委員)あくまでもここは表示の審議をする場。安全委員会のご判断にのっとって、表示だけを議論する。

鬼武委員)ここで時間を取るつもりはないが、大事なことなので話す。ここの部会の責任義務が決まっていて、仮に食品安全委員会が間違っているということでも、我々は専門的な立場でもないし、それをいう必要はない。意見があるのなら、食品安全委員会でリスク評価が終わった段階で、食品安全委員会に対して個別の疑義を出すなり、解決するべき。国際的で重要なテーマとしてあがったら、しょうがないが、範囲義務については間違いが無いようにしたい。

森委員)全く同じ意見。安全性についてはやるべきではない。役割分断を明確にしたうえでやっていきたい。

山浦委員)リスク分析、リスク管理については、相対的に吟味するという勧告する役割が、消費者委員会にはある。座長は、分業体制であって食品安全は射程ではないと強調したが、こういう視点で食品安全行政を監視していくという役割を果たしていきたい。

田島委員)上に親委員会があって、消費者委員会があるので、消費者委員会でやってもらったらいい。

○ パパイヤの表示について、遺伝子検出ができない加工品の取り扱い及び表示方法について

消費者庁・食品表示課の相本課長より遺伝子組み換えパパイヤについて、手元資料を説明
資料1-1パパイヤの生産量
1-2パパイヤの流通実態
1-3ハワイにおける分別管理の状況
1-4パパイヤ加工品における遺伝子検出法の検討について
1-5パパイヤの遺伝子組み換え表示について
1-6遺伝子組み換えパパイヤのこれまでの経緯
1-7義務化表示の原案(食品衛生法とJAS法)
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/syokuhinhyouji/bukai/100524/shiryou.html

山根委員)質問は二つ。1-4の資料でパパイヤ加工品のDNAが検出されないものについて、これからどういう判断ができるのか、説明してほしい2点目、1-1資料でハワイとフィリピン産の価格はなぜこんなに違うのか。

相本食品表示課長)2番目は品質が価格に反映しているのだろう。1番目の質問について、加工品については一部でDNAが検出されていないものがある。これらの加工品はDNAが検出できないほどではなく、おそらく糖度との競合でDNAが検出されていないだけであり、DNAの確認方法を今後改善していく。これらの加工品全てにおいて、表示を義務付けると基本的には考えている。

山本委員)糖度の関係でうまく分析できないというが、実際には厚生労働省でOKといえば、もう流通できる段階で、できるだけ早くやるというが、分析はどのくらいでできるのか。遅れないように進めてもらいたい。それから流通実態調査で回答率30%台となっているが、これだけしか把握できていない段階で、実際に表示が義務化された時に追跡調査ができるかどうか。

相本課長)回答率はどうかというと任意なので、回答頂けなかったので38%。義務付けを行った際は、生のパパイヤについては全て表示義務がかかり、当然全ての加工者にも義務付けされる。適正でなければ指導の対象となる。

青柳委員)基本的な説明をお願いする。アメリカとフィリピン、分別管理はフィリピンの例はない。フィリピンは同様の分別管理ができていると捉えていいのか、フィリピンはまだ遺伝子組み換えパパイヤは生産されていないのかどちらか。

相本課長)現在フィリピンでは生産されていないと認識している。

森委員)資料1-5で流通段階の表示が必要になる。これが今までのGMとは違う。ひょっとしたら、スーパーなどPOP表示で売られている場所で、片方から片方に移す可能性がある。個々のものに表示の義務化があると考える。今の食品衛生法でそこまで要求がないが、この問題はどこまでの範囲とするのか、ある程度基準が必要ではないか。

相本課長)ポップの形では確かに混ざってしまう。ただ一方で、原産地表示はポップでできるとしてやってきている。売り場で仮に混ざるとすれば、誤認を招かないよう、売り場の指導を引き続きやっていきたい。

宗林委員)こういう生のものは初めてで、これはポップではなく個別で分かる形にするのが一点。それから1-5の資料についてはポップということを視野にいれているのであれば、あくまで個々のものとして扱う。もう一点の質問は、1―4の資料で、たとえば遺伝子組み換えでないという表示を認めた時は何%まで入ってきて、何ppm以下で決めているというのが原則か。加工食品ではどこまで検出されるのが、明確になっている。そこをしっかりしないと加工食品に入ってきたら曖昧なままになる。どこまで検出できてどこまで意図せぬ混入として認めるかをここでしっかりと決めなくてはならない。

相本課長)ポップ表示は誤認を前提として内容の表示をしていきたい。遺伝子組み換えの混入比率を決めているのは大豆とトウモロコシの5%以下だけ。他のものは認めていない。パパイヤはこういった形の混入ではないので、混入は認めないということでいい。

青柳委員)資料の2ページで、分別生産管理の対応について輸入業者は記録が困難だと答えている数は少ないが、小売業者は約30%、他は20%が困難と答えている。そうなると表示上どうなるのか。不分別という表示をせざるを得ない。知らなければ何も表示をしないことになり、遺伝子組み換えではないととらえられる。パーセントを低くしないと、正確な情報を消費者に伝えられない。行政にきちんと指導してもらいたい。業者は小さいところが多いので、指導を徹底してもらわないと消費者に迷惑がかかることになる。

相本課長)IPハンドリングをしないと遺伝子組み換え不分別と表示することを、事業者にきちんと徹底したい。一方でIPハンドリングをきちんとやることが望ましいと思っている。
鬼武委員)私も同じく資料1-5について、まずは正確に書いて頂きたい。法律で義務表示になっているものと、なっていないものは、わかるように明記することが一点。資料1-4について、生鮮は球が大きいので、混ざったり、というリスクはないが、加工食品の場合、非組換え遺伝子の検出結果とあるが、ここは逆でないか。遺伝子組み換えで検出かどうかが問題。混入率については、大豆とかは小さい粒だが、パパイヤはどのくらいの混入がいいとか、ここがきちんとできなければ、加工食品表示には全然具体性がない。資料1-4は、非組換えのものしか検出できていない。遺伝子組み換えのものが入ったものは、遺伝子組み換えのDNAを検出しているかどうか。ジュースとかこれだけの資料では全然わからない。

田島部会長)消費者庁の考え方としては、このデータが有る無しということは、問題ないということではないか。

鬼武委員)実効性のあるものでなくてはならない。

相本課長)サンプルの問題で、もし現在DNAが検出されたものがあれば、指導対象となる。

宗林委員)やはりこういう制度を設けた後、どう第三者が追っかけられるのか、検証ができるのかが大事。入っているかどうか、検証できるものがはっきりしてないと混乱してしまうと思う。

相本課長)確認だが、全て加工食品の検証ができるまで、表示義務付けを先送りしろということか。そうであれば今の時点で、加工食品の遺伝子組み換えが捕まえられないわけで、チェックできない。

宗林委員)義務付けしないということではなく、体制を整えて、義務付けですといってほしい。

相本課長)体制にはもう少し時間がかかる。安全性は厚生労働省から安全性審査ができれば輸入できるということだから、遺伝子組み換えパパイヤが輸入される前に加工食品の表示規制も義務付けたいということである。

田島部会長)そうなると、いつまでにという議論か。

消費者庁)義務付けは大事だが、加工食品のデータがでるまでは義務付けられない。買う側からいえば遺伝子組み換えかどうか、取り扱っている人が知らないくらいだから、きちんとわかるような表示にしなくてはならない。表示方法を議論する場ではないか。

田島部会長)只今のお答えでは無理ですね。

?委員)少し誤解がある。今回、検出されないのは技術的な問題、検出されにくいものがある、コーンでも大豆でもある。それがたまたま今回は検出できにくいものがあった。基本的にはIPハンドリグがあるわけでそういうものは他にもある。今の話は、議論として違う。

山浦委員)ハワイ産パパイヤだけの表示ではだめ。遺伝子組み換えであるか、そうでないか、になるべきでは。ハワイ産パパイヤという表示は紛らわしい。義務表示の対象だからきちんと新たに基準を決めるべき。穀物の表示については、検出ができないから表示がないというものがあるが、パパイヤはIPハンドリングをきちんとすることで、事業者からすればちゃんとわかるわけだから、これを穀物のルール作りにも応用してもらいたい。
田島部会長)穀物の表示についてはまた別のところで議論したい。

栗山委員)任意と義務表示なので、ハワイ産パパイヤだけで、表示が違うというのは困る。IPハンドリングだけで遺伝子検査なしで判断できるのならば、現状で表示は可能だろうか。表示には信頼性を高めるための方策として、遺伝子検査による一本だけのルートだけでなく、いくつかのルートが必要、それが安全安心につながる。一方で、全てものもで、検出は困難とおっしゃったが、本当にそうなのか?現在困難でも将来的に可能になる技術であるという努力が欲しい。

澁谷委員)アンケートによると、不分別がほとんどを占める表示になってしまうのではないかと思う。せっかく米国内で分別しても、日本に入ったとたんにほとんどが不分別となってしまう。将来的には方針、ビジョンがあって、現状をスタートするのか、日本の中での現状を先ほどのアンケートでどう考えるか。それからDNAの検出について、遺伝子組み換えのものを調べようとおもったとき、糖度が高いからできないのか、DNAの混入率によってできないのか、海外ではある話だと思うが、そこらへんの話があれば教えてほしい

相本課長)資料1-5で義務付け対象になるのは、遺伝子組み換えと不分別の場合、遺伝子組み換えでないと表示する場合は、それがわかっている場合だけで表示ができる任意表示制度となっている。加工食品の検出については、糖度が高くてもちゃんとやっていこうということ。ご意見にもあったが、技術的に難しい部分があっても、原料をたどっていけば可能であるので、その検証をやっていけると思っている。

澁谷委員)質問したのは、表示の方向性は、不分別が多くなるのではないか、ということ。方向性としては上に持っていくというビジョンがあるのか、海外ではどうしているのかということを聞きたかった。

相本課長)先ほど説明しましたが、不分別の表示のルールから難しい。IPハンドリングをすれば可能なので、それを進めてほしい。海外の検出の研究については情報をもっていない。

○ パパイヤの表示だけ、表示ルールを新たに設けるかどうか

山本委員)パパイヤの表示については、既にGM表示として運用しているものと同様に対応して、ものによってルールは異なるのはどうか。統一範囲で表示ルールを決めるべきである。

中下委員)1-5資料についてはいろんな議員から指摘がある。不分別のものが増えれば表示をする意味がない。表示が分別管理をしているものが前提ならば、パパイヤに限っては不分別管理を認めるべきではない。表示の義務付けない限り、実際には流入されているのかもしれないので、販売できない状況だが、今は表示のチェック体制も含めて義務付けるべきだ。チェック体制を確立している前提で、義務付けをする必要がある。それまでに間に合わせるとおっしゃるのだが、そのへんの確認を前提条件として、表示を義務付けてはどうか。

鬼武委員)1-3の資料で、ハワイ産は遺伝子組み換えではないという証明書を出すということで現在進んでいるが、その後もそうか。

相本課長)その後もそうである

鬼武委員)今回の場合は米国産で、フィリピン産は必要ないということですね。

相本課長)そうです。

青柳委員)生のパパイヤについて説明したいが、お店いで表示をしているのが圧倒的に多い。お店で知識がない人によって人為的なミスが起こる。これを導入するにあたってはきちんと周知徹底をするよう、それなりの期間をとることが必要。

立石委員)資料1-5で輸入業者の線が一本だが、卸業者仲卸業者、小さい規模の八百屋さんもたくさんある。情報がきちんと伝わるトレースの仕組みがちゃんとやることが大事。
IPハンドリングをについて正確に送り状なり請求書をセットにするなり、確保するのは青果物流通に携わるものからの率直な意見。

山根委員)店頭での表示において、任意表示のハワイ産パパイヤでは分かりにくいので義務表示となるが、それを法改正となると、時間もかかる。

相本課長)「遺伝子組み換えではない」「遺伝子組み換え」という表示は、今回初めて適用するわけではなく共通の問題であり、それを超えると他にも波及する問題で別途議論が必要となる。一部のアイテムについて遺伝子組み換えできていない部分は、検証を進める、補足的に流通で確認して、対応する。仮にそういうことができない限り先送りするのであれば、何もないまま流通してしまうことになるので、速やかに表示義務をつくってほしい。

田島委員)まあ、それは消費者庁の意見です。

宗林委員)加工食品でもう一回確認です。10年たって検出限界がうんと低くなって遺伝子組み換え義務表示のやり方も変わるのでは。最後は帳簿でIPハンドリングとしてみるのか、検出で違反とみるのか、これから先に矛盾がでてくる可能性もあるということになる。消費者サイドや第三者から見ても、IPハンドリングとDNA検査の関係をしっかりしておいてほしい。

事務局)違反等の場合は通常、検査によって入っているから違反、IPハンドリングで違反などいろんな場合がある。DNAが無くなってしまう場合は適用除外だが、入っていたら違反ですという基準を作りたい。検査で間違いもある中でIPハンドリングは確認で、違反かどうかを指導する。

相本課長)宗林委員から、検出限界が上がったらどうするかということがあるが、そもそも上位3位かつ5%以内。ちょっとでも使っていれば義務付けるのではなく、一定の割合以上になったら、義務付けるということだと補足させてもらいたい

宗林委員)大豆の場合は実際にテストで検出してみて、ものによってすごく差が出てきて問題がでてきているので、お話しているのが、一点。もう一つはフローチャートで、ちゃんとやっているのか。アレルギー表示の場合はできている。行政機関だけが専門的でわかるのではなく、それを広く示されることが大切だと思う。

相本課長)遺伝子組み換えに限らないと思うが、違反事例の発見については、関係省庁と話し合って明確化したいと思う

迫委員)安全性が既に確認されて、輸入がOKになっている段階で、表示制度が後手になるのがまずいので、表示制度は従来に則ってまずは制度をつくるべき。その他で、検査の追及、事業者の指導はやってもらうとして、表示は早急にやるべき。


遺伝子組換えパパイヤの表示審議・議事概要後編(5月24日開催)

2010-06-01 09:22:00 | Weblog
○ 不分別表示をなくす、ことはできるか

阿南委員)不分別表示がいらないと、中下さんが言ったが、この議論は必要ないと思う。そのためにパパイヤだけ法制度の改変までが必要なのか。不分別表示をできるだけなくしていくということは可能なのだろうか。

相本課長)IPハンドリングを義務付けることはできないので、結果として不分別表示しかない。そういうものが不十分だということであれば、対応できない、不分別の表示自体は必要である。

森委員)不分別か否かは重要ではない案件だと思う。農家が同じトラックでやろうよといった場合、こっちは分別、そっちは不分別とせず、初めから分けていないということがあってもおかしくない選択。だからこそ不分別があるべき。不分別表示をなくすべきではなく、そういうものは世の中にはいっぱいある。生産者側に、コストの面で選択する考え方がある。

山浦委員)今の森委員の意見は反対。消費者には選択権がある。そういう現場をなくしていくということ。選択できるものに変えていくものが表示制度で、その点は森委員に反対。

青柳委員)私も消費者の立場から立てば、不分別の表示は否と思う。ただ、現状からみれば、100%実行できるかどうか。流通業も難しいと言っている。全部きれいにして実行していくのであれば、不分別のものを低減してくという方向性は必要だが、今の時点でなくすのは難しい。

鬼武委員)私も遺伝子組み換えの表示で、前々から不分別という表示はわかりにくいということは理解できる。ただ、全体の表示制度の枠組みから考えると、不分別表示をなくす、というルールは、パパイヤだから変えるというのは、拙速ではないか。もう少し時間をかけてやればいい。パパイヤは実際にフィリピン産が多い。現在、ハワイ産のパパイヤがどのくらい流通しているのか、実際には遺伝子組み換えのパパイヤは出てこないかもしれない。3年後か5年後で適切でなければ、見直せばいい。実際に入ってきていないわけで、ここで不分別はダメという議論は、実態として出た段階で判断したらいい。

中下委員)遺伝子組み換え不分別はなくしていく。この際、ここで変えていくべきではないかと思っている。遺伝子組み換えというのを表示するのなら、敬遠すれば、不分別という表示になってしまう。遺伝子組み換えなのに不分別という表示ができてしまうのなら、罰則があるのか、考えられているのかどうか。不分別表示を今後も認めていくのかどうか。

田島部会長)遺伝子組み換えの表示では、不分別は既に認められているわけであるから難しい。

中下委員)これは生の状態でやるわけですから、今までとは違う、確かにパパイヤだけ違うというのは大変かもしれないが、方向転換をしていく必要があるのではないかと思う。

相本課長)IPハンドリンの説明が不十分だった。今後厚生労働省の認可がされれば、GM、不分別、nonGMの三つが入ってくる、補足させてもらう

立石委員)最終的には個別識別しかない。IPハンドリングされた時点で、個別識別をする。そういった義務付けすれば、最後までコンタミするかどうか、追っかけられる。個別識別を義務化できるかどうかが大きなポイント。

田島部会長)難しい。

栗山委員)個別ハンドリングができるのであれば、その方法を考えてみるのは、いいのではないか。それがすごく難しいのか。IPハンドリングの難しさについて、消費者に安心、安全のための食を届けるためにシーソーした結果でも、それほど難しいことなのか。

田島部会長)どなたか意見ありますか。私は難しいと思う

栗山委員)難しいこととは思っている。これが生のものであり、最初のものであり、次々いろんなことがあるが、パパイヤのような大きなものでは、できるのではないか、私の提案は簡単だからやれというのではなく、消費者の選択の権利を守るために、バランスの上でいかがでしょうかと申し上げている。

立石委員)青果物の場合、商品化、生産者団体が様々なことをしている、個別識別について有機農業では一個一個シールを付けている。どの段階でやるのか、コストさえかければできる。

消費者庁)国内で生産するものについては、IPハンドリングをしているが、外国の農家は、IPハンドリングをしてもらえるのかどうかということもある。今は輸入を認めないということで、IPハンドリングをしたものが出てきている。今後遺伝子組み換えの流通が出てくるとなると、実際は不分別ものがこれから出てくる。そういう不分別ものについて輸入は認める、認めないのは大きな問題。何らかの形で影響を消費者に与えるのであれば、パパイヤだけでなく、適正な表示ということを早急に検討していく必要がある。不分別という表示は残さざるを得ないと消費者庁では考えている。

鬼武委員)混乱してきました。ハワイ産は、量は少ないですよね、世界からみて。今入ってきているハワイ産パパイヤは5%以下として確認されているものですよね。それが今の価格とコストで入ってきている。それでも不分別で増えると思うのですか。

消費者庁)増えるのかどうかは、需要もあるし、わからない。

鬼武委員)さっきは増えるといった。今は入ってきているのは非組み換えだけど、消費者庁はGMが入ってくると言っている。でも増えるかどうか、わからない。

相本課長)2008年、889トンのNon―gmが入ってきて、今、ハワイは74%がGMなのだから、入ってくる可能性があるということです。

中下委員)どういうルール付けをして、輸入をするのかということ。ちゃんとIPハンドリングをして、遺伝子組み換え不分別という表示をなくしていこうという戦略でいくのなら、パパイヤは個別識別をしやすい事例。だからパパイヤはトレサビをちゃんとして、不分別をなくしていくという戦略が必要。そうしないと不分別のものが増えていく懸念がある。

迫委員)消費者庁に確認させてほしい。安全性の問題があったからこれまでは輸入できなかった。今は、表示制度ができないから輸入できないということか。

相本課長)これまでの議論をまとめると、まず昨年7月に食品安全委員会で、安全性評価を確認した。次にリスク管理を行う厚生労働省の輸入判断は、消費者とはリンクがないので、表示の義務付けがあってもなくても輸入はされることになる。

阿久澤委員)不分別という選択もあっていい。「組換え」「組み換えでない」でもなくて、「不分別」という選択があってもいい。

山浦委員)中下委員の意見に賛成。消費者庁でも今年度後半から遺伝子組み換え食品の表示の議論が始まる。現在、市場で遺伝子組み換えの豆腐や商品を見たことがない。不分別の表示がもたらしたものである。比較的IPハンドリングがしやすいものから、遺伝子組み換えのきっかけを見直すために、パパイヤを例にして始めるということが、今、私たちに問われているのではないか。

田島部会長)様々な意見が出てきました。整理すれば、食品安全委員会では安全性の議論がすんでいる、厚生労働省の輸入判断は、表示の義務はリンクしないという、そうなると表示について遅きに失することがないよう、本日、議論の内容で決めてパブリックコメントで進めさせて頂くということでよいでしょうか。(間あり)それでは、今後の手順について、よろしくお願いします。

相本課長)田島部会長からご発言あったように、このまま原案のままでパブコメ、WTO通報を経て、進めます。

宗林委員)加工食品の分析結果と経過についてはご報告してほしい。

田島部会長)消費者庁に今後の報告をお願いします。