多摩川衛生組合の調査報告書「有害ごみ焼却試験」 、調査報告書「有害ごみ不適正処理」 をひととおり流し読みしてみた。
多摩川衛生組合
■調査報告書「有害ごみ焼却試験」 平成22 年11 月10 日多摩川衛生組合事故等調査委員会
■調査報告書「有害ごみ不適正処理」 平成22 年12 月10 日 多摩川衛生組合有害ごみ不適正処理調査委員会
上記の報告書から一部抜粋
調査報告書【有害ごみ焼却試験】
平成22 年11 月10 日 多摩川衛生組合事故等調査委員会
(2) 周辺の環境に与えた影響
① 排ガスについて
試験によって清掃工場から排出された排ガスは大気汚染防止法による自主規制値を超える測定値はなかったが、水銀濃度については焼却炉で最大0.063mg/Nm3、灰溶融炉で0.157 mg/Nm3と通常運転平均値の約9倍近い測定値を記録する。
なお、試験後の排ガス中の水銀濃度の測定は、平成22 年8 月10 日、11日に定期測定を実施した結果、通常値を確認する。
② 放流水について
すべての項目で下水道法施行令政令147(平成13 年政令213 改正)の基準値以下の測定値であった。
③ 東京たま広域資源循環組合への搬入について
飛灰固化物の溶出量試験結果は、すべての項目で「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」に基づく「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令(昭和48 年総理府令第5 号)」に定められた基準値以下の測定値であった。
④ 溶融スラグの溶出量試験結果について
コンクリート用溶融スラグ骨材(JIS A 5031)及び道路用溶融スラグ骨材(JIS A 5032)に定められた基準値内の溶出量であった。
⑤ 溶融スラグの含有量試験結果について
鉛(12/23(最大値)280㎎/kg)が一部基準値を上回ったが、再溶融処理を行い、JIS の基準値内になったことを確認する。※鉛の含有量試験基準値150㎎/kg
(6) 有害物質の排ガス規制値の不存在
大気中の水銀濃度の法的な基準値がないことを根拠に、今回の有害ごみの焼却試験を実施した。
(4) 日の出町への配慮の欠如
多摩川衛生組合の焼却灰(飛灰)は多摩地域25市1町で運営している東京たま広域資源循環組合が所管する「日の出町二ツ塚廃棄物広域処分場」に搬入し、最終処分(エコセメント化)を行っている。日の出町の理解・協力が不可欠であるにも関わらず、その配慮が欠落していた。
【有害ごみ焼却試験結果報告書】
平成22 年10 月 多摩川衛生組合
7.試験後における設備機器の清掃について
焼却実験による有害物質(特に水銀)が設備内に残留して、環境に悪影響を与えないように設備機器の清掃を実施しました。また、今後も清掃及び付着物の分析を予定しています。
3.試験の概要
(1) 焼却試験
① 廃乾電池 保管用ドラム缶からごみホッパへ直接投入。(12 月22~25 日)
② 廃蛍光管
a. 保管用ドラム缶からごみホッパへ直接投入。(12 月22,23 日)
b. 成型蛍光管をごみホッパへ直接投入。(12 月24,25 日)
c. 成型蛍光管をごみピット投入・移動(2 月15 日)後、ごみクレーンでごみホッパへ投入。(2 月26 日)
※写真は「有害ごみ焼却試験結果報告書」より
※写真は「有害ごみ焼却試験結果報告書」より
※表は「有害ごみ焼却試験結果報告書」より
8.まとめ
今回、実施しました焼却試験の目的は、従来の有害ごみの処理方法を否定するものではなく、再考する観点から中間処理施設においてもより安全で確実な方法を見つけ出すことを目的とし、周辺に与える環境負荷の測定を条件に着手いたしました。また、衛生組合の運営は、構成市からの分担金により運営していることから、関連する経費の削減に結びつくことも目的として実施しました。
排ガス分析測定結果では、大気汚染防止法に規定される項目については、基準値を超える測定値はありませんでしたが、水銀濃度は試験時の燃焼工程において、排ガスに移行したものと推測され、通常時の平均値に対して最大で9 倍を記録しました。
溶融スラグの含有量試験結果で鉛が基準値を超えましたが、基準を超過したスラグは、再溶融処理を行い基準値以下であることを確認しております。鉛以外は、コンクリート及び道路用溶融スラグ骨材に定められるJISの基準値以下でした。
また、作業環境測定においても、成型蛍光管が破砕される際に作業環境基準以上の水銀濃度を記録しました。
なお、排ガス中の水銀濃度は、8月10日、11日に実施した定期測定は通常値であり、また、施設の設備機器等に損傷の痕跡、異常値は確認されませんでした。
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↑↑かつては「スラグの山積 埋立ゼロへの危機」、今は、「◇リサイクルできず山積み」~