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23区 清掃工場の「運転管理業務委託」は経費削減になっているのか~(平成27年度分更新)

2017年06月27日 20時30分07秒 | 東京23区のごみ
清掃一組は、「経営改革プラン 2009」の中で、重点施策として「清掃工場のアウトソーシングを推進しながらも、安全で安定的な工場運営を実現させるため、実践的で実効性があり、運営の質を上げる取組など、質の向上を重視したものに集中的に取組む」としている。

清掃工場の運営委託といえども内容はさまざまであろうが、23区の清掃工場は、これまで「運転管理業務(ごみの搬入及び灰搬出含む)」の委託が主であったが、、平成26年9月竣工の大田清掃工場は、日勤業務なども委託する包括委託に準じた形での民間委託となった。そして、いずれも灰溶融施設併設の直営の清掃工場や中央・渋谷清掃工場では、受付搬入等の委託も始まった。今後、どのように数字が動くか、、、、

なんと、清掃工場別処理単価でみると、、これまでは、大規模清掃工場の新江東が処理単価は一番低かったのだが、平成27年度は大田清掃工場が8,049円/トンで新江東の8,124円/トンよりも低くなっていた。運転管理のほぼ全面委託となった大田清掃工場は、人件費が抑えられたということだろうか? さまざまな要因があるのだろうが、運転管理の委託も、思い切って大田のように全面委託にすると目に見える効果ありとなるのだろうか、、、もちろん直営か、委託かだけの問題ではないので、、世田谷に関しては、ダイオキシン対策等で、炉停止期間も長く、、、平成27年度処理単価は51,463円/トン、なにかと金食い虫のガス化溶融炉、運転管理も平成27年11月から直営運転から委託となった。

清掃工場の「運転管理業務委託」は平成18年度から始まった。グラフにしてまとめてみたものの、平 成17年度から平成25年度の人件費(直営・委託)の比較だけでは、目に見えてコストが下がったと思われる工場はないように思う。逆に、直営職員+委託費で割 高になっているようにすら思える。平成26年度は、各工場とも委託費も上昇傾向にみえる。公共施設の委託賃金が据え置き、劣悪でも困ろうが、、何のために委託するのか、、、

「清掃工場のアウトソーシング」コスト面だけを考えているわけでもないだろうし、もしかしたら、直営職員の人材不足、技術 の継承が追っついていないのかもしれないし、、委託がいいのか悪いのかもいろんな考え方があるだろうが、、実のところよくわからない。しかし、だからといって、事業 者を競争入札で選ぶのがいいとも思わないので、そのための東京エコサービスなのではあろうが~ 現場のことは全くわからないので、何ともいえない。みえてくる数字だけでの単純な比較

平成27年度の「清掃工場別の処理単価」がでているので、清掃工場別の人件費のグラフを更新した~
安全で安定的な工場運営の実現」にはさまざまなよ取組が必要、清掃工場の内情は全くわからないので、ここでは目に見える「直営」「委託」など人件費からのコスト面のみを取り上げた。


東京二十三区清掃一部事務組合

15年間の財政状況(平成12年度~26年度)(PDF:1,049KB)
(抜粋) 
ウ 運転管理等業務委託ほか
本組合では、効率的な運営体制の構築のため、従来から実施してきた灰溶融処理施設の運転管理等業務委託に加え、経営計画に基づき清掃工場の運転管理等業務委託を中心に外部委託を進めてきました。これにより、焼却設備等の運転・監視等と、ごみの受付搬入、焼却灰の搬出等の業務を委託しています。
○清掃工場の運転管理等業務委託については、平成18年度の練馬・有明から開始し、平成19年度に杉並・大田、平成20年度に墨田・北・江戸川、平成22年度に千歳・港、平成23年度に豊島と、順次拡大しました。(うち練馬、杉並は建替えにより中止、平成27年11月から世田谷を委託し、替わって千歳を直営化)
○平成25年度からは、灰溶融処理施設併設の6工場において、それまでの灰溶融処理施設の運転管理等業務に加え、ごみの受付搬入等業務についても委託を開始しました。なお、平成27年度から中央・渋谷の2工場でも新たに委託を開始しました。(千歳は平成27年11月から運転業務を直営としましたが、それまで運転管理等業務委託で行っていた受付搬入等業務については継続して委託しています。)
○平成26年10月から稼働した大田清掃工場では、従来の運転管理等業務に加えて、施設・設備管理や保全業務などを含めた形で委託を開始しました。
○灰溶融処理施設の運転管理等業務委託については、平成12年度の大田清掃工場から実施(平成20年3月廃止)し、以降、新たな施設については当初から委託してきました。

参考

清掃工場別の処理単価(平成17年度~平成27年度)

 

◆23区清掃工場の人件費 推移
(直営職員の人件費は退職手当は含まれていない)

平成24年度、25年度までは、なんとか若干の財政効果あ りとみえるのかどうか、、それすら??直営職員人件費には、退職手当等は含まれていないようなので、直営人件費が減少すれば、その分は効果ありかも しれない。しかし、今後、杉並が稼働し、直営工場の光が丘、目黒が建替えに入ると、それらの人材は杉並にシフトするのだろうか、、、また、その後も、次々建替え工事に入る工場もあ り、その繰り返しである。職員の配置のやり繰りもたいへんであろうことは想像できる。これだけ組織が大きくなると、手堅く技術の維持・継承をしていくには スリムにする必要もあるのだろう。どちらにしても、長期政策をしっかりとたてないとやっていけないのだろう。…と、素人の戯言~

灰溶融施設の人件費が減少する分、清掃工場の人件費は増えてくる、、、




◆23区灰溶融施設の人件費 推移

平 成23年度以降は、福島原発事故の影響で、灰溶融施設の稼働は全面停止期間や、複数炉施設の1炉稼働など、、大きな変化が起きた。しかし、だからといっ て、委託費用を大幅削減するというまではいかずとも、若干の縮小は見て取れる。そして、平成26年度以降は、順次休止施設がでてくるので、人件費,物件費とも、コスト面では大 きな変化がみえてきた~




◆23区清掃工場 在職員数(灰溶融施設除く)

定年退職後の任用が再任用だと思うが、再雇用の意味がわからない。それにしても、退職不補充なのか、新たな職員の採用が少ないということなのか、だから、業務委託なのか、業務委託故にそうなのか?

清掃工場勤務だけでも平成17年度から27年度で403人の削減(常勤で291人)
清掃一組全体では平成12年から26年で499人の削減となっている。





◆23区清掃工場別 直営人件費 推移

杉並のH17年度・H18年度と、練馬のH17年度の直営人件費が、なぜ新江東よりも高騰しているのか疑問だが、工場の規模と人材配置の人数は関係ないのか、(職員数は3工場同程度)





◆23区清掃工場別 運転管理業務委託費推移

工場の規模、委託形態、委託の開始時期が年度途中もあり、単純には比較できないが~
一定の期間が過ぎると横ばい傾向


◆23区灰溶融施設別 直営人件費 推移

灰溶融施設は全面委託ではあるが、直営職員も3名程度(板橋は4名、中防灰溶融は11名)


◆23区灰溶融施設別 運転管理業務委託費推移

各施設とも、規模はまるっきり異なるが、かかる費用は大差なし?
というか、中防灰溶融は4炉あってもほとんど稼働しなかったが、、、平成26年度は溶融は休止、飛灰の処理施設に~


◆23区清掃工場別 受付搬入等業務委託推移



◆清掃工場別人件費の推移

【杉並清掃工場】


【光が丘清掃工場】


【大田清掃工場(第一)】

平成20年度は大田第二からの大移動?


【大田清掃工場(第二) ⇒ (新)大田清掃工場】

平成26年度からの新大田清掃工場は、運転管理、施設・設備管理等の委託


【目黒清掃工場】

目黒清掃工場(直営)、人件費が25年度から26年度で3,300万円上昇している
平成25年度 62人(常勤49、再任用10、再雇用3) 478,624千円
平成26年度 62人(常勤53、再任用9) 511,734千円


【練馬清掃工場】

建替前は委託工場が直営に、
光が丘が建替になるので、光が丘の職員が練馬に?


【有明清掃工場】


【千歳清掃工場】

平成27年11月から世田谷のガス化溶融炉が委託となり、千歳は直営に
世田谷の職員が、千歳に移動?


【江戸川清掃工場】


【墨田清掃工場】


【北清掃工場】


【新江東清掃工場】


【港清掃工場】


【豊島清掃工場】


【渋谷清掃工場】


【中央清掃工場】


平成25年度より、「清掃工場受付搬入など」の業務委託が板橋、多摩川、足立、品川、葛飾、世田谷の6工場で始まった。
いずれも、灰溶融施設の併設工場で、灰溶融炉の1炉稼働や今後の休止計画絡みでの代替え業務とも思える。
また、平成26年度からは、渋谷、中央でも「清掃工場受付搬入など」業務委託が公募型プロポーザル方式で公募、
選定結果を見ると、結局は、渋谷は荏原環境プラント、中央は日立造船ということで、それぞれのプラントメーカーとなっている。

「清掃工場受付搬入など」の業務委託費、直営人件費の割合に比べるとかなり高く感じるが、
そ れとも、なにか他の委託費も含まれているのだろうか。なにしろ「清掃工場別の処理単価」では、「清掃工場運転管理等業務委託」の項目ではなく、「灰溶融炉 運転管理委託」の項目の列に計上されていたので、その金額が確実に「清掃工場受付搬入など」と確認ができたわけではない。平成27年度からは、「清掃工場受付搬入業務委託」は別立てになった~

【板橋清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」?


【多摩川清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」


【足立清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」


【品川清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」


【葛飾清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」


【世田谷清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」


◆灰溶融施設別人件費の推移

【大田第二灰溶融施設】


【板橋灰溶融施設】


【多摩川灰溶融施設】


足立、品川、世田谷の灰溶融施設は平成27年度から休止となった。
休止の施設で直営職員はなにをするのだろうか?

【足立灰溶融施設】


【品川灰溶融施設】


【葛飾灰溶融施設】


【中防灰溶融施設】

板橋、多摩川、足立、品川、葛飾、世田谷は、1炉稼働や休止計画の代替え業務はできたとしても、中防灰溶融は平成25年度末で休止となった。そして、中防灰溶融施設では渋谷清掃工場などの飛灰の処理をしているようだ~


【世田谷灰溶融施設】


◆東京23区の清掃工場 運転管理業務の委託状況

現在稼働中20清掃工場のうち、8工場で運転管理業務の委託を実施。受付搬入業務等の委託は8工場
委託先は、東京エコサービス以外は、各清掃工場焼却炉のプラントメーカ関連に委託
平成32年度までにおおむね15清掃工場の委託化を予定? ←まだこの計画は生きているのか?
それとも、受付搬入業務等の委託だけの工場も委託工場としてカウントするのか?
(灰溶融施設は全て委託)





 関連(本ブログ)
■ 23区清掃一組「清掃工場別の処理単価(平成27年度決算)」公表、20清掃工場平均11,851円/トン 2017年04月10日

 

 

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