BIG ART壁画プロ養成所

旧・かすかべ壁画塾。6ヶ月間・週6日間・全日制の壁画プロ養成所。壁画の研究や技術開発、普及活動をめざしています。

第1回 カラー講座 三原色と白黒

2011-04-30 23:05:31 | 受講レポート

<授業内容>
色の原理原則を学び、実際にポスターカラーを使って色作りを体験する。

 

<プログラム>
・質問タイム(普段色をどのように意識しているか、など)
・実際の物を参考にして、三原色(赤・青・黄)+白黒でその色を作る。(調色する)
・三原色と白黒を用いて色の相関図を作る。

 

<相関図の作り方>
三原色の中からひとつを選び、その選んだ色に別の色を一定量づつ混ぜていき、完全に別の色になるまで繰り返す。

(例)三原色の中から赤を選んだ場合。
赤に青を少しずつ同じ分量で混ぜていき、完全な青になるまで繰り返す。
完全な青になったら次は青→黄になるまで同じ作業を繰り返します。
次に黄→赤になるまで続ける。

 

 

<感想>
今まで感覚で使っていた色が、頭の中で整理され理論だてて考えることができました。

一番の発見は、色の法則性に触れることができたことです。色とはその時どきの偶然で出来上がるものではなく、一定の法則に乗っ取って成り立っていました。
(例えば赤に青を混ぜると紫になるといったように。)知識として知っているだけではなく、実際に触れて初めて実感することが出来ました。

私たちが今後仕事として色に関わっていくためには、それぞれの色の性質を研究・理解し、使いこなしていかなければなりません。
今後の講習では、より自由に色を使っていけるように訓練していきたいと思います。


デザイン塗装「和さび」実習 ~木材に美しい古色を施す塗装「和さび」

2011-04-16 21:45:44 | 受講レポート

今日は、ターナー色彩の方から「町家再生用塗料・和さび」についての解説と実習を受けました。



-------------------------------------------------------------------------

和さび

塗装には古びた色合いや熟成した色を出すエイジングと呼ばれる手法があります。

和さびは、木部の古美仕上げ用に開発された100%天然材の顔料を用いた水性塗料です。

補修で使用された新しい木材や建築材料に対し、年代を経たような色を付けが可能です。

また風雨などから守ります。

古い木部の壁には、難燃や防腐、防蟻処理をし、趣を残しつつ新たに仕上げます。



塗膜を作らず、含浸させるタイプのステイン系塗料なので、木部は呼吸し続けることができ、

寿命を伸ばす事ができます。

木のテクスチャーを損なわずに顔料が染み込むことで素材に馴染み、木目をきれいに引き立てる仕上がりになります。



使用方法


50~90%水で希釈し、刷毛や筆を使用します。


(実験の結果、塗料4に対し水6程度の割合で希釈し、硬めの刷毛ですり込むように塗るのが良いようです。)

一度塗り終えたら乾かし、それを2~4回繰り返します。



顔料が木部に染み込み、自然な感じを保ちつつ、和さびの色が、次第に濃く鮮やかになります。

通常、絵の具や塗料は乾くと塗った直後とは違う色になりますので、乾いた段階で確認ながら丁度よい色味に調節します。

布で拭き取り、色を薄くすることも可能です。

 

刷毛でこする、布ですり込む、スプレーで水をかけてから塗る実験(水希釈率60、90パーセント)

 

ワイヤーでこすってから塗る、経年した木材に塗る、バーナであぶった木材に塗る実験

色が定着してしまい落ちない時は、スプレーで水を吹きつけてから布で擦るといいです。


注意点

木地を生かす塗料なので、同じ種類の材木に同じ色、手法で使用しても、
木目の密度や乾燥度合いの違いにより仕上がりの色が異なります。

木目に沿って塗料を刷り込むことにより、自然な仕上がりになります。

 

(by  Watanabe)


塗料の基礎知識

2011-04-05 20:29:55 | 受講レポート
≪塗装の基礎知識≫
◎塗装の種類◎
・下地処理
・上塗り(着色)
・オーバーコート


≪下地処理≫
塗料と支持体(塗装される下地)には相性があります。
・塗料がのらない。
・下地を侵す。
などです。
密着性、安定性、耐久性など支持体と上塗りの塗料との相性を改善することが下地処理です。

◇塗料ののりにくい支持体
・アルミ
・ステンレス
・塩ビ
・ガラス など

◇塗料を侵す支持体
・木材・・・ヤニが出る。
・コンクリート・・・アルカリが出る。
*ヤニやアルカリは塗料をとても侵します。

○密着性を妨げる付着物
・サビやカビ
・油分・・・油汚れやワックスなど。
・チョーキング・・・旧塗膜が劣化して白い粉を吹いた状態。
・離型剤・・・型抜き成型で作られる工業製品に付着している。
・可塑剤・・・軟質塩ビやテント地など柔軟性を出すために使用されている。

◎下地処理の種類◎
・サンディング(研磨)
・アルコールや熱湯で拭き取る
・シーラー
・プライマー
・足付け(目荒らし)

◇シーラーの種類
・ヤニ止めシーラー(木材などの下地)
・アルカリシーラー
・密着バインダー
・サビ止め
*密着バインダーは多用途ですが、溶剤が多量に入っています。そのため、溶剤に侵される支持体には目荒らしを使います。

*支持体がコンクリートの場合
ミラクファンド(セメント、アクリルカチオン系エマルジョン)で3~5mmの膜を作り、その上に水性ソフトサーフSGを施す。この上には油性でも水性でも使用できます。


≪上塗り≫
◎上塗り塗料の種類◎
・水性
・油性
・溶剤系

◎油性と水性の相性◎
・旧塗膜が水性の場合
使用する塗料:水性○ 油性× 溶剤×
・旧塗膜が油性の場合
使用する塗料:水性○ 油性○ 溶剤×
・旧塗膜が油性の場合
使用する塗料:水性○ 油性○ 溶剤○


≪オーバーコート剤≫
◎オーバーコートの種類◎
・トップコート(保護膜)
・UVコート(色あせ防止)
・落書き防止コート(硬度が高く耐油性)
・フッ素防止コート(防汚効果)
・シリコンコート(防汚効果)
・光触媒コート(ニオイや汚れ等を分解します)

☆クラックや密着不足等の異常を防ぐためには
・塗料を十分に撹拌する。
(塗料を長時間保存していると成分分離が起きている場合があるので、容器をよく振る等してよく拡販する。)
・塗膜計や粘度計、密着力試験、曝露試験等で密着力を検査する。
 
◇簡単に密着力をテストするには?
⇒簡易密着力テスト
1, 支持体に10cm各程度に塗料を塗る。
2, 完全乾燥させる
3, カッターで5mm方眼程度に縦横に何本も軽く線を引く。
4, その上に粘着力の強い布テープを張り、よく圧着する。
5, 布テープを勢いよく剥がし、塗料がどの程度剥がれて付着するかを検査する。
剥がれてこなければ密着は十分です。(剥がれ方にムラがある時は完全乾燥が出来ていない場合もあります。)