2012年 8月 25日 (土)
民宿で一人だけの朝食を摂ってから街を離れて田舎道に入るまで少々時間があるので折りたたみ自転車でトコトコ土曜のマーケットがある Vismarkt という青空マーケットに行った。 午後のジャズ・コンサート・サイクリング・ツアーの腹ごしらえのためにデイパックに入れて持ち歩く食料を買おうとやってきたのだ。 30年以上前から6年間ほど住んでいたこの町で毎週土曜のマーケットはいつも楽しみだった。 それは今でも住む街で習慣となって続いていて今回久しぶりのグロニンゲンのマーケットは殊に故郷に戻ったなつかしさだった。 この日の夜は田舎の村のもう何回か泊まっているホテルに深夜戻る予定だから買いたいものがいろいろあっても生ものはうちに持って帰られないので必要最小限の昼食になるものだけにした。 チーズ入りスティック状パン、グレープフルーツ、リンゴ、バナナそれぞれ一つづつだけだった。 すぐそばにある Grotemarket の広場は移動遊園地になっているので本来ならば食料以外の雑貨、骨董などの出店がでるマーケットは今週はないけれどこちらのほうは従来通りだ。 この広場を取り仕切るように建つ大きな A-kerk という教会の建物だけの中にガラクタ市のようなものがあったのだがそこは今は全国規模の大手スーパーが入っていてそこで缶ビールを買ったのだがレジで、いつごろからこのスーパーがこの建物に入ってるのと訪ねると若い女の子は気がついたときからここにありましたよ、という。 30年前はここ全体がガラクタで一杯だったんだよ、というとへーといって大きな教会の内部そのままの高い天井を眺める風だった。
Vismarkt(魚市場)の名のとおり幾つも魚屋が店を出しておりその一つでムール貝をあげてもらってそこで買ってきた缶ビールで喰った。 いろいろな生鮮食料品を扱う出店を見ながらあるいていると茸を沢山並べた茸屋さんに行きあたった。 その真ん中には黄色から芥子色になろうかというCantharel・カンタレル(和名アンズタケ)が盛り上げられていた。 2週間ほど前に歩いてきたオーストリア・チロル地方の山の森には黄色いカンタレルがたくさんあってそこから山一つ越えたイタリアの村から大挙して人が採りにくるので当局はその人たちに入山料を課しているけれどそれでも違法者が絶えないと聞いたし、何年か前にスウェーデンのイエテボリの知人のうちに行った時にも散歩で森にでかけカンタレルを採ったのを憶えているけれどそのときにもポーランド人がきてごっそり採って行ってしまう、とも言っていた。
シシリア人の義兄に聞いた話ではシシリアの村にはこの間までどんな茸でも怪しいものを持っていくと喰えるか毒か判断してくれる年寄りがいたけれどオランダではどうか、とその店の女性に聞いてみた。 当然森林局の職員は分かるものが多いけれどいつでもその村にでもいるわけではないし、そういうことは昔はあったにせよ残念なことにもうとっくにそういうことが無くなっているとのことだった。 自分の町にも茸屋はほぼ毎週店を出すけれどこれほどの種類はもっていないからそれを訊ねると、本人は菌類の生物学者で茸屋は今の時期だけ趣味で一週間に一度周りのものを集めたり自分で育てたものを持ってきているとのことだ。 これだけではとても生計を立てられるものではないとも言っていた。
昔まだ小学校に上がるか上がらないかの頃、林のそばの畑で祖父が畑仕事をしていてその休憩中に林の中に連れられそこに生えているまっすぐにのびたモヤシのようなしろい茸を採ったことを覚えている。 汁に入れて喰うものでセンコウタケというと教えて貰った。 そのことを言うとそれは ENOKI じゃないの、といって図鑑を見せてくれたが当然エノキならわかるけれどセンコウタケにはエノキのような小さな丸い頭はない。うちにもどってからこのセンコウタケというのが本当にあるのか調べたらちゃんとあったので安心した。 Clavaria という名前でちゃんとその写真まででていた。