自分のために読む、古典のひと言

昔の本を読んで、考える。昔の人は、何を思ったのか。

天が重大な任務をある人に与えようとするときには、

2020-05-05 | 自分自身
天が重大な任務をある人に与えようとするときには、必ずまずその人の精神を苦しめ、その筋骨を疲れさせ、その肉体を飢え苦しませ、その行動を失敗ばかりさせて、そのしようとする意図と食い違うようにさせるものだ。これは天がその人の心を発奮させ、性格を辛抱強くさせ、今までできなかったこともできるようにするための試練である(孟子)

◇読んで思ったこと:経験不足のことに挑戦するときは、最初のうちはうまくいかないことが続く。周りの厳しい批判を受けることもある。でもくよくよせず、何か成果を得るまで続けてみることだ。仮に結果が失敗だったとしても、失敗しないやり方に気づくことがある。そういう経験は将来きっと生きてくる。
◇引用元:小林勝人訳注「孟子」岩波文庫

地位に不満を持つよりも、現在の境遇にいて果たして

2020-05-05 | 自分自身
地位に不満を持つよりも、現在の境遇にいて果たして自分が役に立っているかどうかを考え、その仕事に全力を傾注する(渋沢栄一)

◇読んで思ったこと:組織に対しては、現在の役割を考え、職責を果たす。自分に対しては、将来の目的・目標を見定め、努力を重ねる。そうして仕事に全力を尽くしていると、機会が向こうからやってくるものだ。
◇引用文献:竹内均編「渋沢栄一 論語の読み方」三笠書房


敵のやってこないことをあてにして頼りとするのではなく、

2020-05-01 | 自分自身
敵のやってこないことをあてにして頼りとするのではなく、いつやってきてもよいような備えがこちらにあることを頼みとする。敵の攻撃しないことをあてにして頼りにするのではなく、攻撃できないような体制がこちらにあることを頼みとする(孫子)。

◇読んで思ったこと:自分以外の事に期待して楽観視していると、準備を怠ることになる。準備を怠った者は、念入りに準備した者に打ち負かされる。自分の事に集中し、できる限りの準備をしておこうと思う。
◇引用元:金谷治「孫子」岩波文庫

人を観るには順境にいるときはどんなことをするかを観察し、

2020-05-01 | 自分自身
人を観るには順境にいるときはどんなことをするかを観察し、逆境にいるときはどんなことをしないかを観察する(晏氏春秋)。

◇読んで思ったこと:順境にいるときは逆境の備えをし、逆境にいるときは順境の備えをする。うまくいったからといっておごり高ぶらず、うまくいかないからといって投げださない。
◇引用元:新編漢文選「晏氏春秋」明治書院

能力があるから地位につけるのでなく、地位につけて能力を発揮させよ

2020-04-28 | 自分自身
能力があるから地位につけるのでなく、地位につけて能力を発揮させよ(土光敏夫)。

◇読んで思ったこと:相手の成長度合いをみつつ、「できるかどうか少し不安はあるが、なんとかやれそうだな」というレベルまできたら、次の一つレベルの高い仕事を任せてみる。
職責や環境が人を育てる。誰かを育てようと自分が頑張るよりは、その人が育つような環境を作っていくほうがよい。
◇引用元:土光敏夫「新訂 経営の行動指針」産業能率大学

管理者はまず自分自身を管理せよ。

2020-04-28 | 自分自身
管理者はまず自分自身を管理せよ。そうすれば部下を管理する必要も減る(土光敏夫)。

◇読んで思ったこと:「自分のこと棚に上げて」と言われないように。自らの言葉と行いを一致させるよう日々努力する。
◇引用元:土光敏夫「新訂 経営の行動指針」産業能率大学

君主が事業を起こそうとするとき、その事の詳しい全体にも通じないで、

2020-04-25 | 自分自身
君主が事業を起こそうとするとき、その事の詳しい全体にも通じないで、自分の欲望をさらけ出してしまうと、それを実行する者があらわれてもその事業で利益は得られず、必ず逆に損害となって返ってくる。そのことをわきまえた君主は、事の道理に任せて自分の欲は捨て去り、事業の遂行にも決まりを立てて、収入が多くて支出の少ない企画を考えては実行してゆくのである(韓非子)。

◇読んで思ったこと:新しいことをはじめるときは、心の中で公事か私事かの区別を明確に整理整頓するようにする。私利私欲で始めたことは、困難に直面したときに人の協力が得られず、あきらめも早く長続きしない。これに対して、公の志によって動くときは苦しいときほど協力者が現れるものである。何かを始めようとするときは、まず自分の動機を洗練化させることである。
◇引用元:金谷治「韓非子」岩波文庫

賢明な君主は相手が自分に背かないことを頼みとはせず、

2020-04-24 | 自分自身
賢明な君主は相手が自分に背かないことを頼みとはせず、相手が背けないような自分であることを頼みとする。相手が自分をだまさないことを頼みとはせず、相手がだませないような自分であることを頼みとする(韓非子)。

◇読んで思ったこと:他人のことをコントロールするのは難しいので、自分のことをコントロールする。自分のコントロールできることに時間と労力を使って、頼みとするだけの自分を作るようにする。
◇引用元:金谷治「韓非子」岩波文庫

自分で出会ったことはわかるが、遭遇しないことはわからないものだ。

2020-04-24 | 自分自身
自分で出会ったことはわかるが、遭遇しないことはわからないものだ。自分の能力でできることはできるが、できないことはできないものだ(荘子)。

◇読んで思ったこと:失敗から学ぶことによって、失敗しない方法が見えてくる。だから経験を積むことで、判断能力を上げていくことができる。
経験不足がある場合は、日ごろの疑似体験で補うことができる。遠くのだれかが決断を迫られている場合に、もし自分だったらどうするかな、と考えて、その結果を検証することによって学び取る。こうした疑似体験の場は、日ごろ身近にたくさんある。
◇引用元:金谷治「荘子」岩波文庫

第一等の事柄は人に譲り、さしあたり第二等のことをしようなどというのでは

2020-04-21 | 自分自身
第一等の事柄は人に譲り、さしあたり第二等のことをしようなどというのでは自分を棄てたことになる。学問についていえば道に進むことを志とし、人間についていえば聖人になることを志すことだ(近思録)。

◇読んで思ったこと:これくらいでいいか、と思って行うと、これくらいにも到達しない。70点以上が合格なら、70点取ればよいと考えるのではなく、100点を取るつもりで事に臨んだほうがよい。
◇引用元:新釈古典漢文大系「近思録」明治書院