跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

天秤

2006-07-22 04:47:10 | コマース
Yahooが新曲をはだかんぼう(DRMフリー)で放流するらしい。詳細はこちら

いわく、

Jessica Simpsonの最新シングル「A Public Affair」をMP3フォーマットで販売することを発表した。通常のオンライン音楽には、著作権保護のためのコーディングが施されているが、この楽曲にはこの処理がなされていない

んだそうな。わお。
コンセプトは、

。「DRMはコストがかかる。Yahooのような企業にとって、これを実装するのは非常に高価だ。われわれのエンジニアには、複雑なプロビジョニングシステムよりもパーソナライズ、推薦、プレイリストなどのアプリケーションや、コミュニティリストアプリケーションの改善に時間を割いてほしい。複雑なシステムを開発・実装したところで、最終的にはユーザーはCDに焼き、DRMを解除してしまうのだ」(Rogers氏)

なんだそうで、DRMフリーで出荷することによって違法コピーされるリスクをテイクする代わりにDRMコストをリダクションできるから損益分岐点が下がるはず、という理屈なんですが、果たしてそれだけを狙っているんでしょか?

日本の例でしかも以前にも紹介した話を蒸し返してなんなんですが、文化庁によると、音楽市場って

タイトル数ベースで1%に満たない作品群により、総売上枚数や総売上金額ベースの約40%

という恐ろしくWTA(太田センセご無沙汰してます)な市場なので、たいして売れていない大多数の曲にとっては違法流通の本山のように言われているWinny(田中先生によると流通データの40%程度らしい)を介してでも潜在顧客の視聴機会を獲得してアーティストを売り込んだほうが得策になる場合(要するに機会損失を宣伝費に換算する)もあるんじゃないかと。P2PトランザクションはNTTの亀井・森・大井の三氏によると某ISPトラヒックの46%を占める(2003年)らしいので、露出機会獲得媒体としては結構有効かもしれないし。

トラヒックの中身が表の流通市場と同じような売れ筋に偏っていたりするとアレですが...。

ちなみに、前出の田中先生はP2P(データ)流通はCD販売に影響を与えない、とされていますし、シードプランニングのレポート(中身は買って読んでね)やその他の調査(これは非公開)によると有体物であるCD販売と無体物であるデータダウンロード販売は代替関係に無いといえそうな気配濃厚なので、CD(とかの有体物)販売が狙いなら、データを無料でばら撒く(もしくはばら撒かれやすい状況を暗黙のうちに作り出す)のは有効な販促手段になりえるかもしれません。

とはいえ、今回のように、無体物であるデータを販売する商売をしているYahooが、データを裸のままDRMフリーで販売する場合、いくらDRMコストがリダクションできたとしてもP2P違法流通の規模を考えると機会損失を賄えるほどの費用逓減効果が得られるか疑問が残るんじゃないかと。

なので、跳箱的にはおそらく複数のシナリオが用意されているんだろうとは思うけど、Jessica Simpson今回の曲をDRMフリーで流通させることによって結果的に違法コピーの流通量が増えたとしてもアーティストの知名度獲得ができて潜在顧客を発掘できれば、次の曲をDRM付きで販売したときに販売量増加して元が取れる(かも)と考えているのかもしれないなぁと。

いや、単純に実験なのかもしれないけどね。(データ欲しいなぁ>K氏)

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