乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『評弾』  蘇州の伝統芸能 /中国・蘇州(山塘街にて)

2008-04-13 | 舞台・芝居

 

   二人で『評弾』 を楽しむ

 

   

 

   

 

   

 

 先日、中国の杭州や上海に行ってきた。

 一番の思いでは 蘇州の山塘街にて『評弾』を楽しめたこと。

 蘇州では品と優美を基本においた この音楽が良しとされているらしい。

 

 親切な自転車タクシーの男性が、店を探し出し、開始時間をメモに書いてくれた。

 

       『7:30』

 

 時間まで小一時間。

 私たちは夜の山塘街を楽しむことにした。

 

 山塘街とは物資の集積する街だったそうで、清時代にに描かれた『姑蘇繁華図巻』では 「中華第一街」といわれた様子が見てとれるらしい。

 又、多くの文人墨客にも愛され、『紅楼夢』(曹雪斤)の中で山塘街を「俗世間で一、二を競う風流にして富貴な土地」とも記しているとのこと。

 そんなにも長くはない山塘街だが、両脇につるされた赤い提灯と 町を映し出す水郷の流れが美しい。

 とても情緒のある風情で、私たちが歩いていると多くのスタッフとカメラマンに付き添われたチャイナ服姿の女優(或いはモデル?)が、水郷のほとりで撮影を始めた。

 中国人の観光客はうれしそうに足を止め手見ていたので、有名な女性なのかも知れない。

 

 山塘街では 木製品(紫檀・紅木)や剣屋、楽器屋、刺繍屋、布や民芸店等の小憎らしい店が並んでいた。

 気に入った品もあったので、少しばかり購入。

 値切り交渉成立で、なんだか、うれしい。

  

 時間前に再び店を訪れると、二人は二階の喫茶店?に通された。

 メニューを見て、一杯六十元の高級茶を二つ頼む。

 茶はうまかったが、『評弾』はいっこうに始まらない。

 午後8:00前に歌手らしき二人が現れるが、雑誌を読んでいる。

 店内の客はいつまでたっても 私たち二人だけ・・・。

 かなり不安になる。

 そうこうしていると、店の経営者らしき人物が、中国語で歌手に何かを話しかけた。

 すると歌手は小さな舞台に上がり、男性の方が歌い出した。

 

 美しいまろやかな声で、一曲。

 とてつもなく素晴らしい歌声に聞き惚れる・・・。

 素晴らしい曲だったためか、あっという間に一曲は終わった。

 後ろの字幕は消える。

 私たちは何がなにやらわからない。

 

 そうこうしているうちに、中国人の客がぽつりぽつりと席に座りはじめ、観客も増えだした。

 客が歌手に何かを話すと歌が始まり、一曲二曲とうたわれ出した。

 

 さてさてこの『評弾』、涙が出るほどに美しい旋律と感情移入。

 聞いて二曲目で、涙がこぼれた。

 

 私が見た『評弾』は男女二人がそれぞれの楽器を持ち、弾き語る。

 男だけ、女だけ、男女の組み合わせの歌があった。

 現在の中国人でもわからないような古典でうたわれるために、舞台の後ろには中国語の字幕テロップが流れる。

 男性が歌う場合は、はじめに男、女性なら女という具合に、最初に字幕が出る。

 字幕が出るということを考えると、日本の文楽に似ているかも・・・と感じた。

 

 少し時間がたってから常連らしき中国人客がこちらの席まで歩いてきて、テーブルを指さし、大きな声でわめいている。

『何なのだろう・・・。』

と不安におののいていると、店の人間は困った表情で、申し訳なさそうにメニューを持ってきた。

 それは選択曲メニューだった。

『評弾』は客から選曲されて 頼まれて初めて、歌手が歌うといったシステムだったらしい。

 一曲、短いのでは三十元。長いものになると八十元程度。

 私たちはどんな詩かはわからないままに、美しい漢字が並んだ歌を 五曲ばかりを選択した。

 そうこうしている間に夜もふけ、私たちは後ろ髪を引かれる思うで、店を後にした。

 先ほど私たちがいた明かりの方向からは、女性歌手の哀愁漂う声と楽器が響く。

『帰りたくない・・・。』

そう思わせる『評弾』だった。

 

 私にとっては『評弾』を聞くことができたことは 今回の旅で、一番の収穫だったかも知れない。

 口ずさむことは不可能だが、『評弾』の美しさは、今も雰囲気は心に残る。

 

 もし蘇州に行かれる機会があり、舞台や音楽に興味をもたれているようでしたら、私はこの『評弾』をお勧めしたい。

 中国人の方が、今も楽しんでおられる蘇州の伝統芸能のようです。

 心にしみこむような静かな時を感じられるのではないかと思います。

 

 


コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 叫化鶏(乞食鶏・富貴鶏) 中... | トップ | 春の大神祭 大神神社(三輪... »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おふたりで? (綾子)
2008-04-14 08:24:33
まさか、お子様とじゃなくて、ダンナ様とですね?ムードのある夜をお過ごしになられたのでしょう。なんていい感じでしょう。字幕が出るとは、きっと難しそうです。お二人は字幕が読めるなんて、すごいです。
返信する
Unknown (オオタ)
2008-04-14 12:46:36
評弾とは、難しい言葉の、音楽ですかな。京劇なら知っていますが、音楽の伝統芸能は知りませなんだ。女性の衣服は、どうなってますかな。気になりますな。
返信する
評弾 (あーちゃん)
2008-04-14 14:22:40
評弾は、中国で有名なのでしょうか?夜にお酒でなくって、お茶を飲みながら聞くのですか?曲を買うのですね?不思議です。
返信する
こんばんは (綾子さま)
2008-04-14 23:58:32
今回も夫とまいりました。舞台好きの私にせがまれて、夕食もそこそこに評弾を聴きに行きました。字幕テロップは出るのですが、感じの雰囲気を頼りに、何となく感じをつかんで聞いていました。なので、内容はちんぷんかんぷん。でも漢字一字でもかなりなが~~くのばして感情移入されながらうたわれていました。素晴らしい文化の日とるなのだろうということはわかりました。
返信する
評弾 (オオタ様)
2008-04-15 00:04:27
かなり伝統のある芸能のようです。たぶん古典詩を歌にしているものだと思われますか、確信は持てません。ネット検索すると、早稲田大の演劇部でも、評弾を取り上げた授業が合ったようです?が、定かではありません。
かなり気に入った文化の一つでしたので、もう少し何かで調べてから、もう一度この評弾については記録をしたいと思います。頼りない内容だと思いますが、その折は もしよろしければ見てやって下さい。
返信する
衣装 (再びオオタ様)
2008-04-15 00:13:14
女性はスリットの入ったチャイナドレスを着ておられました。足を組まれ、女性が見ても完成度の高い腿まで見えていましたが、肌色の見せるための下着を身につけていらっしゃいました。美しい方で、気品の中にも色気を感じさせる好感の持てる方でした。
男性も赤系の衣装で身を包んでいらしゃいました。この方も中国の上品さをもたれた芸術家といった感じが印象深く、この方の声もまろやかさと美しさには聴きほれてしまいました。
ご両人とも上品な衣装と声で、美しいなと感じました。
返信する
評弾 (あーちゃんへ)
2008-04-15 00:31:16
美味しいお茶を頂きながら、楽しい時間を過ごしました。喫茶?メニューにはウイスキーなどもありましたが、はじめのページはずらりとお茶。お茶は少し大きめの湯飲み茶碗に茶の葉が入っており、お湯を注ぎいれて下さいます。飲み干した頃、曲の合間を見計らって来て下さいました。
中国人の方たちはどのグループもお茶、中国人が外国人を接待に連れてきたグループは、外国人が酒を頼んでおられました。常連の方は一人で来ておられる方も多かったようです。
曲はおっしゃるとおり、曲を買う形とも言えるかも知れませんね。短いものでも結構高いのですが、それだけの値打ちはある歌声と技術と感じます。
日本では知的財産や芸術的なものに対してお金を払うという意識が薄いですね。学問に於いても、ボランティアに頼ったり、ただで教えてもらうのが一般化した感覚が、私には理解できません。これだけの技術を持ったアーティスト(伝統芸術家)には、高額のペイをもらってしかるべきと考えています。
・・・でも・・・高い。そう多くは頼むことができません。常連さんはお金持ちなのでしょうか?一般庶民の私には、度々は無理です。
返信する

コメントを投稿

舞台・芝居」カテゴリの最新記事