2011年度
47; 『萩原朔太郎詩集』
河上徹太郎編
新潮文庫
昭和25年発行
平成16年 73刷改版
258ページ 483円+税
先日から楽しんでいた『萩原朔太郎詩集』
萩原朔太郎はやはり好きだ
十代の頃から好きだったが、
今読んでも好きなのは嬉しい
巣箱のひとつを思いだし、安堵感を感じる
陽春 萩原朔太郎
ああ、春は遠くからけぶつて来る、
ぽつくりふくらんだ柳の芽のしたに、
やさしいくちびるをさしよせ、
をとめのくちづけを吸ひこみたさに、
春は遠くからごむ輪のくるまにのつて来る。
ぼんやりした景色のなかで、
白いくるまやさんの足はいそげども、
ゆくゆく車輪がさかさにまわり、
しだいに梶棒が地面をはなれ出し、
おまけにお客さまの腰がへんにふらふらとして、
これではとてもあぶなさうなと、
とんでもない時に春がまつしろの欠伸(あくび)をする。
およぐひと 萩原朔太郎 (昨日の日に「月に吠える」)
およぐひとのからだはななめにのびる、
二本の手はながくそろへてひきのばされる、
およぐひとの心臓(こころ)はくらげのやうにすきとほる、
およぐひとの瞳(め)はつりがねのひびきをききつつ、
およぐひとのたましひは水のうへの月をみる
遺伝 萩原朔太郎
人家は地面にへたばつて
おほきな蜘蛛のやうに眠つてゐる。
さびしいまつ暗な自然の中で
動物は恐れにふるへ
なにかの夢魔におびやかされ
かなしく青ざめて吠えてゐます。
のをあある とをあある やわあ
もろこしの葉は風に吹かれて
さわさわと闇に鳴つてる。
お聴き! しづかにして
道路の向うで吠えてゐる
あれは犬の遠吠だよ。
のをあある とをあある やわあ
「犬は病んでゐるの? お母あさん。」
「いいえ子供
犬は飢ゑてゐるのです。」
遠くの空の微光の方から
ふるへる物象のかげの方から
犬はかれらの敵を眺めた
遺伝の 本能の ふるいふるい記憶のはてに
あはれな先祖のすがたをかんじた。
犬のこころは恐れに青ざめ
夜陰の道路にながく吠える。
のをあある とをあある のをあある やわああ
「犬は病んでゐるの? お母あさん。」
「いいえ子供
犬は飢ゑてゐるのですよ。」
上の三編は先日このブログで記録したものです。
見て下さいましてありがとうございました。
今回も記録のみにて失礼申し上げます。
うちは猫と言う詩が好きです。
http://tekukame.blog135.fc2.com/blog-entry-273.html
おわ、こんばんわ。^±^ノ
・・・ですね。^±^
嬉しいコメントをありがとうございます☆
萩原朔太郎、いいですよね(^^)
今読んでもとてもいいですね(*^D^*)
彼の詩には猫や生き物がよく出てきますね♩
萩原朔太郎は色彩豊かな詩が多く、彼が使う名詞自体にもカラーを感じるので、とても好きです。^^
てくっぺさんの萩原朔太郎ページのあと、関連記事の中原中也1・2も楽しませていただきました(*^-^*)
中原中也は2月にも読んでましたから、おもしろかったデス
>・・・そうして巷間の女性が一人、また一人と、敵に回るのであった・・・
…で、笑ってしまいましたよ(*^v^*)
楽しい時間をありがとうございました!感謝(^-^)